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2019.04.19

社会人向け教養コンテンツとか

 少なからぬ人が思うことだろうが、大学を出て数年してから、学生時代を振り返って、ああ、もっときちんと勉強しとけよかったなと悔やむ。いや、遠回しに若い人に説教したいわけじゃない。説教なんかしなくても、現在の大学生も5年や10年もしたら、自然にそう思うに違いないから。
 しかし故人曰く、後悔役立たず(つっこみ禁止)。たいていはそのまま大学生には戻れないのだから、社会人になってから自分でまた勉強しようということになる。で、普通は、本でも読む。だが本というのは、ちょっと誘惑が多い。ちょっと楽しすぎてしまい、微妙に勉強にならない。楽しいほうが勉強になるというのもあるかもしれないが。
 それで、なんか効率のいい勉強の機会はないかと考える。ついネットを見る。そうだよ。ネットが勉強の道具にならないわけないじゃないか。受験生時代を思い出せばステディサプリとかけっこう便利だったじゃないかというか、これ、大人にも便利です。ほかに、NHKでも高校生レベルの学習教材はいろいろある。これも大人が見てもけっこう勉強になる。
 しかしもうちょっと。たとえば、税制の基本とか、国際事件に即した国際法とか、微妙に大人の教養的なものをサクッと学びたいものだ。と前フリが長くなったが、私もそう思うのだ。なんか、簡素に学べるコンテンツはないのかと。
 それで先日、10mTVというものを知った。釣り曰く、「有識者に1話10分のオンライン講義」。それよさげだ。講義内容は動画だけでなくテキストでも読めるというのもいいなと。で、試してみた。
 ええと。ここで私はこのサービスをくさす気は毛頭ない。が、ちょっとがっかりしてやめたのだった。別の言い方をすると、以下の期待を満たしてくれたら、また利用してみたいと思う。なので、以下欠点をあげつらう趣向ではない。
 最初に、こりゃどうなんだろと思ったのは、1話10分に偽りはないのだが、実際には、一つのテーマが例えば6話くらいになっている。ようするに、1時間の講義をぶつぶつと10分で切り分けたというわけ。もちろん、切り分けに対する工夫はしてある。『ブラッククローバー』風のあれだ。「人間は、魔神に滅ぼされるかに見えた それを救ったのは……前回のお話は」と、これのお陰でブラッククローバーは正味15分くらいでさくっと見られる……じゃない、続けて見なくても、前回とのつながりに違和感はない。10mTVも、そこは工夫してある。それに講義は書き起こしもついている。
 その上でどうかというと、けっきょく1時間くらい続けて話を聞かないと、よくわからない。知識がきちんとモジュール化されていない。知識がモジュール化されているなら、それぞれにモジュールの関連もマップされてるといい。参考書みたいに。そして結局のところ、書き起こしの文章を読んだほうがてっとり早い。本読むのと同じじゃないか。
 それでも、10mTVでは、1時間くらいの話が面白いこともある。が、それだと放送大学と似た感じがする。
 ちなみに放送大学なのだが、まさに大学の講義なんで、知識がきちんとモジュール化されて整理されていて学びがいはある。やや重たい。その点では、NHKの「100分 de 名著」が実質、15分のモジュールでわかりやすい。
 やや本格的な大学の授業コンテンツなら、MOOCがいろいろある。JMOOCにもある東大の大規模公開オンライン講座もある。こうした試みはすばらしい。が、やはり重たい。
 話を少し拡張すると、ようするに10分から15分くらいでさくっと教養の基本を学べるというコンテンツがあるといい。
 それなら、YouTubeにもあるかということだが、こちらはこちらで一種のカオスのような感じがする。たぶん、YouTubeはインフラなので、使いかたさえ工夫すればいいのだろう。
 あと、ふつうにTEDでいいんじゃねというのもあるかも。
 ちょっと視点を変える。こんなことを思うのは、社会人になっても学びたいというニーズもあるのだが、ネットが興隆してから、知識へのアクセスが逆にめんどくさくなったという思いもある。どういうことかというと、何かを知りたいというと、つい、「ぐぐる」わけだが、ぐぐると簡単に言えば、ゴミ情報しか出てこない。お前の書いているこのブログもゴミだぞと言われればごもっともなんだが、それにしても、検索から知識になかなか到達できない。その上、到達した知識がたいてい何らかの色がついているというか、視点が歪んでいる。具体的に、消費税について考えたいというとき、「消費税」でぐぐるとWikipediaがトップに出て概ね無難な話が出てくるのだが、今後の日本の消費税をどう考えるかという手助けの知識にはらない。なんとかその材料となる情報をネットから得ようとすると、混乱してしまう。というか概ね、消費税反対の意見に誘導される。ネットの情報は、ジャーナリズムの真似事で政府批判が多いからだ。なんだかんだいって、ブロガーというのは、劣化したジャーナリズムになっている。
 さて、この話にオチはない。
 それじゃあんまりなので、多少なり有益な情報と思われることを少し列挙。

  • TEDは有能
  • 無料で使えるNHKの学習コンテンツはけっこう多い
  • 有料だがNHKアーカイブには質の高い教養コンテンツが多い
  • YouTubeは玉石混交(スタディサプリとかよい)
  • 放送大学はradikoで聞ける講座もある。YouTubeサイトもある
  • MOOCをきちんと検討してもいい

 

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