魚のこと、雑談
このところNHKのラジオやテレビで漁業の話を何度か聞いた。概ね、世界の人々(っていうか中国人)の魚食が増加してきているため魚の市場価格が上がってきたから日本人も気楽に魚が食べられる時代ではない、というのと、マグロなど魚の乱獲がはげしく今後は規制が強化されるので、日本人も気楽に魚が食べられる時代ではないと、まあ、どんな話でもオチはそういうこと。ニュースを見ると、スポニチ”“高級トロ”漁獲量削減を勧告”(参照)は後者の話。
最高級トロの材料として日本で大量に消費される東部大西洋と地中海のクロマグロの資源量が急激に減少、資源維持のためには現在の漁獲枠を半分以下にすべきだとする資源管理機関「大西洋まぐろ類保存国際委員会(ICCAT)」の科学委員会の報告書案が14日、明らかになった。11月にクロアチアで開くICCATの特別会合に提出される。同会合で国ごとの漁獲枠を定め、各国がこの範囲内でマグロを漁獲することになっている。
個人的にはトロはそれほど好きでもないのでふーんという感じ、というか、ああいう魚は欧米人でも食べやすいのだろうなと思う。
![]() 築地市場の さかなかな? 平野文 |
沖縄は海に囲まれているから魚も豊富なのだろうと思っていたが、中部とか那覇とか街に出るとようすは違う。どうやら普通のうちなーんちゅは沖縄の魚をほとんど食べてないというか、そもそもスーパーにもあまり売ってない。もちろん牧志にはあるが、っていうか、つまり観光とか料亭のニーズなのだろう、地方魚は。
代わりに沖縄のスーパーで売っている魚は本土と変わらない。しいていうと本土よりまずい。東京に戻ってからデパ地下などで魚を買うが、ようするにカネさえだせば旨い魚は買えるのだけど、沖縄だとそうでもなかった。もっとも経験が狭いのでそうでもないのかもしれないが。
当たり前といえばそうだが沖縄の漁師たちはできるだけ旨い魚を捕ってこようとしている(高く売れるからでもあるが)。沖縄の漁師たちというのはけっこうオジーの漁師たちである。いかにもうみんちゅという人々。言語はほとんど外国語なのでもうぜんぜんわかんないのだが、それはそれ私もまだ若気の残っているころでもあるのでいろいろ訊いてみた。いくつか驚いたことの一つに秋刀魚のことがある。漁師たちの捕ってくる魚に秋刀魚とか鰯とか鰺とかない。鰯が無いのはよくわからない。鰺はもともとこの海にいなさそうだというか代わりにガーラがいる。秋刀魚もここでは捕れないのだろうと思ったが、なにかのおり、うみんちゅのオジーに聞くと「あれは魚の餌である」と言う。捕れるのだそうだ。そして魚の餌にするのだそうだ。あんなものは魚ではないのだそうだ、である。
考えてみるとナイチでも昔はというか江戸時代以前というか、魚というのは鯛みたいのが魚であって、鰯だの鰺だの秋刀魚だのは魚ではあっても魚の部類ではなかったのではないか。そういう事情は朝鮮でも同じようだし(イシモチとか)。そういえば以前「極東ブログ: [書評]「築地市場のさかなかな?」平野文」(参照)を書いた。
っていうか、魚を食うっていうのはそういう、なんというか下魚を食うということではないのだろうなとなんかわかった。自分も歳とってきたので、おりに触れてできるだけ、カネのあるぶんだけ、人生もこれから残り少なくなるのだから、ジョートーな魚を食べよう、とも思った。もちろん日々そういうわけにもいかない。たいていは普通の魚を食う。普通の魚?
日本人にとって普通の魚ってなんだろと思い、ネットを眺めてみた。購入量の多い魚という話が「ジュニア食料・農業・農村白書」(参照)にあった。鮭がだんとつに多い。年間五キロ。たしかに、なにかと鮭は食うな。次いで烏賊三キロ。私はあまり烏賊が好きではないのでそんなに食わない。同量くらいが鮪と鰺。鰺は好きだな。ちゃんと釣ってきた鰺とかちとカネ出して食うとうまいよな。秋刀魚は二キロくらい。同じく海老。私は海老があまり好きではない。そして鰤。鰤は好きだな。そして鰯。鰯って実はあまり食えなくなったような気がする。リストはこれにアサリと鯖と続いて終わり。
ふーんという感じだが、鯛とか鰈とかはもっと少ないのだろうか。私はけっこうカジキを食べるがな、鱈とかも、などなど。
同資料にはその輸入元の国の比率があるが、海老を除けばけっこうまだ日本でよく捕っている。スーパーとか見ていると各国の魚ばかりという気もするが、グロスで見るとそれほどの量ではないのだろうか。
ついでに漁業生産量の推移とか見ると現在の日本は九〇年代の半分くらいに減っている。ピークが八四年で一二八二万トン。〇五年は五七二万トン。イラストのお船が「魚がへったことや国際規制などで生産量はへっているんだ」と言っているが、単にコストの問題ではないのか。海外から調達したほうが安くなったというだけでは。
ついでに漁業従事者も年々減っているのだが、推移を見るに四割がたは六〇歳以上。漁師って老人の仕事っていうことなんだろうか。沖縄のうみんちゅうも老人が多かったが。
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コメント
ジョートーな魚って分からんです。
分かってくるということはどんな感覚なんでしょうね。
私は子供の頃から鯛は出汁は好きですが刺身も焼いても
味がしないし鰈は煮付けると臭くて嫌だなあと思ってました。
今は魚というとスーパーで買う脂ギトギトの輸入の鮭か鯖です。
こういうのも鶏の唐揚みたいにもういいやって思うんでしょうか。
投稿: papepo | 2006.10.16 14:37
papepoさん、こんにちは。魚の旨さというのは、いわゆる味の旨さもですが、食感と香りがとても重要です。刺身での、くにょっとした感触や、焼き物などでも、ほくっとした感触など、官能的なとでもいうなものです。そうした面を引き出すには、包丁のワザとか火の入れ方とか料理人の腕が試されるところもあります。なんか、偉そうな言い方ですが。
投稿: finalvent | 2006.10.16 14:59
返答恐れ入ります。
なるほど、素材の種だけでなくいろいろひっくるめて
上等の世界な訳ですね。
まだ自分から食いにはいけなさそうなので口をあけて
入ってくるのを待ってみます。
投稿: papepo | 2006.10.16 15:41
秋刀魚でも、干物にすると美味いのと、焼いたほうが美味いのとある。簡単にいえば、前者は紀伊半島あたり。後者は日本海。脂ののりの違いなのだが。
南にいくほど脂がなくなる。
沖縄のは脂もなく不味いのだろう。沖縄の干物文化がどうなっているかしらないですけど。
投稿: nattai | 2006.10.16 18:34
話聞いてるとどうも「江戸前」の話のようで。「江戸前」の魚だとそりゃ高いですよ。
まだ、地方都市に行けばそれなりの魚が江戸前ほどの馬鹿げた値段を出さずとも手に入ります。東京の魚の、特に江戸前だいう代物の価格を見ると私は馬鹿げていると思わざるを得ません。例えば私の住んでいる大阪だと、瀬戸内の魚をさほど苦労せずともその日の朝に獲れた魚が手に入ります。
後、イワシ・アジ・サンマについてはwikiを見てもらえばわかりますが、アジ・イワシは沖縄周辺までには回遊してこないし、サンマもすでに産卵の終わった後のカスカスですから三陸沖のサンマとは味が違う。といえるでしょう。
投稿: F.Nakajima | 2006.10.17 00:02
>沖縄のは脂もなく不味いのだろう。沖縄の干物文化がどうなっているかしらないですけど。
↑「だろう」「知らないですけど」って重ねて言っときながら「不味い」を入れるんじゃないよ。「不味い」を入れるからには小なりとて自分の根拠を出して「だろう」「知らないですけど」は言わないようにするもんじゃねえのか。なぜ「不味い」のか、そこくらいハッキリしろ。
っていうかお前切込隊長か? そういう書き方ばっかりしてるとまともな人間に相手にされなくなるぞ。いい加減にしろ馬鹿って感じ? 「感じ?」の意味分かるか? お前のやってることだよ。
投稿: ハナ毛 | 2006.10.17 07:32
>ジョートーな魚
腕のいい魚屋さんに出会ってから、同じ魚でも扱い方によって味は相当違うとわかりました。下処理の仕方や切り方によって、味がこんなに変わるのか!? って体験をしたのでうなずけました。
魚屋さんと話をしていると、「金目を食べるなら、こういう理由で、今の季節は伊豆」と細かい薀蓄がいろいろ出てきて、おもしろいな~と思います。
投稿: kaerudayo | 2006.10.17 10:25
僕の母の実家が奄美大島なのですが
そこでは、ナイチ育ちの僕からすると
「どーやっても食べれない色してるぞそれ・・・」
と思うものも
から揚げにして食べていました
緯度が違うので沖縄と単純な比較はできませんが
母の実家では釣れたてのカツオをサシミにして食べてましたよ
鰯や秋刀魚はなかっなぁ・・・
投稿: いーじす | 2006.10.17 11:36
本文
>ピークが八四年で一二八二万トン。〇五年は五七二トン。
↑万が抜けてます。
投稿: ハナ毛 | 2006.10.17 16:20
魚の味ですか。
一度、関門の魚を食べてみませんか?
明石もそうだし、波の荒い難所の魚はおいしいですよ。
投稿: KU | 2006.10.17 22:08
魚に限ったことじゃないけど、基本的に脂は旨いでしょ。同じような字を使ってるし。味付けに脂を乗せることなんかよくあるし。
んで、筋肉は旨いかどうか好き好きあるかと。
一般に「肉が好き」かどうかって、脂の部分じゃなく本来好き好きある「筋肉の部分の旨味」が好きか嫌いかと、そういう部分で判断すべしと思うわけですが。
旨いかどうかの言い合いで脂の旨味の部分を持ち出したり加工技術がうんたらとか言い出すヤツって、そもそも本質部分に対する是非なんかどーでも良くて、周辺環境とか傍目にどう思うかとか印象やイメージはどうよとか、そーゆートコばっかガタガタ言いそうなふいんきで嫌なんですけど。っていうか単なる味盲だろ、そりゃ。
味の良し悪しなんか分かりゃしないし自分なりの主張も判断も無いか狭いから、自分の判断の範疇にある味を「付けて呉れればもう満足」レベルでしかねえっつうか。
脂味覚は簡単に開発できる反面、即麻痺するから要注意。ご飯にマヨネーズかける馬鹿とか居るだろ。ああなっちゃう。魚の旨さも、トロが一番みたいなクソ判断で決めちゃ駄目でしょ。ってか昔は脂身は下だったんだし。「旨いと分かりきってる部分を敢えて旨いだろ? って押し付ける直球さが文化的に下っていうか未開」って意味で。肉の旨味で上下の格差を付けてた時代からすると、トロ最上なんて外道もいいとこでしょ。
>明石もそうだし、波の荒い難所の魚はおいしいですよ。
↑こういう感覚が分かるようじゃないと、魚食いとは言えねえ。
投稿: ハナ毛 | 2006.10.18 02:01
市場にない=食べないと言うことは不味い(と感じている)からだと。解釈するのだけどね。
通ぶったり、知ったかぶりをするつもりはないから「だろう」連発。でいいと思っているよ。
投稿: nattai | 2006.10.18 08:02
↑万国共通○○が絶対基準で御座います、みたいな判定基準なんかそうそうあるわけネーだろ。世の中の出来事の99.9%は仮説ですっての。個々人が個々の主張なり経験なりに基づいた自分の意見を吐けば、そりゃそれなりに偏るし、偏った挙げ句は「通ぶったり、知ったかぶり」に近くなるに決まってんじゃないの。良くも悪くも、それが個というもんだ。
そういうのを認めないとかするつもりはないとか言うから、
>「そもそも本質部分に対する是非なんかどーでも良くて、周辺環境とか傍目にどう思うかとか印象やイメージはどうよとか、そーゆートコばっかガタガタ言いそうなふいんき」
って予め言われるんだろ。「予め」てのがポイントですよ。そういうキャラでご苦労さん。
投稿: ハナ毛 | 2006.10.18 16:25
あるニュースだと、マグロ漁獲量を守っている国が問題ではなく、違法操業をしている国が問題だとか。違法操業を規制しないと国際的枠組みが機能しないのでは?・・・という気もします。
それで、そのニュースソースがどこにあるのか失念してしまいました。ウワサ程度の認識でおねがいします。
魚鳥木の漢字ですが、「鰤」が読めませんでした。試練を通れなかったのが残念。
投稿: くれよん | 2006.10.18 21:13
魚の美味さってわかるようになるまでに
それなりの時間が掛かるもんだ、
離島に住んでるから時期になると鰹なんか嫌っていうほど
もらうことがあった(今はあまりなくなったけど)
その頃は脂のあまりのっていない鰹好きじゃなかったのに
流通が発達して三陸の戻り鰹なんかがこっちでも手に入るようになって、喜んで食べていると、無性に地元のさっぱり系の鰹が恋しくなってくるんだ、で・まずスーパーでは手に入らないだろう新鮮な鰹をかみ締めるたびに自然の恩恵をダイレクトに感じられる所に住んでいることに無条件で感謝できる心境になるんです。
40超えてやっとそーゆー心境になってきた、
遅すぎたかもしれない。
投稿: 多牌 | 2006.10.28 04:29