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2025.07.01

山尾志桜里氏の参院選出馬

 山尾志桜里氏(50歳)。忘れていた。が、2025年7月20日の参院選に無所属で出馬を表明した。彼女の存在そのものが政治ドラマだ。2016年2月、はてなの匿名ブログで、あたかもマッチポンプであるかのような手際の良さで「保育園落ちた日本死ね」を衆院予算委員会で取り上げ、待機児童問題をガツンと訴えて脚光を浴び、2016年の流行語大賞トップ10入り、そして、民進党の政調会長に抜擢され、「子育て世代の星!」と持ち上げられた。が、2017年に不倫疑惑が週刊誌に報じられた。それでも、「説明? しないよ!」と突っぱねた。当然である。私事にすぎない。フランスのかつての大統領ミッテランも「Et alors?(それがどうしたの?)」と答えたものだ。とはいえ、政治資金のガソリン代疑惑も重なり、2021年には政界引退したらしい。知らなかったな。忘れていたな。思い出させてくれた。2025年5月。国民民主党が「山尾さん、参院選の比例代表でどう?」と復活オファーしたのだ。流石だ。ところが、6月11日には国民民主党は「やっぱナシ!」と公認見送りとなった。わけわからん。しかし、そうなれば、山尾氏は翌12日に「じゃ、独立するわ!」と離党届を提出し、7月1日に無所属出馬を宣言した。そうこなくっちゃな。まったく、国民民主党は何を考えていたのだろう。よくわからないが「改革中道」を掲げ、参院選で16議席を狙うらしい。

山尾候補に何の問題もない

 山尾氏の出馬、なにか問題でもあるのか。 答えはズバリ、法的には何の障害もない。他も無問題。2016年の「保育園落ちた日本死ね」騒動についても、彼女が匿名ブログを国会で取り上げ、待機児童問題を訴えたことで話題になり、Xでは「子育て世代の敵」と批判する声もあったのだが、彼女自身も子育て中の母親として認可外保育園に我が子を預け、「保活の大変さ、わかるよ!」と共感を示したくらいだ。「日本死ね」の復讐劇は国会の場でこそ果たされる。
 不倫疑惑? 2017年に既婚男性との交際が報じられたが、それこそ「プライベートな話でしょ」である。法的には立候補の障害にならない。個人の倫理観については、それこそ選挙で決着つければいいだけのこと。
 政治資金問題? ガソリン代や飲食費の不透明な支出が騒がれたが、検察も選挙管理委員会も「起訴? なし!」。スルーできた。問題がないのだ。ないといったら、ない。参院選への立候補はそもそも50歳の日本国民なら誰でもOKだ。山尾氏が「無所属でガンガン行くよ!」と叫ぶのは、まるで「セブンイレブンでカップ入り蒙古タンメンを買うぞ!」と同じくらい自由な激辛の権利である。

国民民主党は不倫を掲げるといい

 国民民主党が山尾氏を公認を見送った理由は「信頼不足」らしい。ちょっと、待て、よ。玉木雄一郎代表、2024年に不倫疑惑を「Smart FLASH」に報じられ、「おおむね事実、ごめんね」と頭下げてなかったか? 愛人疑惑の女性に衆院憲法審査会でヤジを飛ばされ、国民民主党は「玉木さん、3カ月静かにしてて」と役職停止処分にした。が、そんなことに意味はない。だから代表続投だったな。
 そういう国民民主党なんだから、「不倫ウェルカム。みんなハッピー」でいいんじゃないか。玉木が不倫でセーフなら、山尾も公認でいい。みんな違ってそれでいい。みんな同じでそれでいい。みんなどうでもいい。山尾氏も記者会見で「玉木さんの不倫は許されて、私がダメなのは男女差別!」とブチ切れとか聞く(すまん不確か情報だ)。玉木氏が「不倫ごめんね」で済むなら、山尾氏も「不倫ごめんね」で公認OKだったはず。駄目というなら、国民民主党の倫理基準を「不倫は1回までセーフ、2回目アウト!」みたいなルールにするといい。

参議院は「良識の府」だから不倫も「日本死ね」も良識に

 参議院は「良識の府」と呼ばれ、品格ある議論が期待される。だが、2025年の「良識」って何? ぶっちゃけ、不倫も「日本死ね」も新しい良識ということでいいんじゃないか。あるいはそんなの騒ぐなよが良識とだとかにしてもいい。不倫疑惑だって、そもそも玉木氏も山尾氏も法的にはセーフだ。AI化が進む現在、人間の良識が変わるべきだ(意味不明なことを言ってみた)。それでも、不倫より政策を、である。そもそも参議院議員の実態はスキャンダル満載なものだ。良識というのは、昭和のころからずっと反語なのである。



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