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2020.05.09

ラテン語の複数形主格はなぜ単数形属格と同形なんだろうか?

 疑問点は、ラテン語の複数形主格はなぜ単数形属格と同形なんだろうか? ということだ。
 格変化はこう。

第一変化名詞のpuella(女性)
単数
格 語尾 語形
主格 –a puella
呼格 –a puella!
属格 –ae puellae
与格 –ae puellae
対格 –am puellam
奪格 –ā puellā
複数
主格 –ae puellae
呼格 –ae puellae!
属格 –ārum puellārum
与格 –īs puellīs
対格 –ās puellās
奪格 –īs puellīs

第二変化名詞のhortus(男性)
単数
格 語尾 語形
主格 –us hortus
呼格 –e horte
属格 –ī hortī
与格 –ō hortō
対格 –um hortum
奪格 –ō hortō
複数
主格 –ī hortī
呼格 –ī hortī
属格 –ōrum hortōrum
与格 –īs hortīs
対格 –ōs hortōs
奪格 –īs hortīs

 で、第一変化名詞複数形主格puellaeは単数形属格puellae。第二変化名詞では、複数形主格hortīは単数形属格hortī。例が少ないし例外はあるが、基本的にこの同形は維持されているので、こう言っていいはず。

ラテン語において、複数の主格は、単数の属格である。

 さて、そうなると、文法としては、その説明が必要になる?
 調べてみた。
 わからない。そんなの常識ということかもしれないが、一般のラテン語教育では変化を基本丸暗記させているようなので、そもそもこの法則性についての疑問がなさそう。
 さて、わからないなら、それで終わりなのだが、気がついたことがある。
 フランス語には名詞の格変化はないが、主格的表現や属格的用言はある。主格的な un enfant の複数形はdes enfants である。これが属格的な表現になると、un jeu d'enfant のように、d'enfant と、Nous sommes tous des enfants de Dieu.のように des enfants になる。
 つまり、フランス語でも、機能的には、複数の主格は、単数の属格になっている。
 なぜ? というか、関連はないのだろうか?
 というか、ラテン語からフランス語への関連が知りたいなら、俗ラテン語ではどうだったのか。
 これがまたわからない。
 ただ、普通に推測がつくのは、フランス語の不定冠詞は、de + les = des だろう。つまり、属格機能のマーカーがついている。おそらく、フランス語においても、複数の主格は、単数の属格であるか、あったのだろう。
 推測するに、ラテン語からフランス語への変遷では、単数形の不定冠詞と複数形の不定冠詞という対立的な変遷ではなく、属格がそのまま複数形主格として機能していたと考えてよいのではないか?
 ちなみに、ドイツ語の場合は、定冠詞の属格が des の形だが、ラテン語とフランス語のようなこの関係はなさそう。イタリア語については、ラテン語の音がそのまま変化しようにも見える。ちなみに、英語やフランス語の複数形のSは、ラテン語の複数対格形からできたと考えてよさそうだが、英語学関係の人は古英語からと考えたいようだ。

 

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