新たなJFK文書が多数発見される
すでにこのブログでもドナルド・トランプ前大統領が、ジョン・F・ケネディ(JFK)暗殺に関する機密文書の全面公開を掲げ、大統領令を発令したことは言及した(参照)。その後、想定外の事態が進展してきたようだ。この公開プロセスの中で、FBIがこれまで未発見だったJFK暗殺関連の文書を約2,400件新たに発見したとFox Newsが伝えている(参照) 。この発見は、2020年に開始された中央記録管理システムの電子化プロセスによるものであり、FBIの各地の支局から集められた未整理の捜査記録を電子管理する過程でJFK暗殺に関連する記録が含まれていることが判明した。
この新発見は、最初にAxiosが報じ(参照)、その後Fox Newsが「記録に詳しい人物」からの情報として確認した。これらの文書は、従来CIAやFBIによって公開を禁止されてきた機密文書とは異なり、意図的に隠蔽されていたわけではなく、単に未整理のまま埋もれていた可能性が高い。今回の発見がJFK暗殺の真相解明にどのような影響を与えるのかが今後の注目点となる。
JFK文書の公開経緯
くどいようだが、JFK文書の公開経緯を簡単にまとめておこう。1963年11月22日、ジョン・F・ケネディ大統領がダラスで暗殺された。この事件を受けて、FBIおよびウォーレン委員会が調査を行い、リー・ハーヴェイ・オズワルド単独犯説が公式見解とされた。しかし、暗殺をめぐる陰謀論や政府の関与を疑う声が根強く、米国民の間では「真相は隠されているのではないか」との不信感が広がったことは各種統計からも明らかである。
1992年には、JFK暗殺記録収集法(JFK Records Act)が成立し、政府機関は暗殺関連文書を段階的に公開することが義務付けられ、2017年、第一期トランプ政権下でJFK文書の全面公開が宣言されたものの、CIAやFBIの要請により数百件の文書が公開延期となった。バイデン政権も一部の文書公開を進めたが、完全公開には至らなかった。しかし、第二期トランプ政権が発足し、2025年1月23日、トランプ前大統領は再びJFK暗殺関連文書の機密解除を命じる大統領令を発令した。この動きにより、FBIが改めて文書を精査し、新たに約2,400件の未公開文書を発見することとなった。
発見の経緯
新発見の経緯は、第一期のトランプ大統領の大統領令がきっかけであった。2020年、FBIは中央記録管理システム(Central Records Complex)を開設し、全国の支局にある未整理の捜査記録を電子管理する作業を開始した。これにより、過去に未分類だった記録が精査されることとなった。その流れで、2025年のトランプ大統領の大統領令を受けて再調査したところ、JFK暗殺関連の未発見記録が特定された。
FBIの公式発表によれば、技術の進歩により記録検索能力が向上し、今回の発見につながったとしている。これまでの紙ベースの管理では認識されていなかった資料が、電子化プロセスを通じて改めて関連性が判明したという。今回の発見は、単に未整理だった記録が整理された結果であり、従来の公開延期文書とは異なる可能性がある。特に、新たな証拠や証言の有無が注目されている。
今後の展開
トランプ大統領の大統領令には、JFK暗殺文書だけでなく、ロバート・F・ケネディ(RFK)暗殺事件およびマーティン・ルーサー・キング・ジュニア(MLK)暗殺事件に関する文書も含まれている。現状では、今回の新発見文書がこれらの事件に関係するかは明らかになっていない。
FBIは発見された文書を国家公文書館(NARA)に移管し、機密解除の手続きを進めている。しかし、CIAやFBIが国家安全保障上の理由で、再び一部情報の公開を制限する可能性もある。これまで、政府は「国家安全保障上の懸念」を理由にJFK関連文書の完全公開を阻止してきた。今回の新発見文書についても、どこまで一般に公開されるかは不透明である。
JFK暗殺に関しては各種陰謀論が根強く残る中、新たな文書がどのような影響を与えるかも注目されている。もし新たな証拠が発見され、単独犯説を覆すものであれば、歴史的な再評価につながる可能性もあるが、既存の見解を補強する内容であれば、陰謀論は限定的になるだろう。率直にいって、発見したFBIとしてはそれなりに腹をくくっているだろうが、CIAが否定的に動けば、陰謀論を加勢しかねない。
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