[アニメ] 女子高生の無駄づかい
アニメの『女子高生の無駄づかい』が終わった。日常系アニメでよく言われる、終わったあと、その後どうしているだろうロス感というのを、初めて感じた作品だった。
普通に日常系のアニメである。普通にギャグものと言っていい。特にメッセージ性はない。東京郊外の小平市と東村山市から埼玉県の所沢市、これに八王子や高円寺、新宿が少し交じる土地感が面白い。この地域は、関東地方らしい自然に学校や公園、住居が微妙に調和している。
話はコアになる三人の女子高校生、バカ、オタ、ロボを中心に、ロリ、ヤマイ、マジメ、リリー、魔女の4人の女子高生のキャラを活かした、底辺校の日常になっている。
バカはただの馬鹿であるが、大げさに言うと、聖なるバカとでもいうか、日常の世界に日常でありながら転倒させた聖なる世界を開く。それがこの物語の核だと言える。オタはオタク女でこの物語の事実上の語り部である。ロボは、感情を失ったアスペのような美少女で超秀才だが、この底辺校にいるのは、ロリとオタとの友情である。その友情がこの物語の謎のすべてだとも言える。
ロリはロリコンが好きそうな可愛い子、ヤマイは中二病をこじらせて病んでいる、マジメは秀才でマジメで小心者、リリーはいわゆるJCを尖らせたイメージだが同性愛者、魔女はオカルト系。設定は、ひどい言い方をすればテンプレである。
風景の関係でいうと、奇妙なことにと言っていいだろうと思うが、彼女たちのうち、家という今日中空間での生態、つまり私生活が描かれているのは、基本、オタとヤマイとロリの3人で、それとマジメと魔女が少しあるくらいである。オタの家はありがちな一戸建ての中産階級やや下くらい。まったくもって凡庸な家である。対して、ヤマイは都営住宅でやや荒れた母親がいる。貧困に近い家庭だろう。ロリもオタに似ているが、祖母との二人暮し。マジメもオタに近いが、母親が相貌は同じで娘とは違った性格をしている。なぜ彼女たちだけが私生活が描かれ、オタやロボの家庭生活が描かれないのかはわからない。その必要がないといえばそうなのだろうが、それをどのように描くかも想像がつかない奇妙さが印象に残る。
総じて、すべてが凡庸であり、悲劇も事件もなにも起きない。女子高校といっても、それらしいイメージに合致するものはなく、ギャグ的には『男子高校生の日常』と似たようなものとも言えるかもしれない。ただ、何かが微妙に違っているようにも思うし、その微妙な差異のなかで、本当の意味での10代の女子が伸び伸びと描かれている、稀有な物語なのかもしれないとも思った。ちなみに、私は、女子高生の父親だが、身近に知る女子高生とこの物語に重なる部分はあまりなかった。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント