ウクライナ人の戦争支持の崩壊
ウクライナ人のロシアとの戦争に対する支持は、侵攻開始から3年以上経過した2025年7月の時点で急激に崩壊している。ギャラップの2025年7月1日から14日までの調査(参照)によると、勝利を目指して戦闘を継続すべきと考える割合は24%にまで低下した。これは2022年の侵攻初期に73%が勝利まで戦うことを支持していたのに対し、ほぼ逆転した数字である。
ウクライナ国民の意識において、戦闘継続支持の緑線が2022年の70%台から2023年を通じて下降し、2024年にさらに急落、2025年に24%へ達しているのである。他方、交渉による終結を望む青線は上昇を続け、69%に到達した。
この変化は全人口層で一貫しており、都市部、地方部、年齢層、性別を問わず見られる。戦争の長期化がもたらした人的損失、経済的負担、日常的なミサイル攻撃やドローン脅威が、国民の疲弊を加速させた結果である。
該当のギャラップの調査では、一部の占領地(ロシア支配地域、人口の10~13%)がモバイルオペレーター経由の電話調査から除外されているため、データに偏りがある可能性もあるが、全体的な傾向としては明確である。戦争終結に向けての外交的努力の活性化、例えばゼレンスキー大統領のプーチン大統領との直接交渉提案や、トランプ大統領の制裁強化による圧力も、この世論シフトを後押ししている。しかし、戦況は依然として厳しく、前線での激戦が続き、国民の間で持続可能性への疑問が広がっている。
このようにウクライナ戦争継続意志の崩壊は、単なる戦意喪失ではなく、現実的な戦争コストの再評価を反映していると言えるだろう。ギャラップ以外の複数の分析でも、この数字が戦争疲労の頂点を示すものとして議論されており、概ね、ウクライナ人の7割が交渉を望むこの状況が、外交の転換点として注目されている。
交渉による早期終結へのシフト
すでにウクライナ人の大多数が、可能な限り早く交渉で戦争を終えることを望むようになっており、前段で示した2025年のギャラップ調査でも、69%が交渉支持を表明し、2022年の22%から大幅に増加している。この変化は、2023年から2024年にかけて徐々に進行し、2025年にピークを迎えた。
グラフの青線が上昇する様子は、国民の現実志向を象徴する。勝利まで戦う支持が24%に落ち込んだ背景には、戦闘の長期化による死傷者増加やインフラ破壊が挙げられるだろう。調査詳細では、交渉支持者のうち、即時終結を強く望む層が多数を占め、外交の即時性への期待が高い。一方、7%が「わからない」または拒否を示しており、意見の多様性も存在する。この変化は、ゼレンスキー政権の外交姿勢にも影響を与え、プーチンとの直接対話を提案する動きにつながっている。
トランプ大統領の制裁脅威も、交渉の枠組みを強化する要因ではあるが、実際の進展は限定的でる。世論のこの転換は、現状では明確な敗北の受容とも言えず、とりあえず持続不可能な現状からの脱却を意味していると見るべきだろう。つまり、69%の数字が戦争終了への国民的欲求を表すとして、平和優先のサインと解釈されるだろう。
戦闘終結への懐疑的見通しと国際役割
ウクライナ人の多くが戦争終結に向けた交渉を望む一方で、積極的な戦闘が近々に終結するとは考えていない。調査では、12カ月以内の終結可能性を「非常に可能性が高い」とする人は5%、「やや可能性が高い」は20%で、合計25%に留まる。逆に「やや可能性が低い」34%、「非常に可能性が低い」34%で、68%が懐疑的であり、6%が「わからない」と回答した。否定的意見が目立つ。外交努力の活発化にもかかわらず、戦況の停滞がこの懐疑を生んでいる。
国際社会の役割については、EU諸国を75%、英国を71%、米国を70%が和平交渉で重要視しており、トルコの55%を上回り、米国への不満が高い(承認率16%、不承認73%)にもかかわらず、その影響力を認めている点が興味深い。
ドイツの承認率は63%と上昇し、初期の慎重姿勢から好転した。中国8%、ロシア1%の低評価は変わらずである。トランプ政権下の支援中断や2月の緊張会談が対米感情を悪化させたが、交渉での役割期待は残るようだ。この二重性は、ウクライナの外交ジレンマを表している。この懐疑的な立場は、ウクライナ戦争を巡る外交の不透明さを反映し、終結の遅れを予感させるとも見られる。つまり、終結の早期性を疑問視する声は多い。
NATO・EU加盟への期待の低下
ウクライナ戦争当初喧伝されていたウクライナのNATO加盟への希望は、戦争の進行とともに急速に後退している。2022年の64%が10年以内の加盟を期待していたが、2023年69%のピーク後、2024年51%、2025年32%へ半減した。決して加盟しないと考える人は33%に上昇し、期待値と並んだ。EU加盟期待も2022~2023年の73%から2024年61%、2025年52%へ低下した。これらの数字は、NATOサミットの進展欠如や戦争長期化が原因である。
NATOは長期安全保障の鍵と見なされたものだが、現状の現実的な障壁(ロシアの反対、加盟基準)が失望を招いている。EUについても、経済統合の遅れが影響している。調査では、10~20年後やそれ以上の長期期待が増加し、短期楽観が消滅した。この低下は、戦争支持崩壊と連動し、国民の将来不安を増大させている。調査では、32%のNATO期待が侵攻初期の半分以下となり、国際統合の不確実性を示している。
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