ドレミの歌の謎
合唱やピアノを初めて、ソルフェージュのような練習も必要かなと思い、そういえば、『サウンド・オブ・ミュージック』の『ドレミの歌』というのも、一種のソルフェージュだったなと思い出し、譜面をあらためて見ると、なんとも奇妙な感じがした。謎、とでもいうのだろうか。いろいろ思うことがあった。まずもって、これは、けっこう変な歌なんじゃないだろうか?
最初に、ネットで拾った楽譜を貼っておく。実は、この楽譜はちょっと疑わしい。
いくつか疑問を書いていこう。
1 正しいメロディは何?
14小節目、"That will bring us"のところのメロディだが、この譜だと、ドシラファとなっている。日本で子供向けに使われている楽譜の多くもそうなっているようだが、ここは、オリジナル譜では、シシ♭ラファとなっているようだ。というか、純正のオリジナルが確認できないのだが、信頼できそうなピアノ譜で音を取ってみると、シシ♭ラファという3音の半音階になっている。
実際のアンドリュースの歌はどうか映画で聴いてみても、この3音の半音階になっているようだ。
ペギー葉山版はどうかなのだが、ドシラファとなり、3音の半音階は避けられているようだ。
このあたりの真相が知りたいのだが、調べてもわからなかった。
2 なかで転調している
これは子供の頃から疑問だったのだが、ドレミの歌、しかも、入門のソルフェージュ的な歌なのだから、変化記号(♯と♭)は避けたほうがよいのじゃないか、と思っていた。実際、ドミミ・ミソソ・レファファのところには変化記号はない。
変化記号を避けたほうがいいんじゃないかというのは、ソルフェージュとして難しくなるからでもある。
で、あらためて変化記号のあたりを見ていると、これ、スケール(音階)が転調している。9-10小節がハ長調スケール、11-12小節がニ長調スケール、13小節がホ長調スケールである。なぜ、こうなっているのだろうか? もちろん、歌は自由に作曲していいのだが、この転調はソルフェージュ的な意味があるのだろうか?
しかも、13小節がニ長調スケールというのは疑わしい。というのは14小節を加えると短調のスケールなのである。
つまり、ハ長調、ニ長調、ホ短調と転調している。
そして、これに3音の半音階が続く。
3 三度並行の呪い?
1小節から4小節、それと、5小節から8小節が、三度で並行しているかに見えるが、つまり、同じメロディかのように見えるが、単純にずらしたというわけでもない。これはソルフェージュ的な意味があるのだろうか?
他にも、次の項目のように三度が意識されている。
4 「ドはドーナッツのド」じゃない
原曲の問題ではなく、日本語版の歌詞で気がついたのだが、「ドはドーナッツのド」というとき、最初のドはいいけど、最後の「ド」は「ミ」なので、ソルフェージュ的にはまずいんじゃないだろうか。
ドはドーナツのミ
レはレモンのファ
ミはみんなのソ
ファはファイトのラ
ソは青いソラ (ここはソラであっている!)
ラはラッパのシ
としたほうがよいように思う、というか、ここも三度が意識されている。
5 原曲は変ロ長調
オリジナル・スコアがわからないが、いくつかソースにあたってみると、また映画を聴いても、変ロ長調の移動ドになっている。
絶対音感の人には、かなり奇妙な歌じゃないかな。
以上、『ドレミの歌』を腐したいわけでも、批判したいわけでもなく、これって、ソルフェージュに使えるものなのか、使うならどう使うべきか、なぜ、こういう作曲にんっているのか、という疑問に思ったので、記してみた。
それではまた、来年。