Maritaという単語を知ってますか?
Maritaという単語を知ってますか?
そう、質問はそれだけ。
ググってみよう、現代人だからね。うぁお、ニックネームとかペンネームみたいのがザクザク出てくる。ということは、固有名詞扱い。普通名詞だとどうかというのはわからない。というか、そもそもこれ、どこの国の言葉?という問題もあるからな。
歴史を学んだ人なら、1941年4月6日にドイツ軍がブルガリアを経由してギリシャに侵攻した軍事作戦「マリータ作戦(Unternehmen Marita)」を知っているだろう。なぜそう言うのか? ちょっと調べたがわからない。
固有名詞としては人名に多い。女性というのは語感から感じられる。アイルランドや英国に多いらしい。そのあたりを探ると、ノルウェー語らしく、その起源は、Margaretaと同じようだ。
ところで、では、Maritoという単語を知ってますか?
これは、イタリア語で「夫」という意味。その起源は当然、ラテン語で、語源的には、marītus で、「結婚の」ということ。「結婚した男」なら、当然、「夫」だよねということになるのだが、はて?と疑問が浮かぶ。maritoは男性形だから、maritaという女性形があっていいし、意味は「妻」になるはず。
ところが、イタリア語で「妻」はmoglieという。こっちの語源は、ラテン語のmulierで、意味は女性。というか、あれ、この単語見るとわかるけど、スペイン語のmujerでしょ。で、さらにそのラテン語の起源は、mulgereで、乳搾りらしい。女が家畜の乳搾りをするのか、乳を与える者か、よくわからない。
いずれにせよ、イタリア語で、夫はmaritoだが、妻はmoglieということになる。が、じゃあ、イタリア語でmaritaというとどうなるのか?
ネイティブに聞いてみた。
妻という意味で、maritaは使いません、とのこと。冗談ならあるかもしれません、とのこと。なお、maritareの活用形三人称現在では同形なのであるにはある。
そして、ラテン語にはありました、とのこと。
え?!
調べてみると、ラテン語ではそう言っている。「妻」の意味がある。
ということは、俗ラテン語で、maritoが消えたのだろう。そして、mullerのほうが優勢になった。
フランス語には、おもしろいことに、「妻」という言葉が事実上ない(epouseはあるが、日常語とは言い難いだろう)。で、ma fammeになる。「俺の女」ということ。で、俗ラテン語が優勢だった時代の、つまり、ローマ法的な市民の婚姻がなくなると、「妻」という概念そのものが消えたたんじゃ、なかろうか?
ところで、調べていたら、maritaを採用する言語があった。一種のロマンス語である。Interlinguaである。「インターリングワ」。人造語である。
インターリングワは、ロマンス語の共通項を実用的につなぎ合わせた、いわば、現代版、リンガ・フランカなのだが、これだと、たしかに、maritaを採用したくなるんだろうな。
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