人の狂牛病、血液感染の可能性
ランセット(The Lancet February 7, 2004)の最新ニュースだが、通称、人の狂牛病(the human form of mad cow disease)こと新変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)が血液感染する可能性が高くなったとみていいようだ(参照)。
vCJD transmission Two studies published this week highlight the public-health implications of blood transfusion as a possible route for infection by the prion protein responsible for variant Creutzfeldt-Jakob disease (vCJD).
難しい英文でもないので、訳は不要だろう。研究は次の二点だ。いちおう参考までに同サイトの研究者名だけ記しておくが、未登録ではオンラインでは読めない。
血液感染の可能性は以前から指摘されていた。少し古いが、"British Medical Journal: Scientists show that vCJD can be transmitted through blood."がある(参照)。
最近では、同じくBMJが次の警告を出している。"Action needed to prevent spread of vCJD"(参照)。
説明の順序がよくないのは承知の上だが、あまり危機感を煽ってもいけないのでどの程度書くべき、訳すべきか、戸惑う。
少しぐぐってみると、最近のNew York Timesの邦訳があった。「血液経由で狂牛病に感染の疑い 1.27.2004:New York Times/ニューヨークタイムズ」(参照)、読みやすいといえば読みやすい。
日本では、米国産の牛=狂牛病の危険、というだけの、阿呆な風潮になってきたが、とうの問題の重要な防御ラインは、そこではない、ように思える。この件については、Recipients of blood or blood products "at vCJD risk"(bmj.com Bird 328 (7432): 118)を参照のこと。
と言ったものの、あまり露骨に書けない。この問題を論じたサイトは国内にあるのだろうか?
追記1
国内でもニュースになったようだ。男性の輸血感染の高いケースを報告。ついでに、e-血液.comというWebページを見つけた。このページについてはあえてコメントしない。
追記2
龍蛇蟄さんからのインフォ。以下のサイトはこの問題にとても重要だと思う。
http://square.umin.ac.jp/~massie-tmd/bsecjd.html
と、リンクをはることの危険性もあるが、以下のことはもっと知られていいだろう。
全頭検査の成果は純然たる学問的趣味:全頭検査により,肉骨粉使用禁止以後に生まれた生後2年未満の牛に非定型的BSEが発見されたことは,純粋に学問的な意味しかない.それは,BSEの起源に関わる問題である.肉骨粉を食べていない非常に若い牛にBSEが見つかったということは,肉骨粉とは関係なく,ごくまれながら,牛固有にプリオン病が自然発症することを示している.
極東ブログの狂牛病関連の記事を経時的にまとめたいが、めんどくさい。
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コメント
感染自体は硬膜で言われてませんでした?
血液感染で・・・ということは、ドナーとしてのチェックが十分ではなかったという、ニュース?
投稿: dona dona | 2004.02.07 16:58
ウイルスやたんぱく質などが原因のモノは今後発見されるであろうものを含めて全て血液感染の「可能性」はありえますよね。。。
人工血液(慶応もやっているようですが)
http://www.waseda.ac.jp/projects/artifblood/top%20page.htm
とか、もう少しお金をまわしてもイイと思うのですが。。
投稿: どどど | 2004.02.07 16:59
dona donaさん、こんにちわ
献血時のチェックでは100%のスクリーニングは難しいです。
高感度の検査で精度を上げる事はできても、感染後まもなくの病原体が少ない状態での検出は困難なので。。
インフルエンザのように急速に増殖するウイルスの場合はウイルス数個の混入でも半日もすれば検出可能な量に増えてくれますが、B、C型肝炎やHIVなどもですが、感染初期はナカナカ増えないのでどうしても検出不可能な期間が生じてしまいます。
で、輸血はケガや病気など免疫力が落ちている状態にされる事が多いので少量のの病原体でも押さえ込めずに発病、という可能性が。。。
投稿: どどど | 2004.02.07 17:16
dona donaさん、どどどさん、こんにちわ。硬膜か血液かという問題ではなさそうです。とりあえず、血液感染の危険性がある、と。で、スクリーニングなのですが、私が知る限り、無理のようですが、どうでしょうか。本文で触れたRecipients of blood or blood products "at vCJD risk"でも、社会システム的な対応が提起されています。これを実施することが日本でできるのか?ということになるかもしれません。ただ、血液製剤などはどうなのか、私自身十分に理解していません。
投稿: finalvent | 2004.02.07 17:29
スクリーニングは…ウイルスより困難そうなのは確かですが。。
ちょっとウロウロしたら、こう言うのも
http://www.aventisbehring.co.jp/ab/n64431pr493460/detail.htm
あったので、原理的に不可能ということでは無いと思いますが…
投稿: どどど | 2004.02.07 18:20
こんにちは、はじめまして。
vCJDの血液感染は、神経内科医の方が
http://square.umin.ac.jp/~massie-tmd/bsecjd.html
で話題にされているようです。しかし報道機関での取り扱いは知りません。確かに露骨には書けない話題ですね。
投稿: 龍蛇蟄 | 2004.02.07 18:56
龍蛇蟄さん、こんにちわ。
良い資料ありがとうございます。
http://square.umin.ac.jp/~massie-tmd/bsecjd.html
の
・プリオン病のワクチン?
・再審請求
はなかなか興味深いですね。
感染原因の疑問は初期には時々出てましたが、最近は聞かないのでなんとなく確定したような印象を持ってました。こういう重要な事に脚光が当たらず、研究しにくい雰囲気になってるとしたら問題です。
投稿: どどど | 2004.02.07 19:32
龍蛇蟄、ども。どどどさんがすでにコメントされているように、ご指摘のページは面白いものでした。このブログの文脈でも、やっぱ、そーだよなと思うことが多いです。
投稿: finalvent | 2004.02.08 08:33
どどどさん、finalventさんコメントいただきありがとうございます。明日会社で時間を見つけて、久しぶりにLancetを読んでみることにします。
投稿: 龍蛇蟄 | 2004.02.08 22:20