シェークスピアを学ぶ楽しみ
昨年から、NHKラジオの『高校生からはじめる「現代英語」』というので英語を学んでいる。高校生の娘と英語を学ぶのに、なにかいい教材はないかと探してこれがいいんじゃないかと思ったのだった。そう思ったのは、まず、英語がよいこと。表題に「現代英語」を冠しているように、現代の英語が使われている。いわゆる教科書英語とか受験英語とか、あるいはなんだろうか、日本のビジネス英語のような、奇妙な不自然さはない。次に、米語発音で一貫していること。読み手の男女が惚れ惚れするような、GA(General American)の発音なので安心できる。英語学習の音声教材は、発音にバラエティを持たせたいのか、どこの英語なのかよくわからないことがある。そしてなによりのメリットは一緒に学んでいる私も楽しい。話題もいいし、説明もいい。あまり英語の教材に書かれていない英語のポイントなどもよく取り上げている。
で、この講座なのだが、8月は趣向を変える。昨年は、カズオ・イシグロのノーベル賞受賞スピーチで面白かったが、今年は、シェークスピアである。『ロミオとジュリエット』。
なんで、『ロミオとジュリエット』が現代英語?というツッコミもあるだろうが、それはそれでどうでもいいように思う。読み上げは、いつもハンナ・グレース(Hannah Grace)さんがメイン。『花子とアン』で修和女学校教諭のスコットさんを演じていた女優さんだ。大学生時代はシェークスピアの演劇にも関わっていたらしい。その、ハムレットの朗読だが、英国風の朗読とは少し違う印象があったのと、心なしか、語末のRの響きが刈り込まれているようにも感じられたが、私の英語学の知識では、シェークスピア時代の英語はむしろ、GAに近いので、当時の朗詠もこんな感じだったんじゃないかと印象深かった。
ちなみに、講座を聞いている娘もシェークスピアの原文に感動していた。彼女も演劇が好きなせいもあるのだろう。私といえば、大学時代の英文学でシェークスピアを学んだことを思い出していた。斎藤和明教授の授業だった。テキストはその師匠の斎藤勇である。ミルトンの失楽園の原文なども学んだ。英文学以外に神曲も学んだことが懐かしい。が、悲しいかな、ハムレットの有名な、To be or not to beを含む段落も当時は暗唱していたものだが、忘れてしまった。
現代の大学の英文学で、シェークスピアの原文とか学ぶ機会があるのだろうか。洋ドラをみていると、シェークスピアの引用などもたまに出てくるが、それなりに米国社会などでも古典として生きているのだろう。あれはきちんと説明があれば、高校生や大学生が学んで面白いものだ。
そういえば、私が高校生のころだったか、大学生になってからだったか、NHKでBBC生成作のドラマ風シェークスピアがあった。面白かった。が、あの英語がシェークスピアのままだったか、そこまで現代風になっていたか定かではない。確か、『夏の夜の夢』でoblivionという単語が印象深く使われていて、そのとき覚えた。以降、oblivionを忘れない。というところで、現代では、シェークスピア作品の全検索とか簡単にできるのはずだったと試してみると、『夏の夜の夢』にこの単語はなかった。『ハムレット』にはある。ハムレットだったか。
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