[映画] LOL ロル ~愛のファンタジー
このところイタリア語の勉強をしていて、なんかイタリア語の映画でも見るかと思っていると、たまたまフランス語の映画を見つけた。そして、「ああ、フランス語はこのところあまり勉強していないな、じゃあ、これを見るか」と。それで、『LOL ロル ~愛のファンタジー』という映画を見た。
10年くらいの前の映画で、パリの中産階級の母と娘の日常といった作品らしい。普通の日常生活のフランス語が聞けるといいかなと思ったのだ。で、その思いは、十分満たされた。
加えて、面白い映画かというと、それほど面白いというほどはないが、見る価値のある映画ではある。現在となっては少し古いが、それでも現代フランスの日常、特に、高校生やシングルマザーのフランスの日常に関心があるなら、十分面白いだろうと思う。主演は40代のソフィー・マルソーである。美しい女性だ。演技もいい。なお、邦題はなんかの間違いという感じがする。原題は、"LOL (Laughing Out Loud) "という英語だが、英語のこの語の語感もそれほど関係ない。もう1人の主人公の娘の名前ロルのダジャレにもなっている。
この映画のある独自のリアリティ感は何に由来するのだろうかと見てから気になったので、監督について調べてみた。Lisa Azuelosという1965年生まれの女性であった。ソフィー・マルソーより一年年上。つまり、同年代と見てよい。この映画は、実話を元にしているらしいが、おそらく監督を含めて、政策側の同年代感覚が生かされているのだろう。
ちなみに、彼女たちは現在は、50代前半。10年前は、40代前半だが、娘は16歳。20代前半に産んだという設定のようだ。日本でもだいたいこの世代の女性の感覚に通じるものがあるのではないか。
話は……40代前半、3人の子どもと暮らすシングルマザーのアンヌと、16歳の高校生のロル(ローラ)の日常。ふたりとも少しトラブルもある恋愛を経験する半年間といったところ。母と娘の物語といってもよく、さらにおばあちゃんも出て来る。女の物語でもあり、その反照としての、男の物語でもある。
内容のトーンは、さすがにおフランスといったいったイメージがコテコテだった。高校生も大人もタバコに大麻にセックス。それに、娘の高校生たちがイギリスにホームステイするときの、フランス人からみたイギリス人の偏見像も、微妙に笑える。
全体として、特にこれといった話の展開もなく、昨今の日常系アニメにも似た感じする。だが、微妙に、ああこれがフランスなのだな、と思ったのは、恋愛というより、C'est la vieというある感覚と、日記を綴るという感覚だった。あるいは、言葉をめぐる「生」と信頼の関係とも言ってもいいかもしれない。
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