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2020.06.30

[アニメ] 響け! ユーフォニアム

 なんとなく今はいいかなあと思ってパスっていた京アニの『響け! ユーフォニアム』だが、2つのシーズンを見た。そして、現在2周目で、2シーズン目の途中。これは4周くらいしそうな気がする。なお、『リズと青い鳥』も見たのだが、それはまた。
 すごい作品だった。アニメとして、ここまで繊細な作品というのはあるのだろうかと思った。その繊細さというのは、それが見える人には見えるようにできている。押し付けがましさはない。どう見てもいいし、その一例でいうなら、ごく凡庸な物語として見ることもできるだろう。ストーリーも、繊細さのなかにスリルがあるが、そうでなければ、日常の物語である。しいていえば、花田十輝さん的には、『やがて君になる』の先駆的な意味合いもあるのだろうが、それがこの作品の本質というものでもない。
 吹奏楽、広義に音楽のアニメとしても秀逸で、というか、秀逸すぎて、あー楽器練習しようかあ、という気になる。音も美しい。
 個人的にはロケーションもツボだった。私は宇治が好きで4回くらい行っている。私の好きな道元のゆかりというのもある。子供も連れて行った。あの宇治川の風景が好きだ。
 アニメとして、主人公の黄前久美子の声優・黒沢ともよも良かった。『宝石の国』のフォスフォフィライトも彼女以外が想像できないが、黄前久美子についてもそう。微妙に覚めた投げやりなモブ感が違和になる微妙な声は彼女だけのものではないだろうか。
 作品としては、音楽というある超越的ななにかが、私たちの凡庸な日常を横切るとき、どうしてもある何かを残すということではある。それはそのまま超越性といってもそうなのだが、それでも無駄なトートロジーだ。アニメの群像は、絶えず、その超越性を音のなかに聞き取り会い、それを繊細な人間関係の視線のなかに返していくのだが、その細い線が生の意味と、ある意味、絶望を織り上げていく。
 これがアニメでなければできない作品なのかというと、おそらくそうなのだろう。京アニというのはすごいものなのだと改めて思った。

  

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