achieveという単語をどう使うか? 英語の二重性について
Globishの1500語とVAO Special Englishの1500語リストを見ていて、当然、Aから見ていくのだが、すぐに違いに気がつく。acで始まる語を比較すると、こう。
Globish
accept according account accuse achieve across act
VAO Special English
accept accident accuse across act activist actor
似ているといえば似ている。Globishがビジネス向け、VOAがニュース報道向けというのも、これだけの比較からもわかるだろう。他方、accidentやactivistはビジネスではそれほど頻度が高いとも思えないし、accountはビジネスには必須だろう。
achieveについてもビジネス的な含みが強いのでGlobishのリストにあるのもわかるのだが、ここで、ふと、では、achieveというのをVAO Special Englishで表現とどうなるだろうか? と考えた。
実態を検索すると、奇妙なことがわかった。VAO Special Englishといっていいのだろう、Learning Englishに”Ways to Achieve Your Goals”という表題の記事が見つかった。つまり、リストにはないはずなのに、普通に使われている。はて?
と、調べていくと、すでにVAO Special Englishというのはすでになくなって、VOA Learning Englishになっていた。すると、かついての語彙制限はどうなったか? 気になったが、わからなかった。
それとは別に、achieveという言葉の有用性についても気になってきた。つまり、この言葉は、簡素な句動詞で言い換えができる。carry out やbring offである。そのあたりの、使い分けは、簡易な英語を使うというとき、どうなのだろうか?
Logman辞書を引いてみると、ちょっと意外に思えたのだが、achieveについて、こんなことが書いてあった。
In everyday English, people usually say someone gets a result rather than achieves it.
つまり、日常会話では、achieveという言葉はあまり使わず、そういう状況では、get a resultというらしい。ほお。
いくつか手元の辞書にあたってみるなかで、ウィズダムにはこう書いてあった。「achieveは困難の克服により、その当然の結果として目標・成功・名声などを手にすること。〘ややかたく〙響くので日常英語ではgetが代わりに用いられることが多い」とある。
日本語の「達成」も、日常語ではあまり使わないのだが、似たようなものだろうか。と、では、日本の日常語ではどうかと考えると、「成し遂げる」だろう。これは、「なす」「とげる」なので、やまと言葉の系統である。
achieveという単語は、語源的には、12世紀に古フランス語から入った英語に言葉であり、当然、ラテン語起源になる。英語には、こうした古フランス語と、5文字くらいのゲルマン語由来の言葉が二重になっている。achieve では、get あるいはbring off やbring aboutのような表現がその二重制に相当するだろう。
つまり、日本語の場合は、やまと言葉と漢語の二重性、英語の場合は、ゲルマン語系とラテン語系という二重性がある。こうした二重性は、英語や日本語を外国語として学ぶ人にはむずかしい。
他方、ロマンス系の言語だという、こういう二重性はあまりない。ちなみに、英語のachieveはフランス語では、attaindre à あるいは、obtenirになる(acheverは現代フランス語にはない)。これらの言語だと、英語や日本語のような二重性はない。
簡易英語としてのBASIC Englshの場合は、どうか? というと、英語のこうした二重性のうちのゲルマン語的な古層を最大限に活かしたかたちになっている。これはむしろ英語を外国語とする学習者には難しいだろう。
Globishの場合は、ビジネスシーンに限定されているので、最初からachieveを入れておいたほうがよいとも言えるだろう。とはいえ、では、Globishでゲルマン語系の句動詞をどの程度使うかというのも難しいところだろう。Globishでも、get a resultとは言える。
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