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2019.10.02

[アニメ] 僕だけがいない街

 アニメの『僕だけがいない街』という作品は、有名だったので知っていた。映画もNetflixのドラマもある。アニメを見たのは偶然である。面白かった。一気に見たと言いたいところだが、クライマックスの2話は、頭を冷やすために、日を分けた。
 この物語については、多くの人が知っているだろう。メディアのバージョンによってけっこう違いもあるようだ。原作のコミックとノイタミナのアニメとの詳しい差については依然私は知らない。
 物語の骨格は、シュタゲのように、時間と世界線の交錯であり、お約束通り、現在の悲劇を回避するために、主人公は過去にリープする。が、こうした設定はそれほどこの作品の本質とはいえないだろう。アニメ作品を優れたものにしているのは、私には2点あった。
 一つは、昭和の最後の北海道の日常の描写と小学六年生という年代の心の描き方である。美しかった。どこまでがリアルなのかという感触は土地勘のない私にはわからないが、子供の日常というもの、北海道の自然、そして女性気質のようなものを丁寧に描いているように思えた。
 もう一つは、ネタバレに関連するが、謎解きの工夫に説得力があった。簡単に言えば、いわゆるネタバレ的なものは物語のはじめのほうでだいたい想像がつくし、作品はむしろそれを前提にしているのだろう。裏返された推理小説のようでもあった。そのせいか、通俗作品らしい雰囲気にある作品に通俗性と異なる微妙な差異をもたらしていた。人の心をよく描いていたと単純に言っていいだろう。
 ネタバレはしないが、この物語を終えたあと、『Think Clearly』にも指摘されていたような、あり得たかもしれない不幸というものに思いを巡らせた。私たちの日常は、けっこう見えない奈落に縁取られているが、気が付かないものだ。
 そして、私たちの日常には、まれに非日常的な要素が差し込む。なのに、それがまるで前世からの約束のように自然に思える。そうした奇妙ともいえる感覚がこのエンタメの物語の核なのだろう。そこがとても丁寧に上手に扱っているものだと、感心した。

 

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