紅茶についての些細な話
私は紅茶好きなのでこのブログにも紅茶の話はなんどか書いているが、紅茶の話とかそれほど詳しいわけではない。が、先日、ちょっと人に紅茶の話をしたおり、結果としてうんちくのような長い話になってしまった。で、こういうのブログにちょっとまとめておいてもいいのかもしれないと思った。とはいえ、思いつくまま。
紅茶をいれるゴールデンルールに疑問
紅茶の話でよくゴールデンルールというのが出て来る。これはけっこう疑わしい話だなと思っていた。どのあたりが疑わしいかというと、ジャンピングというあたりである。ジャンピングというのは、ゴールデンルールに従って紅茶をいれると、ティーポットの中で茶葉が対流のように上下運動するというのだ。これがあたかもジャンプのようにも見える。これによって、茶葉の一片一片にお湯が混ざり、おいしい紅茶になるという。ガッテンでもやっていた。
この話がなぜ疑わしいかというと、ダストとか細かく砕いた葉でないとそもそもティーポットのなかで対流しない。で、ダスト(dust)というのは、埃(ほこり)という意味があるように、細かい粉のようになっている。これは紅茶の葉としてはもっとも安価なもので、そもそもそれほどおいしい紅茶にならない。
ダストのいれかたがゴールデンルールのわけないでしょ、と思っていた。
ただ、逆にいえば、ダストのようなティーの入れ方としては、ジャンピングはありかもしれない。
ゴールデンルールは意外に凡庸
この機会にゴールデンルールを調べなおしてみると、意外に凡庸だった。紅茶協会というサイトを見ると、①汲みたての水を使いましょう、②鉄分の含まれたポットは避けましょう、③内側は白が好ましい、というだけだった。普通に考えて、③は味や香りには関係ない。
実際のところ、紅茶を入れるゴールデンルールというのは、凡庸なものというか、うんちく的ではなくなっていたようだ。ええと、補足だけど、水は軟水がいい。ブリタで濾したのがいいと思う。ペットボトルの水は酸素が抜けているから避けたほうがいい。ティーコージーは必須かな。
紅茶はリーフティーが高級、でも…
正確には、リーフティーが高級とも言えない。リーフティーというのは、リーフ(leaf)というように葉のこと。葉の形が残っているのがよい。概ね、小さい葉だけど葉一枚が全部入っているのがいい。で、リーフの状態で等級がある。
リーフティーではないのはなにかというと、調べなおすと意外に定義的にはよくわからない。ダストはリーフティーではないと思うが、CTCがリーフティーではないという人もいる。CTCは、Crush Tear Curlということで、潰してちぎってまるめた紅茶。仁丹みたいに(といって仁丹が通じないよね)ころころと小さく丸まっている。およそ高級茶ではないともいえるが、ミルクティーにはこれのほうが向いている。日本ではチャイと呼ばれることが多いいわゆるスパイスティーにも、CTCが向いている。というわけで、ミルクティならリーフティーよりCTCのほうが、おいしいと思う人が多いのでは。
リーフティーの種類まず、FOPかBOP
基本は、OP。O:Orange、P:Pekoe。オレンジ・ペコー。奇妙な名前なんであちこちに説明があるからググって調べるといいと思う。ここでは話が長くなるので割愛。
で、これにBかFを付けて大別する。いわゆるリーフティーはF:Flowery、砕いたのはB:Broken。FOPがいわゆる高級紅茶。でもBOPでも十分においしいし、実際のところ日本人が飲んでいるのは、ダストかBOP。セイロン茶やアッサム茶はBOPが主流と言っていいだろう。BOPFというのもある。これは、F:Fanningsで、ダストに近い。
高級紅茶はFOPより上のグレード
FOPの頭にT:Tippy、G:GoldenでTGがついて高級紅茶を表す。で、さらにF:Fineが就いて大別される。つまり、TGFOPか、FTGFOPか。
これは、概ね、紅茶農園ごとの一級か二級だと思っていいだろう。おいしさの規格ではないからだ。
では、どこで美味しい紅茶を選ぶかというと、農園(または茶園)である。高級紅茶を飲みたいなら、農園の名前を覚えることになる。で、やっかいなのは、キャッスルトンのような有名な農園は安パイだけど面白みがない。定番ということでお高い。なので、新興の農園がどこかな、最近はどこがあたりかなというのが、高級紅茶の楽しみになる。このあたりから高級紅茶の楽しみが始まると思う。農園、有機、ロットの差、中国茶種などの差。
三大紅茶
三大紅茶と言われている紅茶がある。ダージリン(インド)、ウバ(スリランカ)、 キーマン(中国)。さて、これが三大紅茶なのかという疑問は野暮なんだが、この分類ごとにいろいろ等級が分かれている。どれも、いわゆる高級品を買うと、それなりに紅茶の特徴が際立つ。ただ、この分類は雑過ぎる。しいていうと、キーマンについては、茶葉が小さくてきらきらした感じのほうがいい。
紅茶の大別としては、これにアッサムを加えて、四大としてもいいかも。
ダージリン
ダージリンとセイロンティーはかなり味と香りが違う。個人的には、紅茶ってダージリンでしょと思うが、そこは人の好み。ただ、高級紅茶といえば、概ねダージリンと言ってよいのではないか。
ダージリン紅茶は収穫季節で、大きく三つに分かれる。ファーストフラッシュ、セカンドフラッシュ、オータムナル。日本人がダージリンと思っているのは、セカンドフラッシュ。しかもマスカテル(マスカット香あるいはムスク香?)がいいと思われているようだ。これがまたくせもので、実はなんだかよくわからない。とりあえずというなら、マーガレットホープのマスカテルがいいだろう。
ただ、そうしたいわゆるダージリンが飲みたいなら、TGBOPのセカンドフラッシュがいいと思う。このレベルだと農園はあまり気にしなくていい。言い忘れたが、BOPにもTGが付く。
私もそうだが、高級紅茶としてはファーストフラッシュに中心が移っていると思う。このファーストフラッシュの傾向に似たのが、ウーロンというので、ウーロン茶の技法を取り入れたダージリンで花の香水ような香りが出る。ただ、これも好みによる。ファーストフラッシュもダージリンウーロンも茶葉がいろいろ特徴がある。
セイロンティー
ウバやヌワラエリヤが有名。最近では、MOSのルフナも有名。概ね、産地の緯度で異なると言っていいかと思う。ウバなどに特別的なのもあるが高級品もダージリンに比べると安価。日本人が通常、紅茶として思っているのは、キャンディだろう。
セイロン紅茶好きはいろいろ意見があると思うが、僕はあまり関心ないんで、よくわからない。個人的には、ヌワラエリヤが好き。
その他
インドではニルギリが有名だが特徴はよくわからない。農園で差がある。他に、シッキムやネパールもダージリンに似た紅茶を作っている。個人的には、シッキム紅茶が好き。
あと、紅茶好きなら、というので3点。
トルコ紅茶がおいしい。ブランド差はよくわからない。渋みはないものが多い。ヌワラエリヤに近い気がする。
ロシアンキャラバン。正山小種(ラプサンスーチョン)をやわらげた感じ。煙臭いがたまに飲みたくなる。
東方美人。台湾の紅茶。もしかすると、世界で一番美味しい紅茶はこれかもしれない。銀針といって白い茶葉が混じっているのが概ね高級品。
アールグレイはいろいろある。私はアールグレイが嫌いで飲まなかかったのだが、数年前から飲むようになった。アールグレイけっこう高級紅茶化しているなあと思う。ハーブや花やスパイスやカカオチップをブレンドしたり、茶葉のブレンドを工夫したりなど。ある意味、一番現代的な紅茶がこうしたアールグレイかもしれない。
読書ネタとしては、『お茶の世界史』が面白い。新装されたが中身は古いのがちょっと残念。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント