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2019.08.04

最近、「あー、サイテー」と思った3つのこと

 最近、世の中のニュースで、「あー、サイテー」と思った3つのことがある。悲惨な事件ではないし、残酷といえる事件でもない。ただ、最初に、「あー、サイテー」と思ったのだった。
 その感覚が自分自身にも少し奇妙な感覚でもあった。「こんなやつはサイテーだ」とそれらの事の関係者を責めたいというものでもない。なんだろうか。正義をがなり立てたいというのもない。ある湖を見て、「あー、きれー」というような、ちょっと爽快な感じに近い。まあ、3つを見ていこう。

1 昭和を感じさせるサイテーな愛媛県警の尋問
 愛媛県警に誤認逮捕された女子大学生が8月1日、代理人弁護士を通じて手記を公開した。内容は、彼女が、今年1月、松山市内で発生したタクシー内の窃盗事件で誤認逮捕され、ひどい取り調べを受けたことだ。こんな感じだったという。

 取調官は、私が「本当の犯人を捕まえてください。こんなの何の解決にもならない。」と言えば、「犯人なら目の前にいるけど。」と言い、初めから私を犯人だと決めつけていました。他にも「やってないことを証明できないよね?」「タクシーに乗った記憶ないの?二重人格?」「いつ(自分がやったと)言うのか待ってるんだけど」「罪と向き合え」等、耳を疑うようなことを次から次へと言われました。
 また、自白を強要するかのような言葉を執拗(しつよう)に言われました。「就職も決まってるなら大事にしたくないよね?」「君が認めたら終わる話」「こんなに時間のかかるものじゃない」「ごめんなさいをすれば済む話」「懲役刑とか罰金刑とか人それぞれだけど早く認めたほうがいいよ」「認めないからどんどん悪い方へ行ってるよ」「今の状況は自分が認めないからこうなってるんだ」「また取り調べか、とか思ってるんだろう。認めないと終わらないよ」等、挙げればきりがありません。逮捕された後は、弁護人の助言で警察の取り調べに対しては黙秘していたのですが、「弁護士に言われたから黙秘するのではなく自らの意思で話せ」と言われました。

 私はこの事件に詳しくないし、一方だけの意見が事実だとも思わない。が、これを読んだとき、ああ、昭和の警察ってこうだったなあと懐かしく思い出した。
 昭和時代、私はある問題の被害者なのだったので、いちおう警察に聞いてもらおうとしたことがあったのだが、「被害にあうというのは、あんたにも落ち度があったんだよね、ふつう、で、何やらかしただ?」という感じで、もう一方的に加害者の尋問になり、あげく指紋を取らされた。しみじみ警察に話すんじゃなかったなと泣き寝入りした。若いせいもあって、ヤクザみたいな顔のおっさん刑事に気圧された。おかげでいいことを学んだ。警察ってこういうものなんだな。そういう経験があるので、彼女の思いがよくわかった。
 彼女のこの誤認逮捕は後に判明したが、謝罪もなかったという。

 誤認逮捕であることが分かった後、警察からは「真相の解明に必要な逮捕だった」と説明を受けましたが、到底納得できるものではありません。3D画像はきちんと解析したのか、ポリグラフ検査の結果はどうだったのかという私からの質問に対しては、はっきりした回答を得ることができませんでした。担当刑事からの直接の謝罪はいまだにありません。

 毎日新聞の報道、『誤認逮捕 取り調べに愛媛県警本部長「ただちにアウトではない」』では、こういう扱いになっている。

 愛媛県警松山東署に窃盗容疑で誤認逮捕された松山市内の20代の女性が1日に手記を発表したことを受け、県警の松下整本部長が同日夜、県警本部で報道各社の個別取材に応じた。女性が「自白強要」と訴えた取り調べについて、本部長は「ただちにアウトではない」との認識を示した。

 私は、アウトだと思うよ。
 それと、担当刑事は、彼女に直接の謝罪すべきだと思う。土下座とかいらないから、形だけでも謝罪すべきだろう。
 でも、たぶん、警察からのそんな謝罪はないんだ。
 そう思ったとき、次の瞬間、あー、サイテー、と思った。

2 お役所体質でサイテーなかんぽ不正
 かんぽの保険契約で、顧客に対して、重複した契約を結ばせたり、保険料を二重に徴収したり、無保険状態に置いたりなど、ほとんどインチキみたいなことが行われていた。こうした事例は、不正公開後に時期を見直したら、増えていたそうだ。何やってたんだ郵政のかんぽと思うが、2つ思うことがあった。
 一つは、経験談。私も二度、三度ほど、これみたいのに遭遇したことがある。結局、契約しなかったから、あれが不正だったかわからないのだが、そのとき、奇妙な印象をもった。
 かんぽから、偉そうな人と下っ端そうな人がコンビで来るのである。で、偉そうな人が、なんかちぐはぐに偉そうなのだ。顧客である私を尊重して契約を熱心に勧めているのか、下っ端さんと同様の扱いを受けて、さっさと契約しろと圧力かけられているのか、よくわからなくなった。
 ようするに、かんぽ、顧客対応の基本がまるでできてなかった。というか、その不気味さも契約しなかった理由でもある。あれはなんだったのだろうか。少なくとも、顧客のことまるで考えてないことだけはしっかり伝わった。こんな契約しちゃいけない、という、いちばん大切なことはきちんと伝わったから、それでよかったのかもしれないが。
 もう一つは、これは民営化の失敗だろうか? あるいは民営化の不徹底化によって、お役所体質が歪んだ形で残った結果だろうか、と思った。
 小泉政権による郵政の民営化では、郵便事業は政府が安定した株式を持つ株式会社とし、他方、郵貯と簡保は一般的な株式会社にして政府が株式を保有しないとした。が、鳩山政権下で、郵貯と簡保も政府が安定した株式を持つように覆された。
 もともと郵便事業は現代では誰がやっても赤字になるし、小泉改革以前もその状態だった。が、郵貯と簡保は国の縛りがなくても活躍できそうだから、これらを切り離したはずだった。が、民主党政権で、実質郵政の小泉改革は失敗し、郵貯時代に戻った。それで、この間、西川善文日本郵政社長も解任され、民間からの強いリーダーシップのある経営がなくなったようだ。この点については、詳細がわからないので、はっきりとは言えないが、完全に民間の保険事業者なら、末端がこんなに緩みきった経営にはならなかったんじゃないかと思ったのだった。
 まあ、いずにせよ、かつては郵貯の簡易保険として、国のバックにした信頼があったものが、この堕落しきった不正をほぼ組織的にやっていたというのは、サイテーというしかない気がする。唯一の救いがあるとすれば、きちんとした民間の保険会社なら、こんな詐欺みたいな不正をやっていたらビジネス続かないから、ここまでひどくないんじゃないかと思えたことだ。

3 AI時代を先取りしたサイテーなリクルート商売
 こっちのサイテーは現代的だ。人工知能(AI)なんだよ。リクルートキャリアが、就職情報サイト『リクナビ』を利用する就活生の個人情報をネタにして、その内定辞退の確率をAIで予測したデータを企業に販売していた。
 え?と思った。そんなことしてはいけないだろう、普通、と思った。まさかとも思った。しかし、報道を読み、リクルートキャリアの対応を見る読む限り、事実のようだ。ありゃあ、サイテーだ。
 誰がこんなサイテーなビジネス思いついたんだろうというか、どういう感覚していることこんな詐欺みたいなことができるんだろうと、疑問に思ってから、もういちど報道を見直したら、案の定、サービスの規約に、個人情報を分析し同社が利用するという許諾手順を踏んでいたらしい。うぁ、サイテー。そんなの就活生が理解してから登録するわけないじゃか、常識的に考えてと思ったし、実際、内閣府の外局の個人情報保護委員会も、利用目的の説明が不十分だと指摘していた。
 ふと、マイナビはどうなんだろうかと疑問に思ってネットを探ると、J-CASTニュース編集部が取材していた。それによれば、AI分析による辞退予測という商売はしているが、分析情報はエントリーシートの情報のみ、また、「受領するエントリーシートは個人を特定できない形になっており、当社と企業間にも個人情報のやりとりはありません」とのことだが、これはよくわからない。まあ、リクルートみたいなえげつないことはしてないというのだろう。
 というわけで、よくこんなサイテーなビジネスを思いついたなというのは、私の感覚が古いのであって、普通、思いつくもののようだ。ようは、理解しづらいに規約で個人情報を売買するのがいけないのか、ということか、というと、どことなく、「あー、サイテー」という感覚からずれる。たぶん、あれだ、AIって、こんなサイテー分野にどんどん活用されているんだろうなという感じだろう。

 

 さて、3事例。振り返ってみると、どれも犯罪ではない。民事に当たるかすら微妙。だけど、世の中のビジネスの実態って、こんなサイテーな感覚を基盤にしているなあとは思った。まあ、あれです、諦めに近い感じです。

 

追記

8月6日、愛媛県警の松下整本部長は、県議会のスポーツ文教警察委員会で、「事件と全く無関係の女性を逮捕してしまい、当事者の女性に誠に申し訳なく、心よりおわび申し上げる」と謝罪した。担当刑事からの謝罪はなし。

 

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