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2019.07.01

韓国への輸出規制強化は中国問題ではないのか?

 半導体などの原材料について、韓国への輸出規制が強化された。NHKはこれを、太平洋戦争中の「徴用」をめぐる問題が背景にある措置だろうという見解を報道していた。そうだろうか? 「半導体などの原材料 韓国への輸出規制強化」より。

 政府は、韓国に対する輸出の優遇措置を見直し、半導体や軍需物資の製造などに使われる原材料について輸出の規制を強化します。「日韓の信頼関係が著しく損なわれたと言わざるをえない状況だ」としていて、太平洋戦争中の「徴用」をめぐる問題などが背景にあると見られる異例の措置です。

 このニュースはこう続く。

 経済産業省は、韓国に対して、安全保障上の友好国に与えている輸出管理の優遇措置を見直す方針を発表しました。
 合わせて、高純度のフッ化水素、フッ化ポリイミド、それにレジストの3品目について輸出の際の規制を強化します。
 これらの3品目は主に半導体などの製造に使われますが、軍需物資の製造にも使うこともできることから、手続きを簡素化していたこれまでの韓国への優遇措置を改め、今月4日からは輸出ごとに許可の申請が必要になります。

 率直な疑問として、これがどうして、徴用問題に関わるのか私には理解できない。
 基本となっているのは、「安全保障上の友好国」であり、「軍需物資の製造」である。普通に考えるなら、今回の輸出規制は、日本の国家安全保障上の判断である。
 と、いうことはどういうことか? 韓国を、非友好国というより、実質的な敵国の一部と見なすようになったということだ。では、それはなぜか? 
 この文脈から考えられることは、当然、日本に実質的な軍事脅威を与えている国と韓国が強く結びついたことだろう。その国は、北朝鮮か中国しかない。
 もう一度、報道に戻ろう。元になったのは、西村康稔官房副長官による1日午前の記者会見での、産経新聞記者への質問への回答である。そこでは、「適切な輸出管理制度の運用を目的としたもので、対抗措置ではない」と述べている。つまり、韓国人元徴用工訴訟を巡る対抗措置との見方を否定ししている。
 なのになぜNHKはその逆を推測までして報道しているのだろうか?
 NHKの報道は、以下のようにも続くが、明らかに憶測の文脈になっている。

 今回の規制強化について、経済産業省は、「日韓の信頼関係が著しく損なわれたと言わざるをえない状況だ。信頼関係のもと、輸出管理に取り組むことが困難になっている」としていますが、対抗措置ではないとしています。
 ただ、輸出管理上の優遇措置を見直すことは異例で、「徴用」をめぐる問題などが背景にあるとみられます。

 むしろ、日本の軍事的な仮想敵国である中国と韓国の関係が、より明確になったからと見たほうが自然ではないだろうか。
 私には、以下のような文脈が思い浮かんだ。
 基本は、「三不」である。韓国は、2017年10月に北京で韓中首脳会談を持ち、そこで、「三不」を約束したと報道されている。三不は次のとおりである。

① THAADの追加配備をしない
② 米国主導のミサイル防衛(MD)体制に加わらない。
③ 韓米日安保協力は三カ国軍事同盟に発展しない

 これにさらに、「既存THAADシステムの使用について、中国の戦略的安全性の利益を損なわないよう制限する」という「一限」が加わる。
 これはどういうことかというと、単純な話、韓国は、中国の軍事影響下に入り、主権国家を自ら放棄したということだ。米国および日本から見れば、韓国は自由主義国家の連帯から外れたということだ。
 だが、この「三不一限」は当時の韓中合意文には入っていないので、公式にはされていなかった。それをいいことに、韓国としては、THAAD問題は解決したかにこれまで振る舞ってきた。
 ところが、先日のG20で習近平中国国家主席と文在寅韓国大統領会談したおり、習主席は文大統領に、THAAD問題の解決を迫った。要するに、これで、晴れて、韓国の「三不一限」が公式に暴露された形になった。
 事がこうなってしまった以上、事実上、主権国家の体を無くした韓国は、日本にとって「安全保障上の友好国」ではなくなり、「軍需物資の製造」が懸念される国家となった。
 と、こうした文脈で今回の日本側の規制を見たほうが、NHKの憶測より強い説明になるように思うが、どうだろうか?
 当然、日本国家としては、表立って中国を仮想敵国とするわけにもいかないし、韓国は隣国としてできるだけ友好的であるべきなので、政府発表が曖昧になるのはしかたないだろう。さらに言えば、それを、ことさらに、「徴用」問題に落とし込む話題にするのは、NHKにどのような意図があるのだろうか、疑問だ。
 さて、もう一点。
 6月30日、世界を驚かせた、トランプ米大統領と金正恩北朝鮮委員長の板門店での会談だが、その後、文在寅韓国大統領が合流して、米国・北朝鮮・韓国の3か国による首脳会談が実施された。この件について、日本では事前に、一部であるが、すでに文在寅韓国大統領は、北朝鮮問題から「外された」という議論があったことから、そうした議論は誤りで、外されているのは安倍首相ではないかという議論も見かけた。
 しかし、板門店での会談で、トランプ米大統領が文在寅韓国大統領を引き回したのは、中国向けのポーズだったのではないだろうか。つまり、THAADについては、米国が韓国を握っているという中国向けの演出ではなかったか。

 

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