Windows10終了でLinux Mint導入奮闘記
Windows 10、その後どうする?
「Windows 10がアップデートできない」
私のWindowsノートパソコンである。アップグレード対象じゃないというのだ。そして、サポート終了が近づいている。あと、10日もない。いや、その期日を過ぎても使えないことはないらしいが、まあ、使えないだろう。どうする。無理やりアップグレードするという抜け穴があるとか、余計にお金を払ってあと1年延長できるとか、いろいろな情報が飛び交っている。が、そもそも私のこのパソコン自体が古い。動作は重い。これはもう限界か。限界だ。ということで、新しくWindows11のマシンを購入することにした。さて、問題は残る。この古いWindows10パソコン、どうしよう。
4台のパソコンと向き合う
気がつけば、私の手元にはノートパソコンが4台もある。Windowsノートが2台、Chromebookが2台。こんなには、ふつう、要らない。で、人間というのは使い慣れたものを使いがちで、結局よく使うのは軽量な古いChromebookになりがち。なぜ古いChromebookばかり使うのか。答えは簡単、「軽い」からだ。物理的な重量の話である。パソコンでする作業といえば、ウェブを見たり文章を書いたりする程度が大半。YouTubeは大きな画面で見るし、ゲームもしないし、アートもしないので高性能なグラフィックなど必要ない。それなら、持ち運びに便利な軽いタフなマシンが一番、となる。
とはいえ、この古いChromebookは1台を廃棄することにした。高性能なChromebookパソコンはもう一台あるのだ。さて、残る問題は、使わなくなったWindowsパソコンである。LG製のこのノートパソコン。当時は軽量で気に入っていたのだが、古い。そもそもLGのパソコンを使っている人なんて、そうそういないだろう。マイナー機種なのだ。廃棄しようか。でも、ちょっと待てよ。
「Linux入れてみるか」という冒険心
以前から考えていたことがあった。Ubuntuか何か、Linuxを入れてみようかな、と。YouTubeでいろいろ調べていると、最近は「Linux Mint」というのが評判が良いらしい。
実は私、LinuxというかUnixには昔からそれなりに慣れていた。ターミナルも使えるし、Unix系のテキスト処理やパイプ、リダイレクトもよくやっていた。awkやPerl、最近ではPythonも使う。高性能なChromebookの方には、すでにLinux環境を入れていて、実際よく使ってもいたのだ。
だったら、このポンコツWindowsマシンをLinux専用機にしてしまえばいいんじゃないか。ダメ元でやってみよう。そう決めた。
「簡単です」という言葉を信じてはいけない
ネット上にはLinux Mintのインストール方法がたくさん解説されている。どれも「簡単にできます」と言う。しかし、こういうのは実際にやってみると、だいたいうまくいかないものだ。
確かに、基本的な手順は単純だ。Linux MintのISOイメージをダウンロードして、USBメモリに書き込んで、そのUSBから起動すればいい。たったそれだけ。
ところが、USBを起動用ドライブにフォーマットする方法もいくつかあって、どれがいいのか、なれないとわからない。手持ちのUSBドライブで適当にやってみたら、すぐ奇妙なエラーが出た。
真っ黒な画面に、よくわからない英語のエラーメッセージ。こういうとき、以前なら、答えはどこにもない。
AIが救世主になった瞬間
ここで私は、最近のテクノロジーの恩恵にあずかることにした。AIに聞けばいいじゃないか。
なぞなエラー画面が出てきたらそのまま写真に撮って、「これって何なの?」と聞いてみる。するとAIが「それはこういうエラーです」と教えてくれる。なんとも心強い。
さて、ブート(起動)もしなかった理由は、様々だ。セキュリティの設定、ハードディスクの起動方法、BIOSの設定。何回も繰り返している人なら単純にできるのだろうが、私には「なぜこの設定をこうするのか」がさっぱりわからない。それ以前に基本的なところでも躓いた。
ノートパソコンのBIOS画面を出すには、通常F12キーを押すはずだ。しかし、F12を押しても何も起きない。何度押しても、うんともすんとも言わない。AIと一緒に調べてもらった。「それ、F10じゃないの?」 え?そうなの?
F10だった。正解だった。LGのこのマイナー機種、そんなところまでマイナーだったのか。
こういう細かいことは、機種によって違うので、つまり、この手の話、全然一般論にならないものなのだ。メモを取っても、次に同じ機種を触ることなどない。とにかく試行錯誤を重ねた結果、ついにLinux Mintが起動した。
ちょっと感動した。
日本語が打てない!?
ところが、起動してすぐに新たな問題が発覚した。日本語入力ができないのだ。驚いた。日本語くらい使えるだろうと思っていたが、そうではなかった。別途、日本語入力システムをインストールする必要があった。
それで、インストールしたら、今度はキーボードの問題が発生した。このLGノートにはUSキーボードが付いている。@や括弧などの記号の位置が、日本語キーボードと違う。基本的なアルファベットは同じだからなんとかなるだろうと思ったが、キーアサインの設定をあれこれいじる羽目になった。
それでもなんとか、いろいろ調整して、使えるようになった。
これは「Windows 9」なのか
さて、まがりないにも使えるようになって、驚いた。Linux Mintは、Windowsそっくりだったのだ。
全体を黒っぽいデザインにしているので、少しWindowsとは違う雰囲気があるが、フォルダのUIはWindowsそのもの。スタートボタンからメニューが出てくるのも、昔のWindows 10のような感じだ。
これを見て思った。「あれ、これってWindows 9じゃないか?」
そう、MicrosoftはWindows 8の次をWindows 10にしたので、Windows 9は存在しない。Linux Mintは、まるで存在しないWindows 9を実現したかのようだった。Windowsを再現し、洗練させたような印象だ。未来は異世界に分岐したのである。
性能は予想以上
さて、Linux Mintだが、性能は予想以上に良かった。OS自体が軽いのか、それともWindowsが重すぎたのか。快適だ。メモリもディスクも食わない。意外なのは、バッテリーの持ちも良いことだ。
いろいろカスタマイズしていると、「パソコンって面白いなぁ」と昔のことを思い出した。実際のところ、Linux Mintは、以前のWindows時代よりも快適なのではないか。
というわけで、当初はUSBからの起動にして、本体のWindows 10は残しておこうと思っていた。しかし、思い切ってWindowsを削除して、Linux Mintに完全移行することにした。
後悔はない。
そういえば、LibreOfficeというオフィススイートが最初から入っていた。ワープロ、スプレッドシート、プレゼンテーションソフト、一通り揃っている。ヨーロッパでは、こちらを使う人が増えているという。無料で、オープンソースで、プライバシーの心配もないということだ。
なぜ普及しないのか、という謎
さて、ここまで優れたものが、なぜもっと普及しないのだろうか。
いわゆる理由はわかっている。Microsoftの市場支配力、アプリケーションの互換性問題、サポートの問題、そして何より「インストールのハードル」だ。
YouTubeでも、「Windows 10からWindows 11にアップグレードできない人は、Linux Mintにしたらいいんじゃないの」という提案が多い。誰もが考えるネタだし、私も見事に引っかかったネタだ。
実際にやってみた感想としては、「これはいい」の一言に尽きる。むしろ以前のWindowsよりも使いやすい。
「やってみたらいいですよ」とは言えない理由
ただ、こうして記事を書きながら思うのは、「みなさんもやってみたらいいですよ」とは到底言えないということだ。
理由は明白だ。細かい条件によって発生するトラブルが違いすぎる。そもそも古いパソコンに入れ直すわけだから、マシン自体が古いのでエラーも頻発する。F10かF12か、なんていう問題は機種ごとに違う。
というわけで、Windows10難民向けに、Linux Mint導入サービスみたいなものがあってもいいのではないかと思うが、商売にするのは難しいだろう。トラブルシューティングがあまりにも個別的すぎる。
それでも、技術的に多少の知識があって、根気がある人なら、挑戦する価値はある。少なくとも私は、満足している。けっこう面白い。
やってみて、うまくできたら、ハッピーだし、だめもとの意気込みと、AIの手助けがあれ、挑戦してみる価値は確かにある。
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