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2026.09.11

日本の若者の自殺の動向

SNSが若者の自殺を増やしていると、見て、オーストラリアを先頭に米欧で未成年のSNS利用規制が強まっているが、専門家の評価は割れている。こうしたなか、日本の数字だけはかなりはっきりしたある特徴がある。全体の自殺は減り続けているのに、子どもの自殺だけが過去最多水準で張り付いている。しかもその中身は、先進国ではほとんど例のない形になっていることだ。

2025年(令和7年)の自殺者総数は1万9188人で、統計開始以来初めて2万人を割った。一方、小中高生は538人。1980年以降で最多を更新し、最多更新は2年連続だ。内訳は小学生10人、中学生172人、高校生356人。男女別では男子258人、女子280人で、女子が男子を上回る状態が続いた。

2024年はさらに象徴的だった。小中高生529人のうち男子239人、女子290人。統計のある1980年以降、初めて女子が男子を超えた年である。高校生は男子166人・女子185人、中学生は男子64人・女子99人。15〜19歳全体でも、2024年は男性313人に対し女性347人と逆転している。

もともと高所得国の自殺は男性が女性の2〜3倍多い。日本の15〜19歳でも2015年時点では男子が女子の2倍以上いた。その差が縮み、ついに逆転した。記事が言う通り、先進国では珍しい。ただし「女子だけが急に増え始めた」わけではない。

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2016〜17年頃からすでに上向き、2020年に約100人跳ね、その後も500人超で止まっている。コロナ以前からの傾斜があり、コロナがそれを一段押し上げ、収束後も戻っていない。

性別で見ると傾斜の付き方が違う。分析では、男女とも2017年頃から増え始めるが、女子で顕著だった。高校生女子は2020年に79人から138人へ75%増。2014〜18年と2019〜23年を比べると、高校生女子の自殺死亡率は約1.88倍(自殺者数377人→664人)、中学生女子は約1.99倍(180人→340人)。高校生男子も1.36倍(738人→940人)と増えてはいるが、伸びも持続も女子に偏る。2020年の急増も、女子中高生(2019年132人→2020年219人)の方が大きい。

アメリカでも10代女子の自殺・自傷は大きく増えた。それでも男女比が逆転しないのは、男子も同時に上がっているからだ。日本の特徴は「女子が増えた」こと自体より、男子がそこまで増えなかったことにある。

原因・動機(複数計上)も男女でずれる。女子高生では健康問題と学校問題が中心で、家庭問題を足すと大半を占める。学校問題の中身は学業不振、いじめ以外の学友との不和、入試以外の進路の悩み。男子高生では学校問題が最も多く、進路と学業不振が目立つ。2025年の小中高生全体では学校問題251件、健康問題174件、家庭問題147件。女子高生で健康問題の比重が高い点は、以前から指摘されている。この「健康問題」にうつ病などの精神疾患や、市販薬の過量服薬(オーバードーズ)がどこまで入るかは、公表分類だけでは切り分けにくい。ただ若年女性では自殺未遂歴の割合が高く、服毒の比重も男性より大きい、という隣接データはある。

さて、この事実として言えるのは、さしあたって次の四点である。第一に、子どもの自殺増加は2020年に始まった現象ではなく、2010年代後半からの継続である。第二に、2020年の急増とそれ以降の高止まりは女子に集中している。第三に、全体の自殺が減るなかで小中高生だけが最多水準にある。第四に、動機の表層は学校・健康・家庭であり、女子では健康問題が相対的に厚い。

そして、仮説として繰り返し出るのは、おおむね三つだ。

ひとつはSNSである。規制論の起点でもある。普及時期が2010年代半ば以降の増加と重なり、自傷・自殺関連情報や比較・排除の回路が女子の方が強く作用しやすい、という見方だ。証明ではない。時期の一致と、海外の規制議論が先行しているにすぎない。

ふたつ目はコロナ禍の生活変化である。2020年の女子の跳ね方は休校・遠隔・孤立と重なる。ただしコロナが収束しても女子の水準は下がっていない。加速要因ではあっても、単独原因にはならない。

三つ目は、精神疾患と自傷の顕在化である。健康問題の比重、未遂から既遂までの距離の短さ、オーバードーズの増加が、とくに10代女子で目立つ。学校問題や家庭問題が入口になり、健康問題として表面化している可能性もある。

結局、2020年以降に女子のあいだで広がり、男子には同じ強度で効いていない要因は何か。SNSか、学校文化か、相談・受診の性別差か、それともそれらが重なった複合か。データが示しているのは「女子が増えた異常」だけではなく、「男子が増えなかった日本の形」のほうかもしれない。

 

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