[映画] Viva!公務員 (Quo vado?)
なんかイタリア語の映画が見たいな、そしてできればコメディがいいと思って探していると、『Viva!公務員』が推されたので、見た。2016年の作品。これは、かなり面白かった。
笑えるという点で、『TED』以来だろうか。ちなみに、続編の『TED2』はリベラル臭がひどすぎてつまらなかったし、この手のつまらさなだと『ソーセージ・パーティー』もそうだった。リベラルを基調にお下劣というパターンはリベラルが口実になってつまんない作品になりがち。その点、『Viva!公務員』はなんだろう、根っこにあるリベラルがけっこう骨太というかがっちりしている。おフランスのコメディ映画の軽さとも違う。ああ、イタリア的知性っていうのが感じられた。
最初、表題を見たとき、あ、やられたと思った。これは、すごい。『Quo vado?』である。これがすべてを物語っている。っていうか、それわかんないやつが、この映画、ほんとに笑えるとかつい上から目線というかマウントしたくなるんで、逆に解説は控えておくね。いや、でも、このダジャレはすごい。
物語は、こんな釣り。
終身雇用を求めて公務員になった男がリストラの対象になってしまったことから巻き起こる騒動を描き、イタリアで大ヒットを記録したコメディドラマ。終身雇用の仕事に就いて安定した人生を送るという子どもの頃からの夢をかなえ、15年前に公務員になった独身男性ケッコ。しかし政府の方針で公務員が削減されることになり、ケッコもその対象になってしまう。それでも公務員の職にしがみつこうとするケッコをどうにか退職に追い込みたいリストラ担当者は、ケッコに僻地への異動を命じ続け、ついには北極圏へと左遷する。
まあ、確かに、そういうふうな点で笑えるようにもしている。イタリアの公務員改革をおちょくっているというか。
ただ、意外にディテールが複雑だった。というか、単純ではない。イタリアのだめな公務員を批判しつつ、公務員改革も批判している。根っこに骨太のリベラルがあるのに、リベラルを批判している。なんだろ、反知性を知的に批判するのをおちょくっているというか、この倒錯的なねじれ感が、「しびれるねー』という感じだ。
こうしたある種のひねくれたイタリア的な知性が「五つ星運動」のベッペ・グリッロにも通じるところがあるのかもしれないが、さすがにそのあたりとなると、どう受け止めてよいのかよくわからない。
主演のケッコ・ザローネの演技は安定していた。ソニア・ベルガマスコも。ヒロインのエレオノーラ・ジョヴァナルディはすてきな女優だった。ロビン・タニーに似ているなとも思った。
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