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2020.04.13

音の歪んだ世界

 先日、Zoomの設定とチェックをしていて、音質が悪いなあと思った。別段、そんなものかとは思うのだが、MP3に圧縮かけ過ぎたような感じで、まあ、同じ原理の圧縮だしなあと思い、そういえばあの圧縮は心理的なものだったなと思い出す。以前、坂本龍一が音楽はMP3ではだめみたいなこと話していたようにも思い出した。エンコーダでもいろいろ違いがあったな。最近ではハイレゾの配信もあるみたいだが、どのくらい普及しているのだろうか。そもそもイヤホンとかでハイレゾのメリットがあるのだろうか。
 CDが出てきたころも似たような話題があった。LPと音が違うというのだ。けっこうとっぴな議論もあったようだが、とんと聞かなくなった。
 自分はというと、私は、荒井由実・松任谷由実のファンで、LPからカセット、CDという変遷でその音を聞いていたのだが、CDで聞き直したときは(特に『PEARL PIERCE』)、へえ、こんな音入っていたんだとか、音の左右の動きに驚いたものだった。
 その後もLPの音がいいという話や、近年のカセット復権みたいのも、なんだろう、どこかわからないでもない。もしかすると、ある種のノイズが音楽を自然にしているんじゃないだろうか。
 宇多田ヒカルではCDから配信の切り替えを体験した。配信だとかなり音が悪いのでCDを買って圧縮をあまりかけずに聞いていた。彼女もけっこういろんな音を混ぜるので、再生環境が変わると別の曲のように感じられる。が、最近は、むしろ、配信のほうが聞きやすいように思えてきた。耳が老化しているのかもしれない。
 ってな連想が止まらず、そんな話を人として、そういえば、一般人、というのも変だが、普通の人って自分の声ってメディア通してのに聞き慣れてないでしょと、いうことで、スマホで実験して、ちょっと人に嫌な思いをさせてしまった。自分はというと、けっこうこれに慣れてはいる。というところで、スピーカーを変えて試していたら、それ、声違うよと言われた。つまり、自分の声でも媒体によって変わってしまうわけだ。それはそうだな。
 そこでまた連想することがあった。最近、NHK Plusを入れて、普通のラジオのように聞いていることが多いのだが、『らじる』より聞きやすいのである。NHK Plusのほうが帯域が広く、高音が維持されるからだろう。あれれ、自分の耳は老化していたんじゃなかったか。
 『らじる』でもそんなに帯域が狭いわけでもないだろうと思うから、メディアの作り手側の音の感覚によるんじゃないかとは思う。ああ、そうでもないかな。RadikoのFM放送では、HE-AAC 48kbpsのステレオなので、FM放送と音質に差して違いはなさそうに思えるが、体感としては違う。
 電話はどうかと思い出す。帯域が狭くて、鈴虫の声は聞こえない。っていうのを昔、『トリビア』でもやっていた。今はというと、ああ、セルプだったな。まあ、その説明はここでは省略。
 それにしても、現在世界に暮らしている私たちにとって、音というのはなんだろう。本当との音というのがあれば、この世界の音の多くの音は歪んだ音なのだろうか。脳はそれをどう捉えているのだろうか、と考えて、むしろ、脳の意味志向がこの歪んだ音の世界を欲したとも言えるのだろうなと思い至って、沈黙。

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