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2020.04.23

「サルトル」の意味

 現在では、サルトルはあまり顧みられないだろうか? サルトルというのは、ジャン=ポール・シャルル・エマール・サルトル(Jean-Paul Charles Aymard Sartre)のことだ。そういえば先日、15日はサルトルの命日だったなと思い出し、Twitterを検索するに、その話題といわゆるサルトルの名言みたいなのがちらほらあった。現代思想としてはあまり顧みられているふうはない。とはいえ、数年前、『100分 de 名著』でサルトルの『実存主義とは何か』を取り上げていたが、見ていない。まあ、見なくてもわかるしという思いがあった。むしろ、その後のハイデガーとのズレやマルクス主義との関連が興味深いのだが、NHKの教養講座的なものでは扱わないだろうなと思っていた。でも、この機に見るかなとも思った。
 で、 「サルトル」の意味だが、普通に考えれば、アルジェリア戦争など帝国主義時代の一種の総括や冷戦化での現在というものに、思想はどう対峙するかということで、その時代を高校生で生きた自分には、当然、大きな影響を受けた。あと、今頃『ペスト』で、まあ表層的な印象はあるが若干話題のカミュも当時は、現在性としての課題だった。どうでもよいが、カミュって暗殺説があるんだなというのを最近知った。
 で、 「サルトル」の意味だが、このブログの記事は案の定くだらない話なのである。
 英語の勉強課題に、"sartorial standards"という言葉出てきた。意味は、単純だし、"sartorial splendor"など、このコロケーションでよく使うありふれた言葉だが、近年ではあオバマ前大統領で少し話題になった(参照)。

The word previously spiked when then-President Obama wore a tan suit to a press briefing in August of 2014, causing a stir that some on social media described as “the audacity of taupe.”

 語義的には、例えば、Merriam-Websterのこのコメントが面白い。

It's easy to uncover the root of sartorial. Just strip off the suffix -ial and you discover the Latin noun sartor, meaning "tailor" (literally, "one who patches or mends"). Sartorial splendor has been the stuff of voguish magazines for years, and even sartor itself has occasionally proven fashionable, as it did in 1843, when Oliver Wendell Holmes wrote of "coats whose memory turns the sartor pale," or in the 1870 title The Sartor, or British journal of cutting, clothing, and fashion. Sartorial has been in style with English speakers since at least 1823.

 ありがちな語誌でもあるのだが、ここで、The Sartorが出てくるが、派生語のもとはこれ、satorであり、意味は、tailorなのだが、Merriam-Websterには単独の項目としては載っていない。日常的には使われないからだろう。気になってLongmanにも当たったが同様。他も当たったがなさげ。日常英語的には、sartorialはあるが、sartorは死語なのだろう。
 とはいえ、ないわけでもなく、トーマス・カーライル(Thomas Carlyle)の有名な著作『衣装哲学』の原題は"Sartor Resartus"である、と、気がつくが、これはラテン語のままだから、英語とも言い難いか。
 なんか、余談にそれるが、ふと、今の若い人、トーマス・カーライルって知ってる? まあ、漱石読みなら知っているだろうが。
 で、sartorなのだが、以上のようなことを考えていて、ふと、あれ?と思ったのだが、sartorを英語風のスペリングにすると、satoreだよな、あれ?、これ、Sartreじゃないのか?
 そうなのでした。「サルトル」の意味は、「仕立て屋」でした。
 知らなかった。いや、無意識では知っていたのだろうな。関連知識はあったわけだし。ただ、「サルトル」という名前の意味って考えたこともなかった。
 この手の話でいうと、フランス語を学び始めたころ、「ボーヴォワール」って、もしかして、Beau voirじゃね?と思って、調べたら、シモーヌ・ド・ボーヴォワール(Simone de Beauvoir)でした。deがつくので元来はお嬢様だったのだろうなとこれも見るに、まあ、そんな感じ。
 この手の傑作は、というか、我ながら恥なのだが、メドヴェージェフである。ロシア語を学んでいるとき、Медведевって、あれ?と思ったのだ。これは、どう見たって、Медведьの派生語だよな。「熊」? 日本語だと、「熊野さん」みたいな?
 このロシア語だが、語源的には、мёд + знатьと言われている。「蜂蜜を知るもの」である。プーさんだな。
 мёдは、英語のmead(蜂蜜酒)との関連からわかるように、「蜂蜜」の意味を持っている。フランス語のmiel、イタリア語のmiele。イタリア語での発音は、「ミエーレ」に近いが、なぜか家電のあれは「ミーレ」なのは英語読みだろうか?
 ちなみに、この言葉はギリシア語のΜέλισσαで、「メリッサ」なのだが、話がだいぶそれたので、今日はここまで。

 

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