17日の金曜日
17日の金曜日である。だからなんだという話なのだが、13日の金曜日(Friday the 13th)のようなものらしい。知らなかったのだが、イタリア、特に南イタリアでは、17日の金曜日(Venerdì 17)を忌むらしい。
なぜ?
理由ははっきりしない。もちろん、理由のような話はある。
まず、17という数字が不吉だというのだ。飛行機の席番に17がないことがあるらしい。エプタカイデカフォビア(Eptacaidecafobia:ἑπτακαίδεκα φόβος)というらしい。
こうした特定の数字が嫌われるといえば、13が嫌われる理由にも似ている。12だったらなにかと割り切れるが、13だと割り切れない。素数だ。17もそうだ。というか、13の次の素数である。それにピタゴラス教団では、4×4と3×6の四辺形となる16と18の断絶で嫌われるというのもあるらしい。
じゃあ、イタリア人にとって、13はどうなのかというと、トトカルチョは13試合全部当てると一等賞になるから、13はラッキーナンバー(un numero fortunato)とも現代では考える人もいるようだ。
そういえば、なんで英米仏などでは13が嫌われるかという理由に、キリスト教で、裏切り者の使徒ユダが12番目から13番目になったという話もあるが、それをいうなら、修道院に必要な修道士数12とこれに1人修道院長を加えた13はキリスト教に好ましいという話もある。
17日についてキリスト教的な背景ではさらに、ノアの洪水の日でもあるそうだが、ユダヤ教、とくにカバラではそういう話はなさそうだというか、カバラでは17はどっちかというと縁起がいいらしい。そういえば、金曜日に限らないが、イタリアでは11月17日は、黒猫の日(La festa del gatto)になっている。
その他、面白いのは、17はローマ数字で「XVII」。これは、「VIXI」のアナグラムでイタリア語で"vissi"と読める。「私は生きていたものだ」ということで、死になるらしい。まあ、考え過ぎの感はある。
どれも迷信でくだらないともいえるし、どうも、イタリア北部ではそれほど強い風習でもなさそうだ。というあたりで、この風習の背景を見ているうちに、意外にギリシア的なものなんじゃないかということで、「マッサ・セニガッリア線(Linea Massa-Senigallia)のことを想起した。これはロマンス語を二分する等語線なのだが、17日の金曜日もこのあたりで感覚が変わるっていうことはないかと。
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