政治家の不倫と国民性について
お笑いを一席。私、67歳になるんですよ。このブログを始めたころは、45歳。ありゃ、あっという間に22年です。四半世紀、近い。長い年月です。ですからね、ブログ始めたころ、よく言われたもんでしたよ、「お前なんか死ねばいいのに」ってね。まあ、日本もまだまだ野蛮な時代でしたね。新宿から皇居までずっと焼け野原。ぐるーっと。で、時は流れる。令和の6年。神様っていうのは、時間だけは公平なんですな。私に罵詈雑言なげた人も死んじゃうもんです。いや別にそうでなくても死んじゃいますし、私も早晩死んじゃいますよ。おっと、そんな暗い話をしたいんじゃありません。話は、不倫です。どっかーんと不倫。ふーりん火山、なんて。おや、笑うかたもいらっしゃらない。
いや、玉木のだんなの不倫の話。国民民主党の代表、玉木雄一郎さんですな。イケメンで知的な印象の政治家さん。55歳。なんか、とんでもないスキャンダルで世間を騒がせてると小耳に挟みまして、これはモリカケの呪い返しかと、ワクワクテカテカ、覗き込んだ。ゲス、ゲスです。一番の興味は、お相手。誰?なんでも、お相手は元グラビアアイドルで、高松市の観光大使を務める美女らしい。ああ、なんか昭和の芳醇な香りがプンプンしてきますなぁ。だって、考えてもみてよ。玉木さんといえば、東大法学部を首席で卒業して、ハーバード大学院で学んだエリート中のエリート。財務省のキャリア官僚としても鼻高々。そんな玉木さんが、選んだ、不倫のお相手。見ました。見ましたとも。びみょー! いや、素敵ですよ。でも、これかい? いや、なんでしょ、びみょー!大切なので二度叫んでしまいました。これは、彼女さんの内面に惚れ込んだ。かな?で、ゲスのみなさんが関心を持つ学歴は? というと、学習院大学、おっとぉ、やべーものを踏んじゃいました、愛子さまのご先輩。しもじもは立入禁止区域かもしれません。
いやもっと楽しく、ふ・り・ん、を語りたいものです。皆さん、ぐんと、世界に目を向けてみましょう。政治家の不倫なんて、グローバルスタンダードに、ザラにあるんですよ。ザラですよ。ユニクロじゃない。で、まずは、例えば、我らが軍事同盟国、頭があがりませんな米国というと、平成20年。なにも元号で言うことはない?いいじゃないですか、平成の闇こそ私たちの身近な歴史。ニューヨーク州知事のスピッツァーさんは、高級娼婦クラブの常連客だった。バレたあ。辞任したあ。で、皆様の前で謝罪。玉木さんみたいに、立派なカンペなんか持ってないですよ。かんぺがバレたらみっともないじゃないですか。で、スピッツアーさん、妻のシルダ・スピッツァー氏が隣に立ちっての謝罪会見。米国では、不倫の謝罪会見には妻を同席させるのが定番なんです。ぐっと手もつなぐ。ジョン・ミルトンの失楽園の最後のシーンのようですな。"They, hand in hand, with wandering steps and slow, Through Eden took their solitary way."「二人は手を取り合って、さまよい歩きながら、エデンを静かに去っていったのです」ってな。『失楽園』ですよ。あれです、映画でご覧になったかたもいるでしょう。違います。なんの話でしたっけ、おっと、夫の不倫を許す寛容な妻です。夫婦はそうであるべきだ。米国文化に精通している玉木雄一郎も、え?妻さん、同席しない。そうなの?
米国の不倫で私が泣けたのは、CIA長官のデビッド・ペトレイアス。イラク戦争の英雄にして情報機関のトップ。ネオコンの重鎮。これが、愛人と文通していた。文通、いいですね。今どき、文通って知ってますか。知らない? このこそばゆい思春期が文化が廃れて嘆かわしいですよ、私は。で、ペトレイアス君、文通から恋。その、そもそもお相手が、彼の自伝のライターで、ライターっていうのは、おっとと、ライターの本性なんか面白くありません。でまあ、恋です。それで、中学生では思いつきそうもない手法で文通した。送信しゃなきゃバレないと思った。IDパスワードを愛の証で一体にして、Gmailの下書きフォルダを使ってまして、文通。バレまーした。バレるだろ。知性と愚かさのマリアージュという稀有なほどの凡庸さではあったはといえど、この不倫は、なんだろ、涙を誘うような阿呆感が漂う。
米国の話は飽きました。では、おフランス。おフランスには、独特のarrogance、おっと、日本人だから、RとLを間違っちまったぜ、élégance、がありますな。「不倫は文化」です。サルトルの言葉でしたっけ。ミッテラン大統領は不倫がバレた時は、『Et alors?(で、それで?)』の一言で片付けた。オランド大統領に至っては、ヤマハの排気量50ccで、颯爽と女優の愛人宅に通う姿をスクープされても、それは単なる笑い話で終わった。オワタ。笑い話。はは。面白い。エスプレリザンス。セ・シェー。
ドーバー海峡をはさんで、お次はイギリス。ホラーのお国柄。背筋が凍りますよ。ときは、1963年、プロフューモ事件というのがありましてね。高校の世界史で学びましたね。学んでない? 歴史総合、なんですか、それ。でま、当時の英国の陸相のプロフューモさん。クリスティン・キーラーという女性とスキャンダルを起こした。で、そのキーラーさんは、ソ連の武官とも関係があったんです。スパイ映画じゃあるまいしって、スパイ映画を地でやっていた。事実は小説よりも奇なり、ってね。原典はご存知。英国の詩人バイロンの未完の風刺詩「ドン・ジュアン」の一節でして、原文は”This is strange, but true. For truth is always strange. Stranger than fiction”、「そは奇妙なりしも事実なり。真実なるものは常に奇妙なり、虚構よりも、はるかに奇妙なり」と。いけません。つい教養が滲んでしまいます。
スパイといえば、スパイファミリーじゃないけど、東ドイツの秘密警察シュタージの話をしましょう。「東ドイツ」いいですな。今の若いもんは知りません。せめて4・3の『マスターキートン』くらいは見てもらいたいものですが、これは『スパイファミリー』のネタ元とも言えますが、東ドイツは、西側の政治家の不倫を監視・記録することに血眼だった。彼らは「ロミオ作戦」と呼ばれる美男子スパイを、西側の女性政治家や要人の妻に近づける工作まで行っていた。いや、まじだって。スパイものは、そんな昔に終わったわけでもありません。2017年のノルウェーでは、漁業相のペル・サンベルグが、亡命希望のイラン人女性との不倫疑惑で辞任した。彼女がイランのスパイだった可能性も指摘された。なんともイランお世話だ、ええ、オチがおろしいようで、ってまだやるの?次どこ?オーストラリア。
さて、オーストラリアの話は、またスケールが違いますな。副首相のジョイスさんが不倫で辞任に追い込まれた。が、なんと、不倫相手と事実婚して副首相に返り咲いた。最後に愛は勝つんです。ってか。玉木さん、この手があるんですよ。「やり直し」を許容する寛容さが国民民主党に求められるものです。
不倫は文化ですが、欧米だけが不倫こいているなと思うなよ。インドネシアでは、2011年、与党幹部のアニス・マッタが、国会内での不倫現場を警備員に目撃されましたが、彼は「祈りを捧げていた」と主張した。そうなんじゃないか、疑うなよ。神様というものは信じなけれいけません。翌年、2012年、台湾国民党の林益世秘書長が、愛人との関係とそれに絡む汚職で逮捕された。彼は記者会見で、私は道徳的に問題のある人間ですと涙ながらに告白した。いいですね。この自白の強要。ネットフリックス『三体』見ましたか、あの冒頭。あれこそ中国。造反有理。中国が台湾統一を望むのもなんかわかる挿話ではありませんか。そして、真打ち、ロシアのプーチン大統領。2008年、彼は体操選手のアリーナ・カバエワと不倫にあるとの報道した。あるわけないだろ。プーチンだよ。あるわけない。プーチンだよ。どこが報道したんだ、ん?そんな新聞社は、ない。消えてしまいました。プーチンにたてつこうなんて百年早いです。
こうして不倫の世界をぐるーっと見渡すと、日本はなんといっても侘び寂び。『風姿花伝』の趣きさえあります。「秘すれば花なり、秘せずは花なるべからず」、バレるようじゃいけません。不倫は秘すれば花。これが幽玄。不倫は、幽玄実行と申しまして。
さてさて、私、誰か忘れている。マクロンさんでしょうか。あれはいけませんな。あんな感じなんですが、おっと、思い出した。トルドーの息子さんだ。彼、不倫スキャンダルがないんですよ。イケメンでリベラルなのに、不倫がない。イケメンでリベラルなのに、不倫がない。なんですか、そんな例外作っていんですか。
てな、わけで、政治家の不倫は、世の常です。国民民主党の代表、玉木雄一郎さんが例外というわけではありません。男も女もチャンスがあればやってみたいものです。旧約聖書の伝道の書に「何事にも時があり、天の下の出来事にはすべて定められた時がある」といいます。泣くに時があり、笑うに時があり悲しむに時があり、話すに時がある。時間です。お後がよろしいようで。
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