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2019.06.05

ブローカー(broker)の語源

 ツイッターでたまたまだが、「仲介人」を意味する「ブローカー(broker)」の語源を、breakの過去形のbrokeに、人を示す接尾語(er)がついて、brokerとなったように考えているようなのを見かけた。そう見えても不思議ではないなとは思った。が、この語源は違うのである。といった、雑談。
 brokerという言葉は、14世紀に、フランス語の"brocour"から英語に入った言葉で、breakとは関係がない。brocourという単語の響きを英語風にしたら、brokerになったということで、erは語尾ですらない。
 話はそれだけなのだが、雑談なので、話を広げる。
 13世紀には、brocourは人名の一部で入っていたらしい。小貿易人という職業が家名になったようだ。
 で、このフランス語の"brocour"だが、実は、アングロフレンチと呼ばれているもので、ノルマン征服(1066)後に入った語彙が多い。そしてこのあと、12世紀から13世紀、現イギリスの地は、アンジュー帝国化に置かれる。このときも、フランス語の語彙が英語に多く流れ込むが、ノルマン征服のときとは異なり、南フランスの言葉も入る。時代的に考えると、brocourもこの一種ではないかと思うが、資料を読んでいるとノルマンという話もある。
 で、いずれにせよ、フランス語であれば、俗ラテン語を介して、ラテン語に至るので、ラテン語の"broccare"(葡萄酒仲買人)が元にはなるだろう。古フランス語には、"brocheor"があり、これが由来かもしれない。この言葉は現代語のbroachでワインの樽に口を開けるという意味になる。
 他資料を見ていると、フランスでの由来で、abrokurがあり、さらにポルトガル語"barter"との関連もありそうだ。
 以上、まとめると、brokerがラテン語由来の言葉で、アングロフレンチとして英語に入ったことまではわかるが、その間の経緯は諸説あってよくわからない。が、歴史的な出来事を背景にしていそうだ。
 ついで、ロシア語のброкерは英語の、brokerが語源らしい。これは見たままとも言えるのだが、英露交流史と関係しそうだが、よくわからない。
 いずれにせよ、brokerという言葉は、中世の仲買人の歴史そのものと関連していそうなので、あれだ、『狼と香辛料』的な背景があるのだろう。

 

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