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2020.06.19

筑摩書房創業80周年フェア Kindle本セールのお勧め

 今日は、ええと、19日。というと、明日までか。筑摩書房創業80周年フェアで、Kindle本のいくつかが格安価格で売られている。200円以内という感じ。
 で、Twitterでどれがお勧めですかと聞かれたので、4冊ほどお勧めした。お勧めしたいと思った理由には、ちょっと僭越だけど、安いからと言って背伸びした読書をするのはどうかなという思いもあった。
 例えば、『社会科学の名著30』というのは良書なんだけど、マックス・ウェーバー『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』やエミール・デュルケーム『自殺論』を10ページほどで解説するというのは、社会学に関心ある人やインテリ憧れる若い人くらいにしか意味ないんじゃないかと思う。それでいて、カール・マルクスについてはフリードリッヒ・エンゲルス共著の『共産党宣言』しかないとなると、なんだろ、困惑する。ミシェル・フーコー『監獄の誕生』やマーシャル・マルクーハン『メディア論』にいたっては、概説を読むことでその本が読めたことにならない逆説になる。
 とま、しかし、この本を批判したいわけではない。ただ、読書人が読むというタイプの本ではないように思う。
 さて、では、4冊のお勧めと、あとから、加えたもう1冊について簡単に触れておきたい。

 

『レジリエンス入門 ──折れない心のつくり方』

 

 お勧め理由は、「レジリエンス」という考えに触れておいておくきっかけにしてほしいということ。プリマーに入っているけど、中年向きの書籍だと思う。
 著者は、人生には二度の危機が訪れると言っている。最初は、思春期。二度目は、中年期。小学生くらいの子供を抱えるような時期といってもいいかもしれない。40代半ばくらいだろうか。子供がなくても中年期の精神的な危機は来るものだとも思う。
 本書は、率直に言って学問的には疑問な点はある。マズロー心理学をそのまま受け入れたりもする。とはいえ、いちど、「レジリエンス」という考えに触れておくのはいいと思う。


『西洋美術史入門』

 

 西洋美術史の入門書はいろいろある。以前にもこのブログで関連記事も書いた。この本を勧めるのは、とてもよく書かれている、という点と、てらいがないという点である。美術関連の書籍は、著者の嗜好や考えがきついものが多いが、本書は、そのまま読めて、きちんと学べる。当然、反面、深みはない。私が最近関心をもっているセザンヌについても、キュビズムのながで当たり前の言及しかしていない。しかし、むしろ、そのバランス感覚がいいと思う。
 芸術はつい感性が問われると思われがちだし、実際、そのとおりでもあるのだが、普通に積み上げて学ぶ面は大きい。


『世界史をつくった海賊』

 

 一時期、世界史本が教養として売れていることがあった。世界史の知識を網羅的に知りたいという社会人の要求に応えたもののようだった。つられて、山川の教科書やそれっぽい書籍も社会人に売れた。たしかに、教養というと、世界史の豊富な知識と考えたくなる。ネットなだと、歴史クラスターとかぶいぶい言っている人もいる。
 でも、歴史が教養であるということは、物語として読み取ることだ。ネットの歴史クラスターさんらは塩野七生や司馬遼太郎を叩くのにご執心な人が目立つが、歴史を物語として提出され、味合うというのは、歴史というものの、基礎的な感覚である。そこから、歴史学的な像へと移っていけばいい。最初から歴史学というのはプロパー志向ではあるけど、教養の自然なあり方とは思えない。
 そういう意味で、本書は、歴史の物語から歴史学への橋渡しになる好著であると思う。そしてそこから得られる知識は物語的な有機性のなかで理解される。歴史が好き、歴史を学ぶというのは、こういうことだという事例になると思うので、お勧め。


『高校生からの統計入門』

 


 文字通りの本である。統計学の入門書は他にも良書はいろいろあり、本書が決定版とも思えないが、読みやすい。ただ、読者は、一般読者より、理系などに進む学生が対象だろうかとも思う。論文の書き方などもあるので。
 現代社会人は、統計学の基礎知識というか、統計学の感性をもったほうがいい。その意味でお勧めする。
 余談だが、私は、中学生のとき、『統計クラブ』というの所属していた。そんなものがあったのかと疑われるが、あったのである。模造紙を貼り合わせて床に広げ、数字を書き込み、電卓叩いて、多変量解析とはやっていたのである。うへぇ。


『日本語全史』

 

 この本は、良書であると思う。ただ、お勧めはできないかなと思った。一般の人がこの知識を知るべきかよくわからない。
 そして、もう一つの理由。私と考えが違う、というか、視点が違う(私は古典文法体系自体に疑問を持っている)。どまあ、これはクソみたいな理由である。率直に言えば、本書は良書であって、自分の考えのほうがクソなのである。
 私は、あらかた書き上げたけど、公開していない古文の参考書があって、女子高校生2人に古文を教えるというしょーもない本なのだが、そこで、事実上、日本語全史を扱っている。で、さて、どうしたものかなと困惑している。
 と、言われてもなんなので、一つ具体的に候文の扱いがある。本書では、片仮名の文脈で説かれていが、私は、疑似漢文として考えている。
 ごちゃごちゃ言ったが、本書は普通に良書であるし、自分も同書から学んでいる。読みやすくはないとは思う。

 

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