米国コロナウイルス感染症に関する特別委員会報告書について
米国のコロナウイルス感染症に関する特別委員会は、2024年12月4日に2年間の調査を完了し、詳細な最終報告書「COVID-19パンデミックの後期評価:学んだ教訓と未来への道筋」を発表した。この520ページの報告書は、今後のパンデミック対応のための指針を示しているとされるが、全文は一般には公開されていない。そこで特設ページからの情報を以下にまとめた。
調査の背景と意義
最終報告書は、COVID-19パンデミックにおける米国の公衆衛生システムの問題点を明らかにし、将来のパンデミックへの備えを目的として作成されたものである。特別委員会は2023年2月以降、100以上の調査書類を送付し、30以上のインタビューや証言聴取を行い、25回の公聴会や会合を開催した。さらに、100万ページ以上の文書を精査し、重大な不正行為や問題点を明らかにするなど、大規模な調査を実施した。この調査は、これまでのパンデミックに関する調査の中でも最も徹底したものである。
調査範囲はパンデミックの起源からワクチンの承認プロセス、経済対策の透明性、そして政府機関の対応まで多岐に渡り、これらの問題を分析し、将来に向けた対策を示している。特に、公衆衛生システムに対する信頼の回復と、「全国一体となった取り組み」の必要性が強調されている。
パンデミックの起源と発見
最終報告書は、COVID-19の起源について「武漢の研究所からの漏洩の可能性が最も高い」と結論づけている。その根拠として以下の5点を挙げている。
- ウイルスに自然界では見られない生物学的特徴が存在すること
- 全てのCOVID-19症例が単一の感染源から始まっていること(これは、複数の感染経路が見られた過去のパンデミックとは対照的である)
- 武漢が中国の主要なSARS研究所の所在地であり、不十分な安全管理の下で機能獲得研究が行われていたこと
- 2019年秋に武漢ウイルス研究所の研究者がCOVID-19類似の症状を発症したこと
- 自然発生に関する証拠が提示されていないこと
さらに、COVID-19の自然発生説を支持するために「プロキシマル・オリジン」論文が公衆衛生関係者やメディアによって繰り返し利用されたことが明らかになり、そのプロセスの不透明さが批判されている。この論文は、ファウチ博士の意向を受けて、COVID-19の自然発生説を支持するよう促されたものであると指摘されている。
政府の資金提供と研究管理の問題
最終報告書では、アメリカ国立衛生研究所(NIH)を含む連邦政府が、危険な研究への資金提供と監督を怠ったことが大きな問題として指摘されている。「エコヘルス・アライアンス」が武漢での機能獲得研究を促進するために米国の税金を支出していたことが問題視され、研究助成金の条件違反が判明したため、アメリカ保健福祉省(HHS)は資金提供の停止と公式な除外手続きを開始した。
さらに、米国司法省(DOJ)がパンデミック期間中のエコヘルスの活動について調査を開始したことも報告されている。NIHの監督体制の不備、連邦記録保持法の回避行為、そして機能獲得研究の監督メカニズムの不備、グローバルな適用性の欠如も問題視されている。
COVID-19パンデミックに対する救済プログラムにおいても、巨額の資金が不正に流用されたことが明らかになっている。給付金詐欺や中小企業庁(SBA)の不備により、数十億ドルの税金が国内外の犯罪者に奪われた。特に、給与保護プログラムでは640億ドル以上、失業給付では1,910億ドルの詐欺被害が報告されている。
公衆衛生措置の効果と信頼の回復
最終報告書は、パンデミック時の公衆衛生措置についても評価している。具体的には、「6フィートルール」やマスクの効果に関する指導が科学的根拠に乏しかったことなど、これらの不確実な指導が国民の不信感を増幅させ、特に連邦政府への信頼を損ねたとしている。なかでも、マスクの有効性に関する結論が二転三転したこと、科学的データの提示がないままの措置変更による混乱、ロックダウンの長期化による経済的損失と国民の精神的・身体的健康への悪影響も指摘されている。特に若年層への影響が深刻であったとされている。
さらにニューヨーク州における高齢者施設へのCOVID-19陽性患者の強制収容による医療過誤も大きな問題として取り上げられている。クオモ前知事による虚偽証言も問題視され、司法省への刑事告発が検討されている。
ワクチン接種に関する問題点
最終報告書において、COVID-19用ワクチンについては、バイデン政権の圧力による承認プロセスの早期化と自然免疫の軽視が問題視されている。このワクチンの副作用に関する報告システムの不透明さにより、国民の懸念が招かれ、ワクチン全体の安全性に対する信頼が低下した。
また、COVID-19用ワクチンは当初期待されたようにウイルスの拡散を防ぐ効果はなかったことも指摘されている。ワクチン義務化は科学的根拠に欠け、個人の自由を侵害し、軍の戦備に悪影響を与え、医療の自由を無視したと批判されている。
学校閉鎖とその社会的影響
最終報告書では、COVID-19による学校閉鎖は、深刻な学業成績の低下や心理的影響をもたらしたとしている。科学的根拠がないにもかかわらず長期にわたった学校閉鎖の結果、子供たちが歴史的な学習損失を被り、心理的ストレスが増加したことが記されている。この結果、標準化テストのスコアの低下、精神的・身体的健康問題の増加が報告されており、特に12~17歳の女子における自殺未遂の増加が顕著であるとされている。
学校再開に関するガイドライン策定過程においては、政治団体がCDCに影響を与えたことも明らかになり、問題視されている。特に、アメリカ教師連盟(AFT)がCDCの学校再開ガイドラインに対して特定の表現を提案し、それが受け入れられたことは問題である。
政府機関の対応と情報操作
最終報告書では、保健福祉省による特別委員会の調査妨害、エコヘルス・アライアンスによる情報隠蔽、モーレンス博士による証拠改ざん・虚偽証言といった政府機関の不適切な対応が批判されている。
また、公衆衛生当局による矛盾するメッセージや、透明性のない対応による情報拡散、ソーシャルメディア企業への圧力による検閲なども問題視されている。トランプ政権による渡航制限は人命を救ったと評価されているが、ファウチ博士による初期の対応は批判されている。
今後の課題と道筋
特別委員会の最終報告書は、将来のパンデミックへの備えのための教訓として、「透明性、説明責任、誠実さ」が公衆の信頼回復に不可欠であり、パンデミック対策は「個人的な利益や偏見を持たない者」によって管理されるべきだと強調している。
WHOの対応についても、中国共産党への屈服と国際的義務の軽視が批判されている。そして、パンデミック条約についても懸念が示されている。
次回のパンデミックに備えるには、公正で全国一体となった対応が求められる。今回の教訓を生かし、次世代のためにより良い準備を進めていくことが重要であるとしてその意義をまとめている。
| 固定リンク