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2020.05.03

ウイルス(virus)をラテン語で何というか?

 ラテン語を再び勉強しはじめて、ふと、ウイルス(virus)をラテン語で何というのか?と疑問に思った。
 何をバカなこと言うのか、と思う人もいるだろう。そもそもウイルス(virus)はラテン語じゃないか、と。
 いや、違うでしょ。ラテン語にも virus という言葉はあるし、なによりそれが現代語のウイルス(virus)の語源にはなっているけど、ラテン語の virus という言葉の意味は、「毒」である。植物から採られた液状の毒である。
 じゃあ、ウイルス(virus)をラテン語で何というか?
 ここで当然気がつくことだが、人類がウイルス(virus)を発見したのは、近代である。19世紀には感染性を持つ細菌より小さな存在がありそうだと推測されていた、というか、そもそも細菌の「発見」とは顕微鏡の技術によるもので、そう、つまり、ウイルスの発見も顕微鏡技術にかかっている。というわけで、1935年、米国の生化学者ウェンデル・スタンリーがタバコ・モザイク・ウイルスを結晶化させ電子顕微鏡で写し、この功績で彼は1946年のノーベル化学賞を受賞。概ねウイルスの発見はおおよそ戦争の時代とも重なる。余談だが、その後、1990年代になって可視できそうなほどの巨大ウイルスも発見されているが、その話は以前にもここで書いた(参照)。
 とはいえ、スタンリーはウイルスの発見者ではない。史実では、1892年のロシアの植物学者ドミトリー・イワノフスキーがタバコ・モザイク・ウイルスを発見とされているし、スタンリーもそれをもとにタバコ・モザイク・ウイルスを対象にした。
 では、virusの命名者はイワノフスキーなのかというと、語源辞書にあたると、そうでもなさそう。この意味での初出は1728年とある。ただし、当時の意味は、性病(venereal disease)だったようだ。よくわからないな。
 そういえば、語源はそのままGoogleでわかるはず(参照)と見ると、さほど情報は出てこないが、使用頻度年表が出てきて、それを見るに、この語が流行するのは、1930年頃からで、おそらくスタンリーの研究の前史の時代を反映しているのだろう。
 ところで、そもそもウイルス(virus)をラテン語で何というか、と関心を持ったのは、最近ラテン語を再学習していて、もしかして、この語は、vir(男)と関係しているのではなとふと思ったからだ。この連想は、ラテン語の vir が英語の virture(美徳)のと関連していて、へーと再認識したからでもある。
 調べると、ラテン語の vir は virus とは関係なさそうだ。vir の印欧祖語の語幹 *wiHrós、virusは *wīsos のロータシズムである。
 さて、最初の疑問に戻って、ウイルス(virus)をラテン語で何というか?だが、そもそも死んだ言語であるラテン語にそんな言葉はないとも言えそうだが、おっとどっこい(死語)、ラテン語は現代でも生きていて、話されてもいる。特に、ヴァチカン市国の公用語である(実際にはイタリア語がよく話されているが)。ラテン語の放送もある。そしてここでは現代用の語彙を補っている(参照)。
 で、現状だと3月の放送があったが、聞き取れないだけなのかもしれなが、この話題はなさそう。
 探すと、Communal Newsというサイトの読者欄らしきところにラテン語での話題があった。

Coronavirus morbo MMXIX (COVID-XIX), et quae MMXIX, nCoV acuti respiratorii morbo (MMXIX, nCoV ARD) novum ac repertum coronavirus pneumoniae (NCP) est virales respiratoriorum morbo fecit per MMXIX novae coronavirus (Sars-Cov-II) . Hoc est primum detecta fraude in Wuhan coronavirus initium 2019-19.

 文法がよくわからない。perは対格を支配する前置詞なので、MMXIX novae coronavirusは対格で、novaeは女性属格だろうか。すると、coronavirusは女性名詞?
 virusという語形を見ると、単数男性のようだから、対格では、virumとなりそうにも思うが。
 いずれにせよ、現代ラテン語では、virusを現代語のvirusとして使ってもよさそうな印象はある。

 

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