チャーリー・カーク追悼を欧州議会は拒否
2025年9月10日、米国の保守派活動家チャーリー・カークがユタバレー大学での講演中に銃撃され、31歳の若さで命を落とした。この事件は、単なる個人の悲劇ではなく、言論の自由をめぐる政治的暗殺として、国際社会に衝撃を与えた。
カーク氏はTurning Point USAの創設者として、若い世代の保守派を動員し、ドナルド・トランプ大統領から「アメリカの最高の存在」と称賛される存在であった。
イタリアのジョルジャ・メローニ首相はこれを「民主主義への深い傷」と表現し、欧州からも哀悼の声が上がった。しかし、翌11日の欧州議会本会議で起きた出来事は、この悲劇を政治的分断の象徴に変えてしまった。
右派議員が提案した沈黙の1分間追悼が、議長の決定により拒否された。この拒否は、単なる手続きの問題で済むのだろうか。欧州議会のイデオロギー的偏向を露呈しているのではないか。
右派の提案と左派の拒絶
欧州議会ストラスブール本会議の場で、スウェーデンの欧州保守改革グループ(ECR)所属MEP、チャーリー・ワイマースがカーク氏追悼追悼を提案した。彼は「私たちの言論の自由の権利は消滅できない」と宣言し、カーク氏の死を自由の危機の象徴として位置づけた。この提案は、ドイツのAfDやフランスのIDグループの右派議員から支持を集め、議場に緊張が走った。
ワイマースは残りの発言時間を沈黙に充てようとしたが、副議長カタリナ・バーリーが即座に遮断したのである。曰く、「これはすでに議論済みで、議長が拒否したことを知っているはずだ」。その言葉に、中央・左派議員から拍手が沸き起こった。これに右派議員らは机を叩いて抗議し、議場は一時混乱に陥った。
議長ロベルタ・メツォラは、規則上追悼は本会議冒頭で正式提出する必要があり、9月8日のセッションを逃したため却下されたと説明したが、10月のセッションで可能とする提案も無視した形となった。
二重基準の露呈
この拒否は、欧州議会の「二重基準」を浮き彫りにしている。ハンガリーのフィデス党所属MEP、アンドラーシュ・ラズローは議場外で「偽善的」と非難し、2020年のジョージ・フロイド事件を引き合いに出した。
当時、フロイドの死は米警察による人種差別的事件として世界的な抗議を引き起こし、欧州議会は本会議冒頭で即時沈黙の1分を実施した。
そのおりは、議長ダビッド・サッソリは「すべての暴力と差別を強く非難する」と述べ、議会全体が統一的に哀悼を示した。この対応は、規則の原則(冒頭提出)を守りつつ、緊急性を考慮した柔軟な運用であった。
ところが、カーク氏追悼の場合は、規則を厳格に適用し、右派の政治的シンボル化を封じた形となった。
この対比が「ダブスタの典型」と指摘され、右派議員から「左翼被害者優遇」の声が上がった。 SNSでも「フロイドには沈黙を与え、カークには拒否とはどういうことなのか」との疑問が広がった。議会の裁量がイデオロギー的に歪められているのではないか。
中立性の喪失
欧州議会の決定は、その「中立性」なるものが、実際には左派イデオロギー色に染まっている疑念が生じつつある。中央・左派が約60%を占める議会構造は、右派の提案を「プロパガンダ」として警戒する傾向がある。
カーク氏の保守派属性が、追悼の「緊急性」を低く評価した構造がある。Guardianの報道では、欧州右派リーダーらが「左翼のヘイト扇動」を非難し、この事件を2029年EU選挙の火種と位置づけているが、「中立」派とされるナタリー・ロワゾーMEPはXで「カークの死は遺憾だが、議会で称えるかは別問題」と述べ、彼のウクライナ批判を挙げて正当化した。
しかし、このような選択的適用は、規則の解釈を政治的に利用するものだろうし、議会の信頼を損なう。
暴力否定に賛同の声くらいは
この事件で顕著なのは、言論への暴力への否定に対する欧州議会の冷淡さである。メツォラはカーク氏の家族に哀悼を述べたが、それは形式的なものに過ぎない。右派は追悼を「言論の自由の危機」として位置づけたが、左派の対応は沈黙の拒否に留まらず、積極的な拍手でそれを強調した(これはちょっとおぞましい印象を与える)。
せめて、言論への暴力そのものへの否定の賛同くらいあってもよいはずではないのか。
欧州委員会は「すべての暴力を非難する」との声明を出したが、議会レベルでは右派提案すら容認せず、分断を助長する結果になった。
フロイド事件では議会が「人種差別反対」の統一メッセージを発したが、言論への暴力で亡くなったカーク氏は追悼されない。
欧州議会は市民の心情には疎い面もあるだろう。それでも言論に対する暴力の否定はイデオロギーを超えた基盤であるべきだ。それを欠く議会は、民主主義の場とは言えない。Redditの議論でも、「カークのヘイトを理由に拒否するのは理解できるが、暴力否定の機会を失うのは問題だろう」との声が上がったが、そうした市民感情は、欧州議会には通じない。
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