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2018.04.01

予定された新元号が急遽変更

 新元号はすでに3つの候補が決められ厳重に管理されているはずだったが、その候補が一部に漏れ、国民の目の届かないところで、小さな騒ぎを起こしている。
 元号は、昭和54年に成立した元号法にもとづき制定される。昭和から平成での制定手順では、政府が厳密な秘密体制の下、複数の漢文学専門家に候補となる案を依頼しておき、天皇崩御の時点で有識者会議を開き、この3候補から選んだ。候補の案が極秘となっていたのは、天皇崩御を想定するような行為は好ましくないという世論を避けるためであった。しかし今回の改元では改元の時期も明確にされている。はばかることなく、すでに3案も決められ、政府が厳重に保管している。その候補の一点が漏れた。
 漏洩の背景には学者世界ならではの嫉妬がありそうだ。漢文学の泰斗として自負している私立大学名誉教授が識者の人選に漏れたことに恨みを持ち、その人脈を駆使して識者に選ばれた人から口頭で聞き出したらしい。
 事態はすでに政府の知るところなり、漏洩した案はすでに却下する方針が決まっている。それで問題は解決したかのようだが、より深刻な問題が露呈することになった。それは漏洩した新元号案にある。「康元」であった。
 案を聞いて脊髄反射的に失笑した人も多いだろう。まさか、そんなはずはないと思うのが当然である。なぜなら、この元号はすでに使われているからだ。鎌倉時代中期、持明院統の祖となる後深草生天皇の時代、1256年10月5日から1257年3月14日に使われているからだ。元号にだぶりはありえない。なのに、なぜこの奇妙な候補が残されていたのか。
 二点理由があらしい。まず、既出の「康元」というは1年も使われていないので、無教養な国民の大半は知らないだろうし、知っている人たちは脊髄反射的に、「識者ってこんなことも知らないの、バカ?」というふうにネットで炎上させるだろう。かくして、いえば炎上商法のように国民に新元号になじんでもらうことができる。大手広告会社に支払う宣伝費用が節約できる。特に節約は好ましいと考えられていたようだ。噂によれば、炎上を活用するという話に麻生財務大臣もいいねとつぶやいたらしい。
 もう一点目の理由は、以前の「康元」は「こうげん」と読ませていたが、今回は、「こうがん」と読ませるので、別の名前だというのである。キラキラネームが当たり前となった日本の現在、名前の漢字は制定者の気分次第でどう読んだってフリーダムというという開放的な雰囲気を皇室から国民に伝えたいという背景がある。「徳仁」は「とくじん」でもよい。
 実は「康元(こうがん)」説にはもう一点密かにつぶやかれていることがある。「こうがん」と聞いたとき、大半の日本人は何を思い浮かべるか? 「こうがん」と聞いて「厚顔無恥」「紅顔の美少年」といった言葉を想起できる昭和の人間はすでに少ないか、すでにボケている。そこはやはり「睾丸」である。日本人の睾丸は小さいと世界に言われるまえに、どでかく睾丸!と元号で示すというのは、出生率を高めたい新時代の日本にとって好ましい。
 こうした次第で、新元号「康元(こうがん)」は、面白い案もあっていいだろうということで候補に残っていた可能性がある。
 しかしもし、この元号が採用されたなら、初年はどうなっただろうか。康元元年となるのだろうか。それとも康元々年だろうか。


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