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2018.02.03

[ドラマ] このサイテーな世界の終わり

 この二年くらいよくドラマを見ていた。面白さにはいろいろある。ゲースロ(ゲーム・オブ・スローンズ)のように壮大でエロ・グロ・バイオレンスというのもあるし、たらっとしたヒューマンな作品もある(といったもののさてどれだろ)。
 たいてい、いつものことだけど、最近見た作品というのが心に残る。そうした一作として、なんとなく、ふと語ってみたい気がするのは、『このサイテーな世界の終わり』である。原作はアメリカのコミックだが、ドラマ映像作品はイギリスのチャネル4なので、こてこての英国英語が多く、情感の作り方も英国っぽい。
 英語のタイトルは『THE END OF Fxxxing WORLD』で、このENDは「終わり」ということもだけど、"He sat at the opposite end of the table."のように、端っことか、どんづまりという語感がある。物語は、17歳(男の子は18になろうとしている)の男の子と女の子が家でして逃げまって世界のどんづまりまで来た、という含みがあるのだろう。と、いうのがエンディングのシーンでもあるのだろう。
 この物語は、ジャンル的には、ブラック・コメディである。動物とか殺することに関心があることからサイコパスだと自覚している男の子ジェイムスが、なんとなく自暴自棄で自分に関心のある女の子アリッサと一緒に家出し、彼はその渦中に彼女を殺したいと思っている、という設定で始まる。
 二人は学校や社会というシステムに適合できず、アリッサが主導的にヤケクソに逃避行を始める。あれだなあ、『旅の重さ』(参照)を少し連想させるが、それよりは過激だし、情感も違う。
 見ていて、英国風映像のブラック・コメディらしい笑いの作りが心地よいなか、ところどころ、胸にぐさぐさくる。すげー痛い。自分が17歳だったころや、とがった女の子を好きになってめちゃくちゃになっていったころとか、いろいろ思い出して、痛い。とくにジェームスが守られていたのは自分だったとか気づくところとか、うぁ、号泣スイッチ入ってしまう。

 自分は60歳だぜ、爺だよと思いつつ、自分が17歳になる日の午前0時の時計を見つめていたあのころが、がんがん思い出される。がんがん。今の自分がまるでタイムスリップかあるいは異世界に転げてしまったんじゃないかという感じがする。というか、このドラマ見ていると、ほんと、自分のなかに17歳の自分が生々しく生きていて、やりきれないというか、痛い。というわけで、エンディングはノンストップで号泣しちゃいましたよ。ネタバレをする気はないが、これで本当に物語がエンディングなのか、シーズン2があるんじゃないかって、いろいろ期待もできるけど、僕的には終わったと思う。自分も17歳の自分はどこかで死んでしまったんじゃないかって気がする。
 という反面、末子も17歳になるという親としての情感も自分にはある(あるにはあるくらいか)。このドラマ、原作は読んでないが、『HUM∀NS』や『女刑事マーチェラ』とかでもそうだけど、英国的な親の情感がよく出ていて、親として17歳の子供を思う気持ちもまた、痛い。物語は当初、少年や少女の視点に立って、親は糞、とか思っているのだけど、映像の視点はそうした彼らの嫌悪を上手に異化し、そして、物語も上手に親のつらさや愛情の痛みを引き出している。このあたりの、作り込みがうまい。映像もすげーきれい。もちろん、親ならだれも親心があるなんてもんじゃない、リアル糞、というもちゃんと出てきて、これもつらい。総じていえば、親なんていないほうが人生楽じゃないかという気が僕にはする。
 物語は各話30分なので、シットコムに近い。というか、チャンネル4的にはシットコム的な放送枠で作ったのではないか。Netflixとしてもこの30分尺は今後増えそうだし、どうやらその半分の尺もできそうだ。スマホでサクッと見るというニーズが高いらしい。
 そういう意味で、各話はさくさくと進むし、基本のストーリーはアイロニーがあっても単調なんだけど、途中、殺人事件がからみ、これに女刑事二人組がからんでくる。この二人、この一人、ユーニス役のジェンマ・ウィーラン(ゲースロのヤーラですね)の演技が絶妙にうまい。彼女、ベースはコメディエンヌなんですね。というか、彼女の要素がないとこの作品の軸は抜けてしまったんじゃないか。子供の世界と大人の世界の上手な橋渡しという以上に、子供のつらい気持ちをそのまま抱えて理不尽に大人になるっていうことはこういう、なんかねじれた優しさなんだよなと思う。
 音楽もいい。グレアム・コクソンのシンプルで歪んだ感じのギターとヴォイスが作品の映像とよくあっている。

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