児童虐待AI画像規制
英国政府は世界初となるAIによる児童虐待画像生成規制を発表した。この規制は、AIツールを使って児童虐待を描いた画像を生成したり、配布したりすることを違法化し、違反者には最高5年の懲役が科される。さらに、指南書ともいる「ペドフィリアマニュアル」の所持も禁止され、違反者には最大3年の懲役が適用される。この法律は、ネット上で拡散される児童虐待コンテンツを抑制するため、特に英国において深刻な問題となっている。
AI技術の進展とそのリスク
AI技術はここ数年で急速に進化しており、現在では誰でも簡単にリアルな画像を生成できる時代が到来した。ディープラーニング技術を用いることで、膨大なデータを学習し、現実の写真にかなり近いリアルな画像も作り出すことができる。この技術の進展により、AIツールを悪用すれば、現実の児童の顔を他の子どもと入れ替えたり、画像をヌード化したりすることが可能になった。その結果、物理的な証拠を伴わない虐待画像がインターネット上に拡散される危険性が高まっている。
インターネットウォッチ財団(IWF)の報告によれば、2024年にはわずか30日間で3,512件のAI生成児童虐待画像がダークウェブで確認され、そのうち10%は最も深刻な虐待を描いた画像だったという。この急増は、AI技術の悪用が深刻な問題になっていることを示している。さらに、実際の虐待を受けた児童の顔が使用される場合、その子どもは再び被害者となるリスクがある。AIによって生成された画像は現実の児童が関与していないとしても、見た目は現実そのものであり、発見が困難だ。こうした画像は単なる犯罪の枠を超え、被害者にとってさらに深刻な心理的トラウマを引き起こしうる。
英国の規制:世界的な先駆け
今回、英国が導入した規制は、AIを使った児童虐待画像生成を抑制するための強力な法的措置であり、非常に具体的に項目が挙げられている。まず、専用AIツールの所持、作成、配布の違法化がある。AIを使った児童虐待画像を生成するツールを所持、作成、配布することが違法とされ、違反者には最高5年の懲役が科される。
また、AIを使った虐待行為を教える「ペドフィリアマニュアル」は所持自体が禁止され、違反者には最大3年の懲役刑が適用される。さらに、ウェブサイト運営者にも規制がかかる。児童虐待画像や「グルーミング」方法を共有するウェブサイトの運営者には、最大10年の懲役が科される可能性がある。加えて、国境管理の強化とデバイス検査も規定されている。英国では、児童への性的リスクを持つ人物が入国する際、デジタルデバイスの検査を強化することが規定されており、その内容に応じて最大3年の懲役が科せられる可能性がある。
これらの規制は、AIを使った犯罪に対して実効性のある措置を取るためのもので、特にAIツールを使った悪用に対する法的対応は、これまで他国で見られなかった新しいアプローチであり、AIが引き起こす新たな脅威に対して、国際的な対応が求められていく先駆けとなるだろう。
現状では、米国や他の欧州諸国では、児童ポルノや虐待に関する法律が厳格である一方で、AIを使った犯罪にはまだ十分な対応が取られていない。今後、AIによる児童虐待画像生成の規制と並行して、成人俳優が非常に若い少女のように見える映像や、「ヌード化」アプリに対する規制を強化すべきだという意見も出ているが、この問題に対する対応は慎重に進められている。
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