Facebookへのバイデン政権の言論圧力
1月11日付のジョー・ローガンのポッドキャスト番組「The Joe Rogan Experience」はマーク・ザッカーバーグ氏とのインタビューであったが、そのなかで彼はバイデン政権からFaceook(現Meta)に言論統制の圧力があったことを証言している。特にFacebookがバイデン政権から受けた圧力として、COVID-19パンデミック時における情報統制の問題が語られた。ジョー・ローガンは総合格闘技解説者、コメディアンとしてのキャリアを経て、現在では一流のインタビュアーとして多岐にわたる話題を深く掘り下げる存在となっていて、第二期トランプ政権への影響力も大きかったと見られている。
ザッカーバーグ氏の発言を見ていこう。パンデミック初期、バイデン政権はワクチン接種を推奨するため、接種に関する否定的な情報を抑制しようとした。ザッカーバーグ氏は次のように証言している。
"During the Biden administration, when they were trying to roll out the vaccine program... they tried to censor anyone who was basically arguing against it."
(バイデン政権がワクチン普及プログラムを進めていた時期、反対意見を述べる者を検閲しようとした。)
具体的に削除要請された内容については次のように述べている。
"They basically pushed us and said... ‘anything saying that vaccines might have side effects, you basically need to take down.’"
(彼らは「ワクチンに副作用があると示す投稿は削除しなければならない」と要求した。)
この証言は、バイデン政権が投稿内容の真偽にかかわらず「不都合な情報」を削除対象としたことを示している。
こうしたバイデン政権の態度についてザッカーバーグ氏は次のように述べている。
"These people from the Biden administration would call up our team and scream at them and curse..."
(バイデン政権の担当者たちは私たちのチームに電話をかけ、怒鳴り声を上げたり罵声を浴びせたりしていた。)
つまり、これは単なる要請ではなく、威圧的な手法が用いられていたことが明らかになった。
バイデン政権による情報統制の対象は科学的議論にとどまらず、風刺やユーモアにも及んでいた。ザッカーバーグ氏は、レオナルド・ディカプリオの画像を使ったミームが削除要求の対象となった具体例を挙げ、次のように語っている。
"They wanted us to take down this meme of Leonardo DiCaprio... and we just said no."
(彼らはディカプリオを使ったミームを削除するよう求めてきたが、拒否した。)
この事例は、政府が単なる誤情報の是正ではなく、批判的な表現全般を抑制しようとしていたことを示している。さらに、バイデン大統領自身も記者会見でFacebookを批判し、次のように述べていた。
"These guys are killing people."
(「彼らは人々を殺している」と述べた。)
この発言を受けて、複数の政府機関がFacebookを調査する動きを見せた。ザッカーバーグ氏は当時を振り返り、次のように証言している。
"Then... all these different agencies... started investigating and coming after our company. It was brutal."
(その後、多くの政府機関が一斉に私たちの企業を調査し始めた。本当に厳しい状況であった。)
さらに、議会調査では、バイデン政権とFacebookのやり取りを示すメールが公開され、政府の介入が事実であることが裏付けられた。
"There are emails. The emails are published. It’s all kind of out there."
(メールは記録されており、それは公開されている。)
バイデン政権は情報の流通に対して直接的な介入を行っていたことが確認された。
この一連の事例は、民主主義における情報の透明性や言論の自由を守る上での重要な課題を示している。具体的な証拠として公開されたメールなどは、政府の直接的な介入を裏付けている。たとえ公衆衛生を守る目的があったとしても、政府の関与が不透明な場合には、市民の批判的思考や多様な意見の形成が妨げられるリスクがある。SNSは現代の「公共広場」として機能しているが、政府の圧力が強まれば、プラットフォーム運営者の判断が偏り、情報の多様性が損なわれる懸念が高まる。ザッカーバーグ氏はこの経験を通じて、今後の方針について次のように述べている。
"I feel like I just have a much greater command now of what I think the policy should be... and this is how it’s going to be going forward."
(現在では運営方針について確固たる理解を得ており、今後もこの方針を貫くつもりだ。)
今後、Facebookはバイデン政権が行った情報統制との反省で、ツイッター(𝕏)同様のファクトチェック体制を見直し、ユーザー同士が情報に注釈を付け合う「コミュニティ・ノート」機能を導入するなど、透明性を高める施策を志向するようになった。
バイデン政権の対応は、公衆衛生対策としての意図があったものの、その手法は言論の自由を損なうものであった。削除要請の対象となった投稿には真実に基づく内容も含まれていたため、Facebookは批判にさらされ、政府の圧力を受けた結果、内部調査や運営方針の変更を余儀なくされたのである。
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