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2026.04.15

4年目となるスーダン戦争

首都に戻った日常は、復興そのものではない

スーダンの戦争は2026年4月で4年目に入った。首都ハルツームでは、政府機関の一部が戦時の拠点であったポートスーダンから戻り、空港も再開し、道路には車列が戻りつつある。避難していた住民の帰還も進み、国際機関は2025年以降に数百万人規模の国内帰還を確認している。だが、これをもって「首都が立ち直った」とみるのは適切ではないだろう。街には人の流れが戻り始めた一方で、電力、水道、医療、教育といった基盤機能の回復はなお限定的であり、生活再建はきわめて脆弱である。 

現在のスーダン危機の規模は、内戦という言葉だけでは捉えきれない。2026年の人道対応計画では、支援を必要とする人は3370万人に達し、世界最大規模と位置づけられている。UNHCRの集計では、2026年4月時点で国外に逃れた新規難民・庇護希望者・帰還民は450万人超、国内避難民も680万人超で、強制移動を経験した人は合計1150万人を超える。さらに、UNICEFは国内避難民を950万人規模としており、時点や集計基準の違いはあるものの、いずれの統計でも「国民の広い層が移動と喪失を経験している」という構図は一致している。NPR報道では「1400万人規模の避難」と表現されたが、この巨大な流動の中に位置づけられるべき数字であろう。

飢餓は副次被害ではなく、戦争の主要結果である

この戦争で最も深刻なのは、前線の死傷だけでなく、食料・保健・衛生の崩壊が国全体を覆っていることである。総合的食料安全保障レベル分類(IPC)では、2026年2月から5月にかけて1910万人が危機的水準以上の食料不安に直面すると見積もられ、ダルフールおよびコルドファンの20地域では飢饉のリスクが継続すると警告されている。UNICEFも、2100万人が急性食料不安にさらされ、2026年には420万人近い急性栄養不良が見込まれるとしている。ロイターが4月に伝えたNGO共同報告では、人口の61.7%に当たる2890万人が急性食料不安の下にあり、一日一食でしのぐ世帯も少なくないという。飢えは「戦地の周辺」で起きているのではない。市場、農業、輸送、医療、水供給が同時に壊れた結果として、国家の中枢機能そのものが飢餓を生んでいるのである。

ダルフールでは、過去の虐殺の系譜が再び現れている

ダルフール情勢は、いまなお危機の中心である。ここでは2003年のジャンジャウィードによる民族暴力の記憶が残るが、その系譜上にあるRSF(即応支援部隊)が再び地域を制圧し、包囲、追放、略奪、性的暴力が反復されている。MSF(国境なき医師団)は2026年3月公表の報告で、2024年1月から2025年11月までにダルフールのMSF支援施設で3396人超の性暴力被害者が治療を求め、その97%が女性と少女であったとした。北ダルフールでは被害者の9割超が避難移動中に襲われたとされ、性暴力が散発的な逸脱ではなく、避難経路と生活空間そのものを危険地帯に変えている実態が明らかである。元記事の証言が示した屈辱と恐怖は、個別の悲劇というより、地域全体の統治崩壊を示す指標として読むべきである。

戦線の移動も重要である。ハルツーム攻防が一段落した後、主戦場はダルフール、さらにコルドファンや青ナイル方面へと広がった。加えて、近年の特徴はドローン戦の急増である。NPOのACLED(武力紛争・場所・イベントデータ・プロジェクト)によれば、2025年のドローン攻撃は515件、少なくとも2670人が死亡した。2026年に入っても増勢は続き、最初の2カ月だけで少なくとも198件のドローン攻撃が記録され、民間人被害を伴うものが52件、死者は478人に上った。4月には北ダルフールで結婚式への攻撃により少なくとも30人の民間人が死亡したとAPが報じている。戦争は膠着しているのではない。むしろ、より広域に、より低コストで、より民間人を巻き込みやすい形へと変質しているのである。

死者数については、なお確定的な総計はない。だが、少なくとも過小把握であることはほぼ確実である。APは2026年4月時点で少なくとも5万9000人死亡、約1万1000人行方不明と伝えた一方、ロイターが2024年に紹介した研究では、ハルツーム州だけで開戦後14カ月に6万1000人超が死亡した可能性が示された。つまり、戦闘による即時の死亡だけでなく、飢餓、感染症、医療崩壊による間接死が統計の外に大量にこぼれ落ちているのである。死者数の不確実性は被害の小ささを意味しない。むしろ、国家の記録能力それ自体が失われていることの表れである。

問われているのはスーダンだけではない

この戦争をどう見るか。首都に車が戻ったことを「正常化」の兆しとして読むこともできる。だが、より正確には、スーダンはいま「部分的な帰還」と「全面的な崩壊」が同時進行する局面にある。国家機能は局地的に戻っても、食料、保健、教育、保護、記録、移動の安全は国全体で崩れたままである。現状の国際機関の数字を重ねると見えてくるのは、これは単なる長期内戦ではなく、国家の社会的基盤が分解していく過程そのものであるという事実である。戦争四年目のスーダンを「忘れられた危機」と呼ぶだけでは足りない。すでに十分に知られながら、なお止められていない危機として理解すべきでなのだろう。

 

 

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