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2019.06.19

今回炎上した金融庁報告書で、金融庁が隠し、マスコミや野党が追求しないこと

 今回炎上した金融庁報告書で、金融庁が隠し、マスコミや野党が追求しないことがある。リバース・モーゲージの問題である。
 以下、証明とまではいかないが、簡単に示しておく。

金融庁報告書はリバース・モーゲージの問題を隠した

 今回炎上した金融庁報告書は、「金融審議会 市場ワーキング・グループ」を事実上、金融庁が恣意的に乗っ取った形ででてきたものだ。この点については、前回のブログ「金融庁の問題報告書を読んでいたら、変なことに気がついたの巻」で触れた。また、その背景はさらにその前回のブログ「昨今の年金問題の発生源を探してみたら、なんだこりゃ案件だった」で触れた。
 今回炎上した金融庁報告書は、「金融審議会 市場ワーキング・グループ」から出たものというより、別途金融庁が進めていて平成30年7月3日に発表した『「高齢社会における金融サービスのあり方」(中間的なとりまとめ)』から出てきたものである。これを別の審議会に被せて事実上、乗っ取りしたものだった。
 この関係を洗っているときに、さらに奇妙なことに気がついた。平成30年7月3日の『「高齢社会における金融サービスのあり方」(中間的なとりまとめ)』だが、これが事実上の乗っ取り後の「金融審議会 市場ワーキング・グループ」のリブート2回目(第14回)の「事務局説明資料」として平成30年10月11日『高齢社会における金融サービスのあり方について』として提出されているのだが、その文書を比べてみると、異なっていたのである。
 異なっているのは、「5.検討にあたっての指摘 ②資産の有効活用・取崩し」の項目で、審議会に出された平成30年10月11日文書では「(参考)資産の有効活用・取崩し」という参考資料が追加されていたことだ。審議会のために出された参考資料ということになっているが、表向きの金融庁の文書には見られない情報である。完全に隠蔽したというものはないが、公的には隠されていた。
 この参考資料の内容だが、まさにリバース・モーゲージの実態そのものだった。
 その実態とは何か。前提は「退職世代等の保有する資産の約3分の2が住宅・宅地資産である」ということだ。

退職世代等の保有する資産の約3分の2が住宅・宅地資産である

 退職世代等の保有する資産の約3分の2が住宅・宅地資産なのである。金融資産ではないのだ。この参考資料にはそう明記されている。もちろん、これも平均値ではあるが、資産状況の傾向は示されているだろう。ぶっちゃけ、中央値で見るなら金融資産は700万円に満たないので、金融資産の問題は庶民にはほとんど関係ない。すぐに取り崩して消える。
 すでに前々回のブログ「昨今の年金問題の発生源を探してみたら、なんだこりゃ案件だった」で触れたが、今回の炎上案件の火元の文書は、金融資産に限定されている。これは金融会社のパンフレットのようなものにすぎない。
 だが、老後足りなくなる金額(2000万円とやらは平均値から出された事実上の虚構ではあるが)を最終的に、かつ実質的に補いうるのは、住宅・宅地資産である。なぜなら、退職世代等の保有する資産の約3分の2が住宅・宅地資産だからである。

年金足りない問題の主要な論点は、リバース・モーゲージの問題

 当然、年金足りない問題の主要な論点は、リバース・モーゲージの問題なのである。この点については、平成30年7月3日文書にも言及がある。

退職世代の保有する資産の約3分の2が住宅・宅地資産であり、リバースモーゲージの活用によって、住み替えの促進や、より豊かな老後につながる可能性があるが、金融機関による融資実績は一部を除き少ない状況。

 そして、対応として。

既存住宅の流通やリフォームに関する市場の活性化に向けた
●公的保証による民間金融機関のバックアップなどによりリバースモーゲージの普及を図り、高齢者の住み替え等の住生活関連資金を確保
●良質な既存住宅の資産価値が適正に評価される等の環境整備
といった取組みを進めることは、住宅資産を有効に利用できる環境整備という観点からも重要ではないか。

 リブートした審議会は当初それを念頭においていた。まさにそれこそが、議論の中心であるべきだった。が、すり替えられた。
 事実上隠蔽された参考資料は問題点を明確にしている。

●退職世代等の保有する資産の約3分の2が住宅・宅地資産であるが、地域別に見ると、首都圏や政令指定都市以外であっても宅地資産の額が1000万円を超える世帯が半数近くを占める。
●住宅・宅地資産が老後の生活に有効活用されることが期待される中、リバースモーゲージの取扱金融機関は近年増加しているものの、依然として取扱件数は限られている

Morgage 

金融庁の報告書は何を問題とすべきか、またマスコミは何を追求すべきか?

 金融庁の報告書は何を問題とすべきか、またマスコミは何を追求すべきか? リバースモーゲージがより広く活用されるようになるための議論である。
 単純な話である。実際、高齢者の資産の約3分の2が住宅・宅地資産なのだから、年金が足りなければ、これを上手に取り崩するために国がいっそうの制度整備をしなけれならない。現状では、不動産価格下落のリスクや相続のトラブルなどのリスクで銀行が事実上手が出せていない。
 審議会当初の問題を繰り返し示しておこう。

●公的保証による民間金融機関のバックアップなどによりリバースモーゲージの普及を図り、高齢者の住み替え等の住生活関連資金を確保
●良質な既存住宅の資産価値が適正に評価される等の環境整備

マスメディアが年金騒ぎを繰り広げていると、どうなるか?

 マスメディアが年金騒ぎを繰り広げ、リバースモーゲージ問題に取り組まないとどうなるか?
 すでに、今回の「年金2000万円足りない問題」で、高齢者が年金不安となり、資金問題ににわかに関心をもち、コンサルティング業務が活況になっている。もちろん、金融資産が多い人ならそれでいいが、そんな層は、マスメディアに踊らされた動きはしないだろう。
 金融資産が足りない層が不安になっている。そしてその層にあるのは、住宅・宅地資産である。それで、どうなるか。現状のリバースモーゲージ制度の不備に直面するか、既存のリバースモーゲージでかっこうのカモにされるくらいだろう。

 

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