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2019.07.29

[書評] 沢村貞子の献立日記

 たまたまEテレの5分間のミニ番組『365日の献立日記』を見た。沢村貞子の『献立日記』をフードスタイリストの飯島奈美さんが手際よく再現するのだが、これがめっちゃうまそう。ナレーションは僕が嫌いな女優・鈴木保奈美さんと、憎まれ口を叩くが、いやいや上手。彼女の声のハリは沢村貞子を思い出させる。
 こうして料理を通して、沢村貞子さんを思い出すと、本当に素敵な女性だったなあと思う。なんだろう、ああいう、気品ある、江戸を感じさせる、凛とした色気というか、そういう女優さんって、今でもいるんだろうか。知らない。
 というわけで、沢村貞子の『わたしの献立日記』を読み返すが、エッセイとしていいのだが、肝心の料理がうまく思い浮かばない。

 


 とか思っていたら、とんぼの本に『沢村貞子の献立日記』があり、アマゾンで見たらプレミア価格なんで、そうか?と思って、ジュンク堂行ったら、普通に売ってた。昨年の8刷なので、書店から消えたらまた刷り増ししてくれるんじゃないか、とかいいつつ、これ全国の書店に現状、10冊くらいしかないんじゃないか。
 で、とんぼの本。予想通り、きれいな本だ。なにより、沢村貞子のファンブック的な作りもいい。黒柳徹子など、沢村さんの思い出話などもある。

 


 料理の点数は思ったより少ない。がきれいにできていて、うまそう。献立日記の現物の写真もあるが、手書きが味わい深い。
 なんだろう、こういう飯を食わせてくれる店はないのかというか(吉祥寺のハモニカ横丁に似た感じがあったか)、こういう飯を作ってくれる女はいないのかとか、おっと、それは炎上発言。っていうか、僕は、女性に料理作ってほしいとはこれっぽっちも思ったことがない。母親の料理も嫌いなんで、お袋の味とか、うげえと思う。
 というわけで、そうだな、悔いたり料理は自分で作れよと思う。それが沢村さんのメッセージでもあるしな。
 そしてなんだろうか、僕も老人になってきたんで、老いをどう生きるかって思うのだけど、そういうときに、沢村さんやその献立を思うなあ。日本食がどうたらじゃなくて、こういう老いの生き方に憧れるものがある。

 

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