好きな絵本は、五味太郎『がいこつさん』
一番好きな絵本は何?と聞かれて、若い頃は、佐野洋子の『100万回生きたねこ』を挙げていた。それほど有名でもなかったのだ。いつからか、超有名になり、ドラマ『この声を君に』にも出てきた。世の中で広く認められた作品が好きでもいいのだが、佐野洋子という人を知るにつれ、この作品は、彼女の人生の悲しさにも思えて、今ではあまり好きではない。
他に若い頃は、モーリス・センダックの『まどのそとのそのまたむこう』も好きだった。今でもあるかなと見るに、偕成社の新訳があり、酷評だった。まあ、しかたないだろう。
さて、今ではどの絵本が好きかというと、五味太郎『がいこつさん』である。
話は。がいこつさんがベッドで寝ている。でも、よく眠れない。何かを忘れているような気がして、起きだした。思い出そうとするが思い出せない。夜の町に散歩に出かけることにした……。
そして最後に何を忘れていたか、思い出す。
いちおう、ネタバレでもあるので書かない。
が、ネタバレが大きな意味を持つものでもない。
なにが面白いのかというと、死者がこの世に残す思い、死者として見る光景、それらにどことなく、既視感があることだ。がいこつさんの口癖、「それも、そうだな」がとてもいい。
この絵本には、アニメーション版もある。BGMのジャズピアノもとてもいい。
と、調べてみたら、YouTubeの五味太郎の公式チャネルにあった。
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