[書評] Think clearly 最新の学術研究から導いた、よりよい人生を送るための思考法
もし、このブログの記事をいくつか読まれていて、まあ、このブロガーが強く推す本があれば買って読んでみようか、という人がいたら、これ。『Think clearly 最新の学術研究から導いた、よりよい人生を送るための思考法』。さらに推すと、騙されてもいいかなと思えるなら、ぜひ。
なぜ推すかというと、ああ、これ読んでよかった。もっと若い時に読んでいたらよかったと僕は強く思ったからだ。
本来なら、どういう本なのかという話をして、その話で推すというのが正しいありかたなのだが、そこがちょっと微妙な本なのだ。
それでもまず、どういう本なのか、というと、自己啓発書の類である。副題もそれっぽく、そしてサンマーク出版らしく「最新の学術研究から導いた、よりよい人生を送るための思考法」としている。が、実際のこの本は、それほどでもない。また、人生が上向きになる「思考の道具箱」とかいう売り文句もあるが、それも間違いではないが、ちょっと違う。
じゃあ、なにかというと、52個のいわば人生訓のノウハウがあるのだけど、おそらく、一読して読者の心に響くのは、そのうちの2、3個くらいかもしれない。でも、その2、3個が、かなり決定的だろうと思うのだ。そう、僕は思った。こういうタイプの本は珍しい。で、率直なところ、けっこう影響受けた。
で、その2、3個以外はただのネタかというと、微妙な関連や、あえて言えば、矛盾もあるのだけど、読書の感触として楽しいのだ。これは、アランの『幸福論』に近い感じがする。
とっぴな比喩でいうと、おでん鍋のような本なのである。
酒のつまみにしてもいい、おかずにしてもいいし、ちょっと友人とだらだらとつまむのにもいいし、残り物でもおいしいしみたいな本である。まあ、そんな感じ。
僕はたまたま書店で見かけて、ちょっと立ち読みして、ふーん、と思い、出版社見て、うへぇと思って置いたが、少し心にひ引っかかって、はずれでもいいや、えいと買って読み出しら、なかなかよかったのだった。というか、そういう本との出会いもいいんじゃないかと思った。
あと、個人的には、この本はKindle向きじゃないかと思う。一読したら、ちょっとした合間に再読したくなる本だ。
原書はドイツ語らしいが、国際的なベストセラーになり、英訳書もある。それとざっと比較すると、別の本かと思ったみたいな差異もなさそうだった。が、サンマーク出版らしい編集は入っている。でも、読みやすい。というか、そのくらい気楽に読めていいと思った。
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