ブラジルとFTAを結べば道が開ける
今朝の朝日新聞社説「米貿易政策 ― 保護主義が忍び寄る」はまたまた変な内容だった。なにも端からくさしたいとは思わないし、なにより、相手が何を言っているのかくみとらないことには話にもならないのだが、どうも朝日新聞の社説は表面的な言葉遣いの印象とは異なり、韜晦極まる。なにが言いたいのだ、という感じだ。
とりあえず理解の基本は、朝日新聞っていうのは左翼と反米という筋を抑えておくと八割がたその誘導なので、読み取ってもとほほになる。が、そうでもないことも最近はある。この社説でも基本は反米のようだが、まず、保護主義はいけないとしているのは確かだ。
米政府内では、こんどは来年秋の大統領選をにらんで、WTOの決定を無視してセーフガードを継続する案や、ダンピング(不当廉売)に切り替えて高関税を維持するべきだといった主張があるようだ。
ここは輸入制限を撤廃し、米国がいつも主張しているように競争力のない企業は市場から退場させるか、国際的なルールにそった再生の道を模索すべきである。
しかし、そんなお説教をたれても米国は聞かないよ。朝日新聞はいつまでも何様のつもりでいてもその議論は無意味だ(ま、他人事じゃぁないけどね)。ようは、米国がWTOを無視する政策転換を始めたという現実があるだけだ。
米国のFTA、FTAAについても同様。
米国が、自由貿易協定(FTA)を都合よく使うことで、特定の国や特定の製品についてだけ「自由貿易」を進めようとしていることも、憂慮すべき動きである。
先頃開かれた米州自由貿易地域(FTAA)を設けるための会議でも、米国は農業保護などが続けられるような枠組みで妥協し、「一品料理だけを選ぶアラカルト政策」と批判された。
それもただ現実なのだ。ご意見無用。事実を認識したい。だが、この社説は以上の流れとは唐突な結語になる。
メキシコとのFTA交渉が日本側の農産物保護でこじれているなど、「忍び寄る保護主義」は米国に限った話ではない。
しかし、米国が進める対テロ戦争の鍵を握るのは、テロ組織の土壌となりがちな途上国を味方につけることである。米国がいまのような貿易政策を続けるなら、外交・安保でもますます孤立し、国際社会が求めているテロの封じ込めという目標は遠のいていくだろう。
あれ? 朝日新聞は日本の農産物保護には否定の立場なのか。それまで米国を非難していた話の筋はどこに行ったか。ま、いいや、とにかるグローバルに保護主義はいけないという建前のお作文なのだ。でだ、なぜここにテロが出てくる? 落語の三題噺かよ。のわりには話がひどい。どうして、現状の米国貿易政策が途上国を離反させ米国の孤立を招くのか? 前回のカンクン会議の悪玉はインドとブラジルだろう。米国は悪玉というよりフカシ決めていただけだし、NTFTAからFTAAという孤立を避ける道に進んでいるではないか。とま、こんなこと言うだけ無駄だろう。
そもそも朝日新聞のように天から振ったような正義のWTOをかかげても意味ないという状況になったことを日本は認識したほうがいい。
というわけで、このところFTA問題について考えることが多い。日本はどうなるのかと心配だからだ。以下はちょっと別の話なのだが、ここにくっつける。
そうしたなか、今週の日本版ニューズウィーク12.3「国際経済 9年たっても不自由貿易」を読みながら、別の視点に気が付いた。これまでなんでこんなことに気が付かなかったのだろう。ブラジルである。
同記事はべたな翻訳なので日本のことは書かれていない。日本版の編集はへなちょこなのでこの問題と日本についての関連コラムなどはない。記事の要点は、FTAAがうまくいかないというだけだ。
FTAA(米州自由貿易圏)については基本的な解説をすべきかもしれないが省略する。ようはFTAAはNTFTA(北米自由貿易協定)を南米にまで拡張したものだ。NTFTAの米加墨3国を南米にまで拡張し、EUや中国に対抗する一種のブロック経済構想と言ってもいいかもしれない。
FTAAがうまくいかない理由を同記事では、ブラジルのせいにしている。そう、言うまでもなくカンクン会議をぶちこわしたブラジルである。つい、以前カンクン会議について触れたときはブラジルを夜郎自大に見てしまったが、このつっぱりはいいのではないか。つまり、日本は裏でできるだけブラジルに接近しておいて、FTAAをひっくり返してやるという国策は可能なのではないか。うまく行けば、FTAAのメキシコを動揺させることもできるので、その間にメキシコとのFTAを進め、さらに南米へと展開すれば面白い…というのは空想が過ぎるだろうか。
南米というと遠いが、とにかく日本を孤立させないようにすることが先決だ。しかもこれからの日本は米中間で賢く立ち回らなくていけないのだから、できるだけ反米・反中国の芽を密かに育てていく必要があるだろう。
アジア域でインドとマレーシアを取り込めば、単に日伯の2国FTAということではなく、もっと広がりの可能性もでるだろう。これをうまく育てれば太平洋をまたいだマハティール構想を復活させることもできるかもしれない。
と、どうも空想が暴走するが、いずれにせよ、ブラジルが日本にとってキーになりうるという認識はそれほど空想ではあるまい。
もっと日系人に日本での活躍の場を与え、ブラジルと日本の絆を深めていったらどうだろうか。そう思ってネットを見るとあながち空想とも思えない情報もあった(参照)。
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