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2019.08.30

take onは句動詞か?

 昨日付の記事で、英語(と日本語)の二重性について触れたが、概ね、英語という言語は、ラテン語起源でフランス語経由の語(ロマンス語系)と、古英語から続くゲルマン語系の表現が、二重になっていて、たいていの場合、双方が言い換え可能になっている。動詞での、たいていの言い換えでは、ロマンス系の一語が、ゲルマン系の二語の句動詞になっていることが多い。developは build up、indicateはpoint outといった感じだが、当然、これらは、一対一に対応しているわけでも、正確な言い換えでもない。
 ふと、take onという句動詞はどうかと思った。ロマンス語系の言葉が思いつかない。一語の英語なら、undertakeになると思いついて、奇妙な感じがした。
 そもそも、undertakeは、take underという構成に由来するだろう。このあたりは現代ドイツ語にも残っている分離動詞と似た構成である。ところが、英語には、take underという句動詞は、ない。まったくないとも言えないだろうが、通常のコーパス(用例データベース)でも句動詞と認識されることはないだろう。 
 そして、ontakeという動詞もない。これもまったくないとは言えないが、ないと言っていい。代わりに、似たものに、intakeがある。意味的には、take something in として分解して理解できるが、句動詞として、take inというのは、あまり使われない。
 これはどうなっているのだろうか?
 と、Merriam-Webster辞書を引いたら、take onはこのままの形で、verb(動詞)として単独の項目があった。transitive verb (他動詞)とintransitive verb(自動詞)に分けられている。構成上は句動詞と言っていいのだろうが、takeの項目にある他の句動詞とは別扱いになっている。あたかも、takeonという一語の他動詞のような扱いである。意味もこう定義されている。

Take on

transitive verb
1a : to begin to perform or deal with : UNDERTAKE
took on new responsibilities
b : to contend with as an opponent
took on the neighborhood bully
2 : ENGAGE, HIRE
3a : to assume or acquire as or as if one's own
the city's plaza takes on a carnival air
— W. T. LeViness
b : to have as a mathematical domain or range
what values does the function take on

intransitive verb
: to show one's feelings especially of grief or anger in a demonstrative way
she cried, and took on like a distracted body
— Daniel Defoe

 Merriam-Webster辞書としてはこれだけの用法の複雑さと意味をもつ語は、単独項目で扱うしかなと判断したのだろう。
 だが、takeonという一語になっているかというと、次のような分離動詞的なビヘイビア(表現)もある。一語でまとまっているわけでもない。

He decided to take her on as store manager

 英語ネイティブにしてみると、take onは、句動詞として認識されてはいるのだろうし、その認識のなかで、中核となる takeのイメージはあるだろう。
 他方、undertake や understand のような語はもはや分離動詞的なビヘイビアはないし、takeの中核イメージは弱いだろう。
 Globishのでは、これらをどう扱っているか?
 undertakeは含まれていない。take と on は含まれている。ので、take onは語彙的には可能だが、Globishではこうした句動詞の定義はなさそうだ。
 グローバルな英語として、英語を再定義するなら、句動詞は扱いが難しい。Globish的な考えなら、句動詞も一定数に限定すればいいだろう。
 それでも、英語ネイティブは、句動詞を自然に駆使してしまうし、やさしい表現だと思っているだろう(ゲルマン系の語の一般的な印象から)。英語を外国語として学ぶ人間にとっては、句動詞は、なかなかにやっかいだ。
 なお、句動詞と言い換えの対応については、『英語はもっと句動詞で話そう』が詳しいが、網羅的ではないし、コーパスの状態もよくわからない。

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