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2018.02.04

[アニメ] 恋は雨上がりのように その0

 ノイタミナは比較的見ることが多いのだけど、今季については関心もっていなかった。が、それなりに話題を聞くので釣られて関心をもった。物語は、17歳の少女が45歳の冴えない中年オッサンに恋する話らしい。あ、パス。きんも。ということだったのだが、まあ、見た。アマゾンで追っかけで見ているので、四話まで。1クールの三分の一、しかも原作はまったく読んでいないという時点でなんかブログに書くということは、これまではしなかったのだけど、なんとなく、この時点だから書いてみたい。先の話はほとんど知らない。
 あらすじ、といっても自分がわかる程度だが、人付き合いが苦手な主人公の17歳女子高生・橘あきらは陸上部のホープ(昭和語)だったが、アキレス腱を切り走れなくなり、落ち込んで佇んでいたガスト風ファミレスで店長・近藤正己バツイチ子持ち45歳に出会い、惚れる。あきらは同店でバイトをはじめ近藤にコクるが、年差もあってまともに扱ってもらえない。近藤としても、自分は終わった中年で少女との恋というのはただ、過去のフラッシュバックを想起させるだけでむしろつらい。というところで、さらに他の登場人物も恋を巡って絡みあう物語、というあたり。
 普通に考えたら、17歳の女の子と45歳うだつ上がらぬ中年おっさんの恋はないというか、普通、援交っしょ、それ、となりそうだが、たまたま作者のインタビューを読んだのだけど、そういう恋もそう不思議でもない。それもそうだなとは思う。きんも、でもないだろう。
 ここであえて視点として自分を持ち出すのだが、今年は俺61歳になるのでもう中年というより爺さん(腰痛え)で、娘があきらと同じという状況に陥っているわけで、そこからすると、さすがに、自分を近藤に重ねるのは、むりぃとなりそうだが、このブログを始めたころは45歳で、もちろん、そのころJKと恋愛などもしてないのだが、45歳はそんなに老いてもいない青春の尻尾を持っていることを思い出せる。し、そういう中年男の情感というか、45歳を中継にして、今でもわからないでもないというのはある。
 そういう男……こないだまで若者だったけどなあ、結婚もしないけどJKとの恋の思いに憧れるぅ、というかそれに近いようなもの抱える40代の男……は、そう不自然なものでもない、と理解はする。他方、繰り返しになるが、17歳の少女がそういう男と恋愛するのも、そう不自然でもない。というあたりでこの作品、とりあえず、ハイティーンの女性と40代入門系の男が、胸キュン的な読者層として想定されているのだろうかとは思った。
 そういう幻想で、先日「[書評] 職業としての地下アイドル(姫乃たま)」(参照)でも触れたが、JKよりやや上でもいいが、30代から40代の男がそうした若いアイドル女性に心を寄せる幻想を持っていてもいい。むしろそういう幻想が一つの、社会受容されるべきエロス幻想となって定着してもいいのだろうと思う。
 ただ、自分なりにそうした幻想への共感の接点があるにしても、その恋情の共感の内部でこの作品を味わうのかというと、そこはどうなんだろうかとは思ったし、奇妙な、悩みのような感覚がある。なんだろうか。
 人は老いても、そう恋愛の幻想から離れられないものだ、と仮に言ってみたい。だから、老いても、過去の恋愛の幻影を若い人に重ねらる、あるいは若くなくてもいいが誰かにそれを重ねる心情というのは、ある。そこがこの作品で自分にとても胸に突き刺さってくる。
 そんなあたりでうろうろ思いを膨らませながら、物語にある、「恋に理由はいらない」、というテーゼのに心が引っかかる。
 「恋に理由はいらない」というのは、それはそのとおりなのだけど、実際には身体的というか無意識的には理由はちゃんとある。この物語で言えば、あきらは一瞬で近藤という男の本質を見抜いていたし、それは恋と同じことだった。だから、むしろ物語は、恋の理由を述べるように、近藤を語るように物語は展開するしかない。
 もう一つ、理由がある。テンプレではあるけど、あきらは近藤の匂いに引き寄せられている。それが恋そのものに近い。恋だけが告げるエロスの匂いというのがある。その匂いのなかで恋が開示されるような何かだ。恋は愛しい匂いから始まるとまでは言えないが、それに近い。
 当然、その匂いのエロスは性交を誘導していくものだけど、この物語では、そこはあえてだろうが、形式的に禁じ手のようになっている。あきらと近藤の思いは双方で内面描写されながら、しかし直接的な性の幻想が物語化されることはない、だろう。
 というあたりで、実はこの物語があやうく成立し、かつ叙情性を持っている仕組みなのだろう。この叙情性が、読者という、恋が失われた人々をやさしく招き入れる戸口でもあるのだろう。歌のように。
 そしてその戸口に人は老いても、幼くても引寄させられる。考えてみればというか、考えるまでもなく、そうして人が恋をするのは、ものすごいことだ。そのすごさの直感はどのような時代でも状況でも作品的に現れうる。


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