日本人男性4人に1人は童貞的な何かについて
共同配信のニュースで「性交渉、経験なしが25% 日本の18~39歳男女」という記事を見かけた。これは、概ね、日本人男性4人に1人は童貞的な何かについてということかなと思った。実感としてはどうかというと、そうなのかそうでないのかピンとこない。共同がこのネタを引っ張ってきたのは、いわゆる「草食男子」的な文脈にあると踏んだからではないか、と思いつつ、記事を見る。
ネタ元は、東京大学とスウェーデン・カロリンスカ研究所のチームよる8日付英医学誌BMC『パブリックヘルス』。2015年時点の推計である。
25%の童貞は多いかというと、記事では、「23年前の20%から増えていた」としている。つまり、だいたい四半世紀かけて5%増えたということだ。童貞率、5人に1人が、4人に1人となったということで、さて、これが多いかというと、よくわからない。
年代別に見ると、20歳で童貞処女が80%くらいになっている。これが25歳で半減、30歳で20%くらいに見える。
これは単純に、結婚の標準的な年齢が30歳ぐらいという私の社会認識とさほど食い違わない。ということで、まあ、そういうものかなと思う。
記事では、経済状態が不安定な男性の童貞率が高いが結婚願望はあるので、「性交渉がないのは本意ではない可能性がある」というところをオチにしている。
元記事は全文公開されていた。"Trends in heterosexual inexperience among young adults in Japan: analysis of national surveys, 1987–2015"というものだ。共同記事と多少印象が違っていて、対象期間はほとんど平成に重なる。
個別に見ると、1987年と2015年では、30代前半の童貞が6.2%から11.9%、喪女が8.8%から12.7%。30代の童貞が増えたふうではある。
論文には他国との比較の話があり、アジアではこの手の統計がよくわからないとし、西洋先進国の話を引いているが、概ね、18歳もすぎると童貞・処女は10%くらいのようだ。初経験年齢が成人年齢に重なるように思える。ということで、ふと思ったのだが、成人年齢というのは童貞・処女率に合わせてもいいんじゃないか……いや、それはないな。
元論文では同性愛への記述もあり、日本だとこの年齢間だと5%くらいのようだ。これも多いのか少ないのかよくわからない。まあ、多いとはいえるだろうか。
共同の記事では、童貞率の高さを収入と関連させようとしているし、元論文もそうした基調なのだが、収入が高ければ結婚できるという関連だけとも言えない。論文からうまく読み取れていないのだが、専業主婦との関わりがありそうだ。はっきりと言えないのだが、専業主婦を養えるだけの男性の収入があれば、未婚率は減るというか、童貞率は減るというか、そうなりそうな印象はある。
こういう研究の読み取りは難しい。率直なところ、私がシンプルに読み違えているかもしれない。
ただ、雑駁な印象としては、経済的な影響より、文化的な影響がかなり大きいように思えた。専業主婦というのもその日本の文化に含めてよいのではないか。それで、そうだとして、専業主婦という文化をどう考えるかというと、これも一概にどうとも言いづらい。
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