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2019.07.05

参院選挙が、まあ、なんというか、だるい

 参院選挙が昨日公示され、街中がうるさい。しかたないとは思う。そして、まあ、なんというか、だるい。この、だるさ自体が今回の参院選挙の本質なんじゃないかとふと思えた。
 何が争点の選挙かわからない。「いや、わかるだろう、安倍政権を信任するか、否かだ」と、言えないこともないし、それもわからないではない。が、そのテンションが重い。
 第2次安倍内閣が2012年12月に発足して、8年半は経った。その間の日本はどうか? と、言われても、いや、そんなに悪くないんじゃないか、と個人的には思う。大学卒業生の新規雇用は増えた点でアベノミクスはそれなりに成功したと言っていいだろうし、外交的には長期政権のメリットが出ているようにも思うが、当然、批判もあるだろう。というか、まず、頭ごなしに、安倍政権批判ありきの話がネットで目立つので、これでは話にならないなあ感がある。そんなに安倍政権を支持しているわけでもないだが、と、だるい。
 選挙の具体性で見ていくと、与党である自民・公明の両党が非改選議席をあわせた過半数を得るかが注目される、ということになるが、その「過半数」が曲者で、70議席の非改選議席もベースに含めて、過半数で53とするか、今回議席が増えた分も考慮し、与党全体で改選過半数で63とするか。
 自民党単独なら、67という数字もあるが、安倍政権としては、53あたりと随分低めの撤退ラインにあるので、それなりに、厳しい選挙結果になるとの想定はあるのだろう。
 では、自民党に逆風があるかと言えば、その原因は、消費税だろうか。そこを野党は攻めている。が、そこが争点になっている印象は私にはあまりない。そもそも消費税は民主党政権が決めたものだった。それを、これまで安倍政権がぐだぐだして延期してきたのだが、このぐだぐだへの微妙な信頼のようなものが、なんだろう、無関心という形であるんじゃないか、という気がする。つまり、消費税増税は一種のオオカミ少年効果みたいなものがあるんじゃないか。とはいえ、現実、これを機に消費税を上げれば、安倍政権は終わりの始まりを迎えるだろう。オリンピックの高揚感で乗り切れるかというと、祭りの後が、後の祭りになるんだろう。
 年金問題は、以前の安倍政権にダメージを与えたので、またことさらに一部が騒いだのではないかと思うが、今回の金融庁報告書のネタは筋が悪すぎたと思う。実際のところ、金融庁の報告書は年金問題の本質ではないし、本質部分、つまり、実際年金問題は困ったことになるという解決が野党から示されているわけでもない。もともと、年金制度については、昭和時代(1984年中曽根内閣閣議決定)で、一元化の方向が打ち出されていた。これが、平成時代でぐだぐだになって行ったのだった。現状、正規雇用の厚生年金は、企業が半分負担してるっていうけど、これは、①元を正せば労働者の金、②政府による企業の税的優遇、なので、こうした制度をなくして、その分賃金を上げて、一元的に国民年金に統合し、上がった賃金分で個人が自分の年金を運営していけばいいんじゃないか。まあ、個人対応では難しいかもしれないけど。
 野党もこの問題は取り上げないように見える。共産党とかは、「非正規で働く人を正社員にする、最賃を大幅に引き上げ賃上げをはかる。これが年金問題解決の決定的カギだ!」と息巻いているが、共産党なら、万国の労働者というか全労働者を対象に、同一労働下での、非正規と正社員の差を年金部分でもなくすのが筋だ。これまで、既存の労組などは正社員の利益保護が中心で、その他の多様な労働者を充分支援してこなかった。正社員が優遇される構造の上にあった。その根幹を共産党が改革していくのはどうなんだろうか。
 まあ、年金は実際上、参院選の争点にはならないようにも思う。
 じゃあ、憲法問題? これも、争点足り得ないだろう。というのは、改憲勢力が参院の三分の二となるのは、今回の選挙では86議席。維新とか入れてもそもそも無理な線ではないだろうか。まず、野党側としては、参院で「ねじれ」を作るには、与党が52議席以下に追い込む必要があるが、そんな空気もまだ感じられない。
 参院選挙が、まあ、なんというか、だるい、とか思っていたが、はっとする事もあった。野末陳平・元参院議員(87)が今回の参院選で24年ぶりの国政復帰を目指しているらしい。当選して、議員6年を全うすると、93歳! マハティール・ビン・モハマド首相も93歳だ。鈴木宗男・元衆議院議員(71)も参院選にいる。一瞬、同姓同名かと思ってしまったが。
 がんばれ老人。僕らは、だるすぎる。

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