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2020.06.11

言語と表記

 ところで、これ、なんだと思います?

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 すぐにわかると思うけど、答はあとで。
 さて、ある言語がどのような表記体系(writing system)を持つかというのは、文化や歴史に依存する。何か正解があるわけではない。現在の日本語については、表面的な表記体系としてはおそらくもっとも複雑だろうとは思う。ひらがなに加え、漢字とかたかながあり、さらにローマ字もある。ただし、ローマ字は別の表記体系とされている。
 朝鮮語は、私が子供のころは、漢字とハングル混じりだったので、子供でも漢字を知っているとそれなりに意味が読み取れた、というか、普通に、李承晩(りしょうばん)や朴正熙(ぼくせいき)といった漢字はそのままあった。印象としては、いつからか、ハングルだけになってしまった。
 中国の簡体字の普及もいつのまにかという印象はある。
 日本語の漢字も変わった。若い頃、岡崎友紀が主人公で松坂慶子もいたコメディドラマ、あれ、Wikipediaを見ると、『おくさまは18歳』とあるが、間違いでもないのだが、『おくさまは18才』の表記もあった。映画とかはそうだったように思う。ワープロが普及して、日本語の表記も変わってきた。「ら致」も「拉致」になった。そういえば、『世論』も本来は『輿論』だったが、その頃も別途『世論(せろん)』があったか、議論はいろいろあるようだが、現実にはさほどなかったように思う。
 漢字というのは面白い表記システムである。難しいようだが、慣れれば、むしろ速読の便宜にもない。とはいえ、初学者には難しい。ので、毛沢東も若い頃は、漢字廃止論だったらしい。最近、中国語の学習を再開して思うのは、もしなんかの行き違いで、中国語から漢字が消えてもそれほど問題はなかったんじゃないかと思うようになった。冒頭、へんな表記を掲げたが、中国語を拼音にして、語末の i を英語風に y にしてみたものだ。
 実際のところ、これでそれほど問題ないのではないだろうか?
 現在、Paul Nobleの中国語教材も使っているが、これは音声だけの教授法で、漢字はほとんど教えない。中国語の発音も体系的には教えていない。そうして学んでみると、中国語は英語とさほど変わりない。
 昔、歴史学者の岡田英弘先生の講義を受講していたとき、先生は、英語を喋りながら、漢字で板書するというのを実演してくれた。実際のところ、英語はほとんど活用がないから、記法さえ決めておけば漢字で書ける。英語という言語が漢字という表記体系を持っていても不思議でもない。
 というか、英語はスペリングが発音と乖離しているから、実際のところ、脳内での処理は漢字ようになっているだろうと思われる。
 日本語のローマ字表記は実はいろいろと問題がある。東京は、 TOKYOでいいわけがないが、長音記号が普及しない。「おとうさん」は「Oto-san」?
 外国人が日本語を学ぶとき、どのくらいローマ字に依存しているだろうか? ざっと見ると、まちまちのようだ。ローマ字も使われているが、実際にはヘボン式のようだ。英語的な知識をもつ学習者への実践的な対応だろう。
 グレゴリー・クラークさんは、語学の天才といってもいいだろうが、日本を当初ローマ字を通して覚えたため、「〜の」という「の」の音に no の癖がついて困ったといっていた。実際の日本語の「〜の」という「の」の音は、曖昧母音だろう。
 その他、実際の日本の口語の音声というのは、日本語話者が思っているよりかなり複雑なんだろう。

 

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