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2020.08.01

[書評] ミサ曲・ラテン語・教会音楽 ハンドブック

 モーツアルトの Ave Verum Corpus とか歌っているときは、あまり気にならず、これは、教会ラテン語だろうと思っていた。例えば、

 in cruce pro homine

 この ce だが、古典ラテン語のように、「ケ」ではなく、教会ラテン語的に「チェ」としていたのだが、どうやら、これは、教会ラテン語ではなく、ドイツ式ラテン語らしい、と知った。
 ようするに古典ラテン語とドイツ式とは別にあるらしい。それどころか、フランス式もあるらしい。フォーレのレクイエムとか、どう歌えばいいのだ?
 ということで、自分なりに整理したいこともあり、『ミサ曲・ラテン語・教会音楽 ハンドブック』を購入した。類書の『レクイエム・ハンドブック』はもっていて、ワープロ製本のような簡易な書籍だったので、こっちもそうかと思ったら、けっこうぎっちり内容があった。
 目的の、古典ラテン語、教会ラテン語、ドイツ式ラテン語の違いはきちんと書かれていた。フランス式についてはなかった。
 大学でのラテン語教育でも、基本として古典ラテン語の発音でよいだろうが、教会ラテン語の発音もきちんと授業で触れたほうが有益なんだろうと思った。我ながら、曖昧に過ごしていたので反省することしきり。
 というわけで、とりあえず、当初の目的は達したのだが、同書で、ミサ曲を振り返ってみると、なんだろ、けっこう驚いたというか、西洋音楽におけるミサ曲の重みについて、思い知らされた感がある。
 一応、音楽史などの書籍を読んだり、講義もいくつか受けたりして、それなりに基礎知識はあると思っていたのだが、ミサの全体のなかで、西洋音楽のミサ曲を見直すと、圧倒されるものがあった。
 著者は、聖職者ではないとのことで、カトリック的な記述は少ない。同書でその部分の厚みを多くしてほしいというわけではないが、個人的に、ミサというものももっと理解を深めたほうがいいだろうなという、なんだろ、誘惑のようなものには駆られた。
 話は前後するが、比較的小冊子ではあるが、『レクイエム・ハンドブック』も好著で、西洋音楽愛好家なら、むしろこっちのほうは手元に置いてよい本だろう。

  

 

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