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2020.05.21

東京高検・黒川弘務検事長、賭けマージャンの変な感じ

 東京高検・黒川弘務検事長(63)が朝日新聞社員(元新聞記者)と産経新聞記者2名と、5月1日と13日と二度にわたり、産経記者宅で賭けマージャンをした疑いがあると週刊文春が報じた(参照)ことを受けて、黒川氏が辞任することになった。世間的に考えれば、検事長ともあろう人が違法な賭けマージャンをするのは許せない、ということなのだが、なんとも変な感じがする。最初にお断りしておくが、私は黒川氏を擁護する気はまったくない。それと、彼が安倍晋三首相と密接な関係があるとも思ってないがその仮想文脈で安倍政権を支援する気も毛頭ない。ただ、世間に生きた人間として、なんだろこれ?と思う。
 まず、賭けマージャンは、賭博罪(刑法第185条第2項「賭博場を開張し、又は博徒を結合して利益を図った者は、三月以上五年以下の懲役に処する。」)で違法である。私はやったことないが(そもそもマージャンが嫌いだしできない)、他方、雀荘での賭けマージャンが常態であることは普通の社会人として知っている。どうなっているのかというと、賭博罪が存在することと逮捕・起訴されることが現実では乖離しているからだ。刑事訴訟法第248条の「犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときは、公訴を提起しないことができる。」というやつである。実際のところ、雀荘を潰したとしても、ホームパーティで軽い賭けマージャンを潰すことは不可能でもある。もっとも、雀荘でも摘発が入ることもあるが、常識では1000点200円以上のレートあたりになっているようだ。おそらく、パチンコの儲けを上回るあたりで罰せられるのだろうというか、結果的には警察の利権であるパチンコを守ろうとしているのかもしれない。
 普通に考えて、それなりに世間を知っている人間なら、賭けマージャンだから違法だ、よっていかん、ということもないだろう。もしそうなら、同罪は、産経新聞記者や朝日新聞社員にも及ぶだろうし、関係者が3人で終わりということはないだろう。それを全部吊るし上げるというのなら、それなりに合理的だが、そういう空気はなさそうだ。とはいえ、そのあたりの人脈の誰かが、文春に垂れ込んだということだが、朝日新聞社員が混ざっているあたり狙ったのも奇妙な感じもするし、そもそも文春がどうしてこれを張っていたのか、人脈はそのあたりにも通じているだろうから、そもそも、ただのスクープというわけでもないだろう。ただ、それでも、文春で映されている黒川氏はさほどお忍びという風体でもなく、そもそも人目を厳密に避ける密会というほどの意識もなかったようだ。
 密会というほどの意識はないとしても、なんでこのメンツが集まったのかだが、元朝日新聞記者の筑紫哲也ほどマージャン好きということだったのだろうか? あのゲームってそんな面白いものだろうかとも私は疑問に思う。黒川氏については他にもギャンブル狂といった噂もあるようなので、雀狂だったのかもしれない。他方、検察の動向を探る記者にとって、察するに基本は親睦というか、一種の伝統的な業務の一貫だったのではないか、というか、そんなの昭和の常識なんだが。
 いかんというのには、緊急事態宣言の自粛中だからいかんというのもある。というか、文春記事からして、《4人が集まったのは5月1日。小池百合子都知事が「ステイホーム週間」と位置付け不要不急の外出自粛を要請、また安倍晋三首相も「人との接触8割減」を強く求めていた緊急事態宣言下でのことだ。》と切り出して、その文脈に導いている。これは率直なところ、自粛で鬱屈とした庶民の逆恨み空気を読んだような感じもする。
 最後にもうひとつ思ったのは、これで当然、黒川弘務検事長は辞任で、定年延長とかいうごたごたもこの部分では消えるのだが、印象としては、今回の賭けマージャンで朝日新聞社員や産経記者を含め、これらの人脈を護るため、黒川氏としては自分が全部責をかぶって終わりにしようとしたのではないか。
 私としては、ここまでやるなら、いっそ朝日新聞や産経新聞などがこれまでどのように検察に向き合ってきたのか、仲良しグループと検察の力学図を全部、暴いてしまえばいいのにと思わないでもない。そのなかで文春の立ち位置も見えてきたら、さらに面白いだろう。

 

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