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2020.07.25

7月24日のテグネル博士の見解

 スウェーデン国家疫学官ニルス・アンデシュ・テグネル(Nils Anders Tegnell)の新しいインタビューが UnHerd に掲載されていて興味深かった (参照)。簡単に紹介しておきたい。
 まず、スウェーデンの対応について、隣国との比較で失敗だったという論点については、こう語っていた。

Mortality is hardly an afterthought — so why is Sweden’s mortality rate so high? At around 550 per million of population, it sits just under the UK and Italy but far above neighbouring Norway and Denmark. Dr Tegnell offers a collection of reasons: with its larger migrant populations and dense urban areas, Sweden is actually more similar to the Netherlands and the UK than it is to other Scandinavian countries; he believes the Swedish counting system for deaths has been more stringent than elsewhere; also, countries are at different points in the epidemic cycle so it is too early to compare totals.

死亡率については後知恵というものでもありませんが、スウェーデンの死亡率はなぜこんなに高いのでしょう。人口100万人あたり約550人のスウェーデンは、英国とイタリアのすぐ下に位置しているものの、隣国のノルウェーとデンマークをはるかに上回っています。テグネル博士はいくつか理由を挙げています。スウェーデンは、移民人口が多く、都市部が密集していて、実際には他のスカンジナビア諸国よりも、オランダや英国に似ていること、スウェーデンの死亡者数統計が他の地域よりも厳格であること、さらに、国によって流行の時期が異なるので、合計を比較するにはまだ時期尚早過ぎること、です。

 たしかに、スウェーデンは北欧だから、北欧でまとめて比較したくなるが、重要なのは社会のタイプであるだろう。
 ロックダウンの影響ついては、こう答えていた。

“We don’t know. It would have made maybe some difference, we don’t know. But on the other hand we know that lockdowns also have big other effects on public health. We know that closing schools has a great effect on children’s health in the short and the long term. We know that people being out of work also produces a lot of problems in the public health area. So we also have to look at what are the negative effect of lockdowns, and that has not been done very much so far.”

「ロックダウンするかしないかで、何か違いはあったでしょうが、私たちはわかりません。他方、ロックダウンが公衆衛生に他の大きな影響を与えることはわかっています。学校を閉鎖することは、短期的にも長期的にも子供の健康に大きな影響を与えることはわかっているのです。仕事ができない人たちもまた、公衆衛生分野で多くの問題を引き起こすこともわかっています。ですから、ロックダウンのマイナスの影響についても注視する必要がありますが、今のところあまり行われてはいません。」

 ロックダウンがもたらす問題は、日本でも今後より大きくなっていくだろう。
 日本でも根絶への理想やワクチンへの期待をもっている人が多いが、その点はどうだろうか?

"I don’t think that this is a disease that we can eradicate – not with the methods that we have right now. It might be a disease that in the long term we can eradicate with a vaccine, but I’m not even sure about that. If you look at comparable diseases like the flu and other respiratory viruses we are not even close to eradicating them despite the fact that we have a vaccine. I personally believe that this is a disease we are going to have to learn to live with."

「私は、これは私たちが根絶できる病気だとは思いません。私たちが現在持っている対処法では無理でしょう。長期的にはワクチンで根絶できる病気かもしれませんが、私にはそのような確信すら持てません。インフルエンザや他の呼吸器ウイルスのような病気と比較してみてください。私たちにはワクチンがあるという事実にもかかわらず、私たちはそれらを根絶に近づけることすらしていません。個人的に思うことですが、この病気とは共存を学んでいくべきでしょう。」

 各国で標準となりつつあるマスクについてはどうだろう? 彼はマスクを未だに推奨していない。

“One reason is that the evidence base for using masks in society is still very weak. Even if more and more countries are now enforcing them in different ways … we haven’t seen any new evidence coming up, which is a little bit surprising. The other reason is that everything tells us that keeping social distance is a much better way of controlling this disease than putting masks on people. We are worried (and we get at least tales from other countries) that people put on masks and then they believe they can go around in society being close to each other, even going around in society being sick. And that, in our view, would definitely produce higher spread than we have right now.”

「マスクを推奨しない理由の一つは、社会でマスクを使用するための医学的証拠の基礎がまだ非常に弱いためです。 現在、より多くの国が各種の方法で実施しているのに、新しい証拠は浮上してきません。ちょっとびっくりしちゃいますよね。理由のもう一つは、この病気を制御する方法としては、社会的距離を保つことが、どう見ても、マスクをするより優れているということです。 私たちは心配していることがあります。そして少なくとも他の国からも話を聞きくのですが、人々がマスクを着用すると、人々は密接に関わりながらも社会に出回ることができると思い込んでしまうのです。社会に病気が蔓延しているのにですよ。この事態は、私たちの考えでは、この誤った信念は、私たちが現状思っている以上に、決定的な蔓延をもたらすかもしれません。」

 最終的な予想についてはこうだった。

His belief is that, in the final account, the Infection Fatality Rate will be similar to the flu: “somewhere between 0.1% and 0.5% of people getting infected, maybe … And that is not radically different to what we see with the yearly flu.”

 彼の確信するところでは、最終的には、この感染症死亡率はインフルエンザに似ているだろう、いうことだ。「人々が感染は、0.1%と0.5%の間ででしょう。おそらく、それは例年のインフルエンザで見られるものと根本的に異なるわけでもありません。」

 インフルエンザはただの風邪とは言えない重篤な病状も引き起こすが、死亡率の点ではそれらと特段に変わらないだろうということだ。つづけて、他の欧州各国より、スウェーデンでは実質的な免疫が確立しているだろうとも述べている。彼の考えを援用すれば、おそらく日本でも見かけ上の感染者が増えるほうが、社会全体の免疫はより早期に実現できることになりそうだ。

 

 

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