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2020.02.20

坪内祐三とまついなつきの死のこと

 坪内祐三とまついなつきの死のことが、ちょっと、でもずっと、喉に引っかかるような感じがしていて、これはブログに書いておくことだろうと思いつつも、どことなくブログを書くことの重さのようなものにも沈んでいた。でも、まあ、少し書いてみよう。二人について個人的に知ることも会ったこともない。熱心な読者というわけでもない。同時代人ではあるが、と、そういうあたりの思いである。
 「つぼうちゆーぞーが亡くなった」と、1月13日、人づてで聞いたとき、一瞬、誰?と思った。伝えてくれた人は、私がその人をよく知っているではないかという感じだったので、誰?の間抜け感は際立った。私の脳裏には、一瞬、「壺内」という漢字が浮かび、それから、「坪内逍遥」が浮かんで、そんなわけねーじゃんとツッコミながらプチパニックっていた。もちろん、ほどなく「坪内祐三」という文字になり、それから、え?!と、あらためてパニっくった。同い年か、一つ年上だったはずで、死因は何?という思いと、神蔵美子の『たまもの』の表紙とその写真を思い出した。
 死因はNHKの報道では急性心不全だった。もう少し死んだときの状況が知りたいと調べて、生年は1958年と確認する。私より、一歳年下であった。死因については、今報道を見返してもそれ以上の情報はなさそうなので、これも特に書くべきでもないだろう。
 雑誌SPAに連載されていた福田和也との世相放談「これでいいのだ!」は、いつ頃まで読んでいただろうか。定期的に読まなくなっても折に触れて目を通していたと思う。そして、いつも思ったことは、坪内さんの感覚は私に近いこと、福田の感覚は私の下の世代であり世代的なズレをそこで確認すること、だった。
 振り返ってみるに、坪内さんの感覚は私に近かったと思う。性格はかなり違うだろうから、そこでの共感はなかったし、文芸についての感性も根幹で異なっていたこともあり、あまり著作を読んだわけではない。ただ、同時代人が死んだという思いは強い。
 まついなつきが死んだのは、1月21日。入院したのは人づてで知っていた。というか、そのおり、重篤なのではないかとも聞いたが、私は、大丈夫じゃないか、中村うさぎも神足裕司も日垣隆ももちなおしたしと添えた。が、死んだ。死因はよくわからない。糖尿病は抱えていたような気がする。1960年の生まれで福田和也と同じ、つまり、世代感覚としては私とは異なるのだが、『笑う出産』の1994年は、私の初子が妊娠した時期で、そもそもそれがきっかけで同書を読んだものだったので、その同時代感はある。面白いし、よい本だった。読みつがれるとよいと思うが。その後も、彼女の出産・育児本はよく読んだ。彼女は3人産み、私は4人の子持ちにもなった。彼女の死で思ったのは、残された子どもたちの思いだった。
 まついなつきが離婚したときは、少し驚き、占い師に転身してからは、関心を失ったが、いつか、彼女に占いでもしてもらう気でいたので、死なれてみて、奇妙な空白感はある。
 坪内祐三が満年齢で享年61、まついなつきが59。私の父が亡くなったのは62歳。昨年は自分の生の終わり感を思ったがそこを超えてのうのうと生きている(でもないか)なか、不意を疲れたように、この年代で死んでいく人を見る。直接の知り合いでも、入れ込んで読んだ著作家でもないが、同時代の経験者が死者となっていく後ろ姿なのようなものが哀しい。

 

   

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