対不起(Duì bù qǐ )は、なぜ「トイ・プ・チー」ではなく、「トエ・・プ・チー」なのか?
対不起(Duì bù qǐ )は、なぜ「トイ・プ・チー」ではなく、「トエ・プ・チー」なのか? つまり、拼音の ui は、なぜ、「ウイ」ではなく「オエ」なのか。
IPAで書くと、対(duì)は、 [tueɪ]である。
なので、拼音で 対(duì) は、「トゥエイ」のほうが近いかもしれない。が、u は日本寺には「オ」に近いようにも聞こえる。
問題は、2重母音のように見える uì は、 [ueɪ]になっていることで、拼音がわかりにくい。水「shui」も、「シュエイ」。日本語だと、水「スイ」なんで間違いやすい。
この問題というか、疑問は、実は簡単に解結する。拼音表を見ればいい。韻母のところが、uei になっていて、これが、d につくときは、dui になる。つまり、ui という拼音表記は、uei の省略形であるに過ぎないので、そのまま音価を示したものではない。
なにより、中国語(普通話)には、単母音の u がそもそも存在しない。ui という二重母音も存在しない。
こうした略記は、介音が関係するときに起きる。
丢(diū)も、「ディウー」ではなく、dioū の略記なので、「ディオウ」に近くなる。酒(Jiǔ)も同様。
去(qù)だが、これは、qü なので、IPAでは [tɕʰy]。ウェード式だと、chüで、ウムラウトを残す。
春(Chūn)も、略記を戻すと、chuen で、enは、曖昧母音のeなので、「チョオン」のようになる。
以上は、拼音の便宜表記と、非省略表記の差と言っていいだろう。つまり、学習時の拼音と現行の非略記を分ければいい問題である。
で、以上はそうなのだが、拼音表を見ていて、困惑するのは、i である。連想しやすい i の他に、zi の ɿ 、zhの ʅ が別音として存在する。これはなんなのかだが、四呼という考え方では、こう考える(Wikipedia)。
開口呼 - 韻頭・韻腹にiやu、yの音を伴わない韻母
斉歯呼 - 韻頭・韻腹がiで構成される韻母
合口呼 - 韻頭・韻腹がuで構成される韻母
撮口呼 - 韻頭・韻腹がyで構成される韻母
そこで、こう分かれる。
開口呼 - i (IPA: /ɿ/)(IPA: /ʅ/)
斉歯呼 - i (IPA: /i/)
合口呼 - u (IPA: /u/)
撮口呼 - ü (IPA: /y/)
私見だが、おそらく四呼の考えかたは間違っていて、これらは、介音と曖昧母音の音素eの発声上の変異だろう。
加えて私見だが、単母音の o とされているのは、介音の w と o を合わせたものかもしれないとも思う。ここはよくわからない。
いずれにせよ、拼音には、Complementary Distribution が見られるので、実際の音素構造は、拼音とはかなり異なるものなのではないかと思う。
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